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第五話/部屋

なかなか会話までたどり着かない・・・・・・。

でもとりあえず次回は会話回の予定です。


―――――――。



―――――――――――――――――――――――。



――――――――――――――――――――――――――――――っは!?


・・・・・・眠っていたようだ。え~と、何をしていたんだったか?とりあえず辺りを確認して――――――うん?どこだここは?


・・・・・・起きたら知らない場所にいたようだ。私の形態は―――少し硬めの小物だな。大きさはかなり小さく形はやや丸みを帯びている。隠れるのには適した形だ。次に周囲は――・・・・・・・これは人間の棲み処か?


私の視界の先には木でできた板にとってのついたもの――トビラと言うのだったか?――があり、それ以外にも木でできた物品が立ち並ぶ。四つ足の上に丸い円盤のようなものがくっついている代物に、3つの板が「コ」という形で置かれその上にさらに板がくっついた代物、その上には何やら細かい凹凸がついた黒い板と真ん中にやや光沢のある板が埋め込まれた物体があり、そこから紐ようなものが何本も先ほどの代物の横に置かれた大きな箱につながっている。


その反対に置かれているのはまたしても同じような木でできた代物だが、直方体の形に大きくくり抜かれた場所がいくつもある。いや、これはむしろくり抜きが主体なのか?そしてその中にはやや細長く、例のおそらく意味があるのであろう模様が描かれているものがいくつも収められている。


確か以前人間たちが似たようなものを開いて眺めているのを見かけたことがある。その時に私も覗いてみたのだが中も同様の模様が一面に書かれているようだ。おそらく多くの情報が載っているのであろう。残念ながら今の私には意味が分からないのだが。


そして私のいる場所をみると、柔らかめな「L」という形の物体に4つの短い円柱形の足がついている。それからどうやら私には白い布が巻き付いているようだ。

・・・・・・拘束のつもりだろうか?


私は身体をいつもの半液状に変化させその布から抜け出すと、どうしたものかと思案する。まず記憶を探り何をしていたのかを思い出すことから始めよう。


・・・そうだ。私は人間たち、カラスたちと戦っていたのだった。そしてその最後に小物の山に紛れられるよう形を変化させ突っ込んで・・・そのまま眠ったのだったか。


しかしながら今私がいる場所は到底あの小物の山であるとは思えない。だが、おそらくないとは思うが仮に風やら雨やらで流されたとすると現在地が不自然すぎる。その場合は最低でもどこから移動したのかぐらいは分かるはずだ。しかし現状はそうではない。つまり私は自然にここにやってきたわけではないということになる。


そうなると当然誰かが私をここまで移動させたということである。私自体の重さは変化時に多少軽くしたこともあるが、そもそもが――と言ってもこれと決まったわけではなくあくまでここからここの間、という具合の可変なのだが――人間の成体と比べればとても軽い。人間であるならば持ち運ぶのは容易であろう。


では誰かが運んだとして、いったい誰が私を運んだのか?・・・状況から考えるとおおよそ三択だと思われる。


①雷人間。あの戦いでカラスとあの人間たちが倒れた後、私を回収したということだ。おそらく可能性が一番高そうなのはこれである。なぜなら私が人間たちとカラスが争うように仕向けた以上、あの戦闘において一番勝利する可能性が高いのが雷人間だからだ。ただこの場合は雷人間の背景が分からない以上、その目的も不明となってしまう。・・・・・・もしや私だとは気が付かずに持ってきた可能性もあるのだろうか?


②人間たち。あの戦いに勝利したのが人間たちであり、私を連れてきたのは私を処分するためというのがこの可能性だ。この場合では小物に変化した私の処分方法が上手く分からない、あるいは何らかの処分のための方法があるがすぐさま実行できるわけではないといったところであろう。いや私だと知らずに持ってきた可能性もあるが。


③それ以外。これがある意味とても厄介、かつ未来が読めない可能性だ。この場合は私、というよりは私が変化した小物に用があったのであろう。その場合は私のことには気が付いていないということになるが、しかしそれ以外の情報が消え失せる。あまり当たっていてほしくはないな。


とりあえず細かな可能性を除けばこんなところであろう。さて状況整理も終わったことだし次にどう動くかを考えようか。まず見るべきはあのトビラだ。あれが開くかどうかを確認する必要がある。幸い、以前目にしたことがあるので開くかどうかの判別は可能――しかしまだなぜ開いたり開かなかったりするのかはよく分かっていない――である。


私は半液状状態でするすると這いながらトビラの元へと移動する。そしてゆっくりと、かつ音を立てないように――近くに誰かいる場合接触するのはまだ早いと判断したためだ――トビラについている取っ手に触れる。





・・・・・・よし、動くぞ。このトビラという代物はこの取っ手が動くかどうかで開くかどうか分かるという珍妙な代物なのだ。閉じていなくて良かった。いやまあ隙間から上手く出ることは可能なのかもしれなかったが。しかし開くのならば今はまだ焦って外を出る必要はないであろう。


ならばと、改めて部屋の中を見渡してみる。先ほど見た通りいくつかの代物が存在している。少し迷うところではあるが、まずはこの空間を調べてみることにしよう。外にはおそらく私をここへ運んだ何かがいるはずである故、それと接触するまでに情報収集や使えるものがないかの探索を行っておいたほうがいいと思うのだ。


さて、どこから調べようか・・・・・ここはあの四つ足の上に丸い円盤のようなものがくっついている代物の周辺にしよう。私のいた場所は物が少なくてあまり調べることがないだろうし、あの直方体の穴にしまわれた品々はおそらく模様の意味が分からないと情報を得づらいだろうからだ。


私はトビラからするすると移動し、まずは四つ足の上に丸い円盤のようなものがくっついている代物――長いのでとりあえず四つ丸とでも言っておこうか――に近づいて観察を行ってみる。


おや?てっきり茶色くて他の代物が木でできていた故にこれも木かと思っていたがどうにも違うらしい。何だろうかこれは?思ったよりは軽めではある――と言っても私からすると重い――ようだが・・・・・・?


構造自体は単純なもので何か変わったところはない。おそらくこれは上に何らかのものを置いたりするものなのであろう。それとも足の踏み場にでもするのだろうか?・・・ともかくそれ以上の複雑な仕組みのもの――例えば人間たちが明かりをつけたりする様々な物品などのように――ではないであろう。何か仕掛けがしてあるようには思えない。


試しに乗ってみようか。・・・・・・ふむ、実に安定している。意外としっかりしているのだな。やはりこれは上に何かを置くもので合っているはずだ。




よし、とりあえず四つ丸は一旦このくらいでいいだろう。次にその近くに置いてある黒い箱を見てみる。これは一体何なのだろうか?他のものもよく分からないが、これはその中でも格別である。なにしろやけに――私がとてもじゃないが持ち上げられない、どころか押して少し動かすだけでも一苦労なほど――重いうえに利用しづらいであろう大きめの直方体である。そして何本もの紐が絡まるようにしながら色々なところに繋がっているのだ。


中を叩いてみると微妙に空間のようなものが空いている気配がするし、少しだけ見える細かな部分を覗くと中にも何らかの構造があるのであろうことが分かる。つまりこれは四つ丸のように単純な道具ではない、ということだ。しかしどういうものなのかは分からないな。少しいじってみようか。




形状からもしやと思ったが、どうやらこの箱についている紐は着脱可能らしい。しかし・・・・・・よいしょ、っと。紐取ってみても特に変化はないな。まあ意味がないのならとりあえず戻そうか。さて他には・・・おや?この突起は押し込めそうだな。少し押してみようか。



ブゥウウン・・・・・・



―――――――――!音に驚いた私は急いでカラス形態に変化して飛行しながら黒い箱から距離を取る。突起を押した瞬間に音が鳴ったのだ。私は次の変化に備え神経を張り巡らせながら空中で待機する。








しばらくしても私に対して何かする様子がないようだ。実にびっくりした。驚かせないでほしい。・・・多少落ち着いたのでゆっくりと様子を観察してみることにすることする。おや?黒い箱の何か所かが光っているではないか。それに紐でつながったやや光沢のある板も光っているようだ。これは一体どうしたことであろう?


おそらく突起を押したことによって黒い箱に何らかの変化が起きたのであろう。

・・・と、とりあえず観察を続けよう。黒い箱は音を少し不気味な音を立てながら怪しく光っている。・・・正直あまりこの状態には触れたくはないな。よし、次へいこう。


上にあるやや光沢のある板はどうだろうか?・・・先ほど見た通りまばゆく光を発しており、そこには何やら模様が描かれているようだ。うん?模様が変化した?

・・・おやまただ。今度は小さな変化だが――ふむ、この板の前にある細かい凹凸がついた黒い板を押したせいか?・・・・・・どうやらそのようである。しかしこれにはいったいどういう意味があるのであろうか?う~ん・・・現状だと分かりようがないな。しょうがない、他の部分を調べよう。




―――――――――――――――――――――――――――――――。




ふむ、どうやらこの光る板はこれだけのようだ。では他の所――と言っても黒い箱ではないが――を調べよう。この板が置かれている土台がいいかな。これを調べてみよう。


・・・これもやはり木でできているようだ。四つ丸のことを考えるとこれも上に何かを置くためのものであろうか?現に板が2枚も置かれているのだし。まあとりあえず一通り触って調べてみようか。


―――――――ん?これは?何やら動くようだが。


何やら土台である板が乗っている部分の下に動かすことができる場所があるようなのだ。早速動かしてみる。すると小物入れのような空間が姿を現した。くり抜いて動くようにすることで収納空間を作り出したのか。なるほど、よく考えるものだ。


中には・・・これは何だろうか?模様の少なく中は横に線が引いてある以外は何も書かれていない複数枚の何かが透明なものに入っている。それから細長くある方向の突起を押すと反対側から何やら細くて黒いものが出てくる棒。さらに穴が二つ付いた変な風に動くハモノなどなど。むぅ、おそらくすべて何かに使う道具なのであろうが、何に使うのかよく分からない。


とりあえず元に戻して他の所を―――――――うん?おかしいな?この動かせる部分の厚みの割には空間が小さくないか?


私は不思議に思ってコンコンと収納空間の下の面を叩いてみることにした。



やはりか。・・・・・・どうやら下にさらに空間がありそうだ。ならばぜひ調べておきたいが・・・しかしどうやって開ければいいのだろう?とりあえず中に入っている小物をすべて外に出してみようか。



よし、すべての小物を外に出したぞ。そして出してしまえば何となく開け方が分かった。後ろの方にいかにもな螺旋のついたものの上に何か取っ手のようなものが付いている部分があったのだ。限界まで収納空間を動かしたうえで小物を取り出さねば分からなかっただろうが。


それをぐるぐると回していくと板の締め付けが緩くなり取り外せるようになった。よしよし、では早速取り外してみよう。このような仕掛けがあるのだからきっとここに入っているのは何か大切なものなのであろう。さて何が出てくるかな?



―――――――――――ふむ。これは・・・・・・複数枚の絵か?いや形的には反対側の直方体でくり抜かれた穴に入っているものに近いようだが。いやしかし、あれらと比べてだいぶ薄いな。なぜだろうか?やはり別のものなのか?


肝心の絵はとりあえずいくつかの模様とそれから人間の幼体の雄雌の絵が描かれている。捲ってみると――――どうやら他もすべて絵のようだ。まああの模様のようなものも随所にあるが。内容は・・・これは人間の交尾、だろうか?


しかしなぜこんなものが描かれているのだ?何の意味がある?もしや人間はこれを見なければ交尾の仕方が分からないのか?だとすれば随分の難儀な生き物であるが。


それともこれはさらに何かを暗示していたり、さらに解き明かすことが出来るようになっているのだろうか?そうなると模様の意味を把握していない私にとってはこれ以上の解読は不可能であるということになってしまうのだが。





――――――――――――――――――ガチャリ。





っ!瞬間、私は驚いて音の鳴った方向、トビラの方を見る。そこには―――




「そろそろ■■になりましたか?

 できれば話がしたいので・・・・・・・・す・・・・・・が・・・・?

(そろそろお目覚めになりましたか?できれば話がしたいので・・・・・・・・

 す・・・・・・が・・・・?)」




私の持っている隠されていた絵を凝視して固まり、どんどんと顔が青くなっていく雷人間がいた。




雷人間(仮称)さん、隠していた薄い本を発見される、の巻き。

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