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私のこころ  作者: 2Bペンシル
第一部・4
7/26

Record of "LogⅠ"

 これは500PV記念の短編です。本編を知っていると細かい設定が分かりますが、知らなくても何とかなります、多分。

 直接、本編にかかわってくる部分というのはあまりないので、気楽に読んでくだされば幸いです。

 ある日。いつもの猫柄のパジャマに着替えたリーベは、ベッドに入っていた。

「今日も一日……疲れているわけではないのよね。特に頑張った気もしないし……まあ、いいわ」

 機械だって疲れるのだが、家事や雪村の世話を『楽しい』と考えているリーベにとっては全く苦ではなかった。むしろ、もっと一緒に居て、いろいろ手伝いたかった。

 とはいえ、叶わない願いを願うのは勿体ない。

 目をつぶって、記憶領域にアクセスする。リーベは寝る前に、以前あったことを思い出して思い出に浸るようになった。人間だって同じことをする、ただ、それがリーベの場合は非常に鮮明なのだ。


[PN] Liebe : Access “LogⅠ”.

[System]: Permit. Have a nice trip!

Now loading……


≪LogⅠ 21211203・21030726≫ 

 その日、リーベと雪村は珍しく食事を一緒に取っていた。

 というのも、雪村がここ最近は忙しそうに仕事をしており、食事を書斎で済ましてしまうことが多かったからだ。

 もちろん、仕事をしている理由はわかっているため、邪魔する気はない。ただ、やはり一緒にいられると、前ほどではないが『嬉しい』。

 今日は雪村のリクエストで昼食は蕎麦だった。ただ、リーベは器官の構造自体はかなり人間そっくりとはいえ、蕎麦やうどんをすするのは苦手なのでフォークで食べている。雪村曰く、麺類をすするというのは「慣れ」らしい。

「雪村さん」

 フォークで蕎麦を食べながら、リーベは雪村に聞いた。

「ん?」

「そういえば、ずいぶん前……2110年6月15日の話ですが、あの時、『前も似たようなことがあった』と言っていましたよね?」

 雪村は空を見て目をぐるりと一周させた後、リーベのほうを見て「いったっけ?」と答えた。

「ええ。覚えていますよ」

 蕎麦を食べる手を止めた雪村は頭を掻いた。

「うーん、リーベが覚えているってことは間違いなく言ったんだろうな。なんの時に言ったんだっけ」

 その言葉であの時の早とちりを思い出してしまったリーベは、『恥ずかしさ』を感じながら、「あの……雪村さんが別のアンドロイドを買って、私を破棄しようとしたんだと考えてしまった……あのときのことです」と呟いた。

 それを聞いて、雪村は合点がいったように手をたたいた。

「ああ、あの時のことか。相手はレオナだよ、そして落とされかけた」

「すでに恋に落ちているのでは?」

 雪村はリーベの言葉に笑い、「上手いこと言うね」と返す。

「そっちじゃなくて、意識の話だよ。まあ、聞けばわかるさ」

 そして、二人が蕎麦を食べ終えてから、雪村はリーベに教えてくれた。


 2103年の夏、昼頃。

 レオナと僕はドイツの総合商業施設──スーパーマーケットからホームセンター、そしてセクサロイド風俗まで取り揃えられている、本当に何でもある場所だ──に居た。そこは楕円のドーナツを何層にも重ねた形をしており、中央は大きな吹き抜けになっている。一階の中央には多目的広場があり、さらに地下にはリニアモーターカーの駅がある。ドーナツの外周に沿うようにいくつもの店舗があり、テナント数は500を超えるとのことだ。また、屋上には巨大なCEUS(Composite Environment Utilization System、複合環境利用システム)と大型蓄電池、浄水器があり、ここのすべての電力や水道、空調を賄っている。

 なんでこんなところに来たのかというと、レオナが「ここにしかないものがある」ということで、僕を連れてきたのだ。いつも思うのだが、用事を詳しく教えてくれないあたり、レオナはサプライズが好きらしい。

 僕達は入口にあったリニアカーを引き留めて乗り込んだ。そして、目的地を指示するためにディスプレイをタッチする。ここはあまりにも広いので、リニアカーを使わないで歩くと、端まで4時間はかかる。

「どこ行くんだい?」

 今日のレオナは白のノースリーブをインナーにして、その上にレモン色のブラウスを羽織っている。ズボンは紺色のスキニージーンズだった。

 ちなみにだが、僕は以前「スキニーって、きつくないの? 履きにくくない?」と聞いたことがある。その返答は拳──それも顎を狙う的確なアッパーカット──だった。あの時ほど、レオナに護身術を教えたのを後悔したことはない。

 素材がいいなら何を着ても似合うと思うのだが、そうではないらしい。

 彼女はコンパクトを見て髪を整えながら、僕に「ブルーノ洋服店はある?」という。ディスプレイに映っているタッチキーボードを使って洋服店を検索してみると、施設の6階にあることが分かった。

「あるよ。そこでいいんだね?」

「ええ、お願い」

──洋服か。確か誕生日近いし、クラウスさんあたりにあげるのかな。

 僕はそんなことを考えながら、洋服店を目的地に登録する。リニアカーは静かに、滑るように移動し始めた。

 数分でリニアカーは洋服店に着き、AIが『目的地です』と告げる。僕らはリニアカーから降りて、洋服店の入り口の前に立った。

「尊教、ちょっと待ってて。もう選んであるから、すぐ終わるわ」

「わかったよ。じゃあ、入口のあたりで待ってる」

「ええ」

 レオナは走って洋服店に入っていく。僕はやることもないので、吹き抜けになっているところに柵として作られている、薄い高透過率プラスチック製の壁に寄り掛かった。胸くらいまで高さがあるため、ここから飛び降りようとしない限りは落ちない。

 尤も、落ちたところで救護ドローンが抱きかかえるだろうけど。

 しばらくすると、僕の視界の端に子供が写った。そっちのほうを見やると、どうも一人のようで、泣いているように見えた。

──なんだろう……?

 こうなると、居ても立っても居られない。僕は子供のほうに向かっていった。少し歩くと、子供のもとにたどり着けた。黒人で、齢は9歳くらいだろうか。

”What’s wrong?”

 言っておくが、僕はほとんど英語ができない。もっというならば、それぞれの細かい使い分けができない。日本語で言うなら、「どうしたの?」と「なにがあったの?」の使い分けができないようなものだ。些細なものだが、スムーズな意思疎通には必要なスキルだ。

 とはいえ、この子が何語を話すかはわからないので、とりあえず英語で話しかけてみた。慣用句ならなんとか話せる。

 子供は疑問符を浮かべたような顔で僕を見ている。伝わらなかったらしい。

「おにいさん、日本人?」

 その子は声変わり前の幼い声で、間違いなく流ちょうな日本語を話した。

──ああ、日本語話者だったか。

「うん。どうしたんだい?」

 僕はポケットからハンカチを取り出して彼に渡した。それを受け取り、彼は涙を拭いてから、「お父さんと離れ離れになったんだ」と教えてくれた。

「そうか。お父さんはどこに行ったか覚えてる?」

「10階……」

 彼が提示した階は、セクサロイド風俗やアダルト用品を扱う階層だった。それで、僕は彼がどうしてこうなったかを悟った。

──なるほど。父親が風俗に行った際、彼に「どっかで遊んでろ」みたいなことを言って、放り出したんだろう。でも、ここのデフォルト言語はアメリカ英語だ。言葉も通じず、馬鹿みたいに広いこの場所で、どうしようもなくなって泣いていたんだろうな。よく、10階から6階まで下りてきたもんだ。

「わかった、お父さんを呼びに行こう。君の名前は?」

 僕はフレキシブルキーボードをポケットから取り出して、腕に巻き付ける。それでスイッチを入れてマイコンに接続してから、”CALL”と打った。これで、僕のところにリニアカーが走ってくる。

 インフォグラスであれば、ARに表示されている〈CALL〉に目線を向けるだけでいい。しかし、残念なことに僕はコンタクトレンズを入れるのが嫌いなので、こういうひと手間が必要になっている。インフォゴーグルでもいいのだが、あれは精密機械のため簡単に壊れてしまい、あまり持ち歩きたいものではない。

「相田……」

 彼はつぶやく。その時、リニアカーが僕らの前に来た。

「よし、相田君。もう少しでお父さんに会えるからね」

 今思えば、彼を迷子センターにでも預ければ、僕は意識を失いかけずに済んだのかもしれない。ただ、その時は自分で何とかなるような気がしていたんだ。


 リニアカーはあっという間に10階についた。この階層はピンク色が多すぎて目に悪い。

「お店の名前は?」

「わかんない……」

──まあ、そうだよな。このエリア、全部英語だし。

 僕はリニアカーの『レビュー機能』を使って、この中で一番人気の店を探してみた。とはいえ、ノーマルの店舗は一店舗しかない。あとは大体アブノーマルだ……アブノーマルの意味は、辞書を引くだけにとどめておくのをお勧めするよ。

 その店舗の前にリニアカーを止め、僕と彼はその中に入った。

 入るだけなら未成年でも問題ない。なんたって、託児所だってあるのだから、そこに預けてしまえば良い話なのだ。

 僕はカウンターに行って、受付をしているレセプロイド──多分、アメリカ製のRM-100A──に聞いてみた。

「すみません、『相田』という名前のお客様は居ますか」

 アンドロイドは僕に向かって会釈してから、「言語を標準日本語へ設定いたします。緊急事態以外では、クライアントの情報をお渡しすることはできません」と答えた。

「そうですか……」

 僕はちょっと考えて、アンドロイドを説得することに決めた。

 相田君を指さし、「この子は親の保護が必要で、それがなければ命の危機がないとも言い切れないんですがね」と言った。

 たいていのアンドロイド……いや、善人は人命を優先する。そういう人間をだますクズ野郎もいるにはいるが、そいつらは顎の骨でも砕けばいい。

 ちなみに、人命を優先しない種類としては戦闘アンドロイドやドローンが挙げられる。とはいえ、それは最高位の命令が「友軍の保護」だからであって、友軍への危機がなければ、敵軍でも応急処置や治療を施す。

 レセプロイドは一時的に停止してから、「分かりました。彼をこちらで預かります」と答えた。あの一文だけで話が通るあたり、アンドロイドの方が話しやすい。

──ああ、やっぱり居るんだろうな。じゃないと、預かるなんて言わないだろう。居なければ、案内ドローンあたりが飛んできて、迷子センター行きになるに違いない。

「お願いします」

 僕は屈みこんで、相田君と目を合わせた。先ほどのように泣いてなかった。

「これで大丈夫。お父さんに会えるはずだよ」

 彼は僕に笑いかけてくれた。僕も自然とほほ笑んだ。

「ありがとう、お兄さん」

「じゃあ、僕は人を待たせてるから。無事に帰るんだよ」

 そういって、僕は立ち上がる。彼は「うん!」と答え、手招きしているレセプロイドについていった。

 僕は見送ってから、店を出る。すると、なんとなく肌がひやりとした。

──冷房……いや、ここの冷房は熱交換器でやってて、送風じゃないから違う。お化け? 存在を否定は出来ないけど、あまり科学的ではないな……。後、考えられるのは……。

 その時、後ろから肩をつかまれた。それも、結構強い力で。

 振り向くと、微笑を浮かべたレオナが「B.C.S Since.2026」と書かれた紙袋を手に、後ろに立っていた。僕は踵を返して、彼女に向かい合う。

「ああ、レオナ。用事は?」

「済んだわよ。ちょっと、お話したいことがあるから、早く家に帰りましょう?」

 僕はレオナに手を引かれるがままリニアカーに乗り込み、地下の駅に向かった。僕はレオナに何を買ったのかと聞いてみたが、笑顔のまま、黙っているだけだった。


 それから30分後、僕らはヤンセン宅の自室にいた。僕ら二人は特に部屋を分けることなく、二人で一緒の部屋で仕事をして、横になっている。元々はレオナの部屋だったらしく、壁や本棚にはメタバイオメカニクスの本や進化論のポスターがある。

 彼女はベッドに腰かけた。その目の前に僕は立たされる。

「ねえ。ちょっと、後ろを向いてくれない?」

「ん?」

 僕は素直にレオナの指示に従う。その時、いきなり首に腕が巻き付き、膝裏をけられて跪く形になった。

 綺麗なまでのバックチョーク。それも少しずつ締め上げる力が強くなって、痛みが増すタイプのやつだ。

「ねえ。風俗なんか行って、何してたのかしら?」

 先ほどまでとは打って変わった、冷たい声でレオナが僕に言う。僕は後頭部に当たる感覚を楽しむ間もなく、かすれた声で「何もしてないって!」というのが精いっぱいだった。締め上げる腕が冷たい。

──ああ、さっきの寒気はこれかあ……。

 そんなのんきなことを考えている暇はないのだが、いざという時に変なことを考えるのが人間だ。

 まずは誤解を解かねば。

 僕は声を振り絞って、「迷子を案内していたんだよ!」と言ったが、彼女は「へえ……嘘ついたら、承知しないわよ」と言って、締め付けを強くした。

 頭に血が上る感覚を覚える。人間の体は良く出来すぎていて、静脈を圧迫する形で首を絞めると頭に血が溜まる。その分、体への血液は減るので、体は血が足りないと考えて血圧をあげる。すると、なおのこと血が溜まる。

 というわけで、脈に合わせて頭痛がし始めた。あと数分もすると、レッドアウトを起こし、気絶する可能性が出てくる。そうなると、何をされるかわからない。

──それまでには、何とか逃れないと。

 その時、ふいに拘束が無くなった。思わず僕は倒れ込み、せき込む。僕はなんとか呼吸を整えて、彼女に背を向けたまま「君の怒りは分かったから、事情を説明させてほしい。殺されたら、話せもしない」と説得に移った。

 いつも後になって思うのだが、命の危険に遭っても怒らないあたり、自分の感覚が変なんだろうと思う。

 レオナは蔑む様な声で僕に許可を出した。

 僕は彼女に向かい合う。彼女はごみを見るような目で見下してきたが、これくらい研究所で向けられ続けた好奇の目線に比べれば苦ではない。周防あたりなら喜ぶだろう。

「よし」

 僕は腕に巻いたままのキーボードを叩き、〈START HOLO〉、〈21030726・13:21-LATEST GPS〉の順で打ち込む。家のホロディスプレイに僕の13:21──つまり、レオナと僕が施設についたころ──から最新までの位置が、施設のブループリント上に僕を示す赤い輝点とともに再生される。輝点はアニメーションの動いているのだが、その速度は僕の移動速度と同じなので、どこにどれだけ滞在したかがわかるのだ。

 本当にセクサロイド目的で風俗に行った場合、僕はそこに長くとどまっている必要がある。だが、アニメーション上では風俗に15秒ほどしか留まっていない。このアニメーションの再生速度は十倍速なので、二分半程度しかいないことになる。予約していたとしても、こんな速さで話が通ることはない。行為まで含めれば、あと10分は必要になる。

 つまり、僕はセクサロイド目的で店舗に行ったわけではないといえる。尤も、この証明には穴があるのだが。

「ほら、僕の言うことは嘘じゃないでしょ」

 レオナはアニメーションを見て、僕の言うことに「ええ、確かに」と頷く。僕はそれに満足して、ホロをしまった。

 そして、穴をついてきた。

「でも、予約だって出来るでしょ? 貴方が何をしてきたか、その証明ではないわ」

 僕は眉を吊り上げた。

──相変わらず、鋭いな……。

「うーん……口座開示で、取引履歴でも調べる?」

「貴方のことだから、別の口座とか使っていそうなんだけど。若しくは現金取引とか。あれなら、トラッキングもできないでしょ?」

「そんなに疑わしい?」

「ええ、疑わしいわ」

 レオナの即答に僕は頭を掻く。答えに困った僕は、彼女に聞いた。

「何をしたら、信じてくれるかな?」

 その言葉に、彼女は考える仕草をした。唇に人差し指と中指を当て、空を見る仕草だ。

「そうねぇ……信じるのは無理」

「えっ」

 予想外の返事に僕は言葉に詰まる。彼女は思いついたかのように、手を叩いた。

「その代わり、しばらく監視させてもらうわよ。予約は一週間で切れるから、本当に予約していたら、一週間監視すれば無駄にできるもの」

──よかった、殺されるのはなさそうだ。

 僕は心の底で安堵したものの、彼女の疑り深さと執着心に舌を巻いた。少しくらいならまだしも、こんなに執着心があるとは思っていなかった。それもいいところではあるんだろうけど。

「たまに思うんだけどさ」

「何かしら?」

「なんで、そんなに執着心が?」

 それにゾッとするような笑みを浮かべ、レオナは答えた。はた目から見ると普通の笑顔なのだが、何かが違う。

「だって、貴方を放したくないんだもの。それに、『愛情の反対は憎しみではなく、無関心』っていうでしょう? 私は貴方に関心しかないわよ」

 一瞬、「それだけ愛してくれているのか」と考えた。しかし、それ以上に命の危機を覚えた。これは女関係で下手すると、包丁あたりを振り回してきそうだ。若しくは縄で縛るか。どっちも、いい状況とはいいがたい。

 え、「女関係はゼロだろ」って? ははは、痛いところ突くじゃないか。折井もいるけど、あれを女とみるのは無理な話だよ。

「マザー・テレサか。いや、そうとは思うけど……」

「なにか不服でも?」

──これ以上の口答えは後に響きそうだ。

 僕は肩をすくめて、「いや、ないです」と答える。その時、何を買ったのか未だに聞いていないのを思い出した。

「そういえばさ、何を買ってきたの?」

「貴方の監視が終わってから、教えてあげるわ」

 彼女はいつも通りの笑顔で、僕にウィンクした。


「……とまあ、そんな感じだったわけさ。ちなみに買ってくれたのは僕の洋服だった。『貴方はおしゃれなんてしないんだから、私が面倒見ないといけないでしょ』とのことだったよ」

「なんか……怖いですね」

 雪村が頷く。

「もっと怖いのがね、彼女は施設の監視カメラで僕を追跡してた」

「えっ」

「多分、僕がどこに行ったのか分からなかったから、サポートセンターかどこかに聞きに行ったんだろうけど、アンドロイドに『個人情報につき教えられません』とか言われたらしい。そこでEUの対テロ法で施設のカメラはすべて公開されているから、それを顔認証システムに掛けたんだそうだ。機械に写真を通せば、膨大なデータから僕の顔だけをピックアップ出来るからね」

「どうして、それが分かったんですか?」

 雪村は頬を掻いた。

「数日後、夜にちょっと色々やった後、話してくれたんだよ。『最初から知ってたけど、一緒に居たかったから嘘ついた』ってさ。言ってくれれば、研究とか仕事は後回しにしたのにね」

 そこまで聞いて、リーベはレオナのプロフィールにいくつか項目を書き加えた。それは『執着心が強い』という項目と関連する項目だ。

「私はそんなことしませんから、安心してくださいね?」

──でも、無茶して死なれるくらいなら、縛って監禁した方がいいかしら……。確か、筋弛緩剤で体の筋肉の制御は奪えるわよね。それとも……。

 リーベの思考を雪村の発言が遮る。

「うん。ロボット三原則がある限り、それはないと分かってるよ……ないよね?」

 にっこりと笑い、リーベは「ええ。多分ないですよ、多分」と答え、その返答に雪村は青ざめた。


[System] : “LogⅠ” playback ended.

[PN] Liebe: Thx.

[System]: You're welcome. Switch “Sleep Mode”.


 基礎AIが”LogⅠ”を圧縮保存する。これで、また必要な時に思い出せる。

 そして、最低限のシステムが起動したまま、リーベの『意識』はフェードアウトするように消えていった。

 はい、どうも2Bペンシルです。今回も読んでいただき、ありがとうございました。

 4/4とか言いながら二日早いあたり、私は時間にルーズなようです。仕事なら守るんですけどね……。それはおいておいて、今回、冒頭で言っていますが500PVを記念して、ちょっと合間を縫って書いてみました。

 わりと私のおふざけが入っています。あと、レオナさんがヤンデレになってますが、これは私がヤンデレ好きなだけです。そのあたりも受け入れてくれる雪村さんは流石ですね!

 ちなみに、劇中で出た[System]さんはかなり気さくな方です。基礎AIのくせして、冗談を言ったりヴェガの悩みを笑い飛ばしたりします。いつか、そのあたりの絡みも書いてみたいものですね。

 あと、CEUSに関してはIBTDシステム以上に複雑というか分量が多いので、解説はしません。もし興味がある方がいらっしゃいましたら、Twitterとかで聞きたいということを言ってくだされば、PDFファイル辺りで送りつけます。

 そうそう、Twitterで思い出しました。広報用のTwitterアカウントを作ったんです。もしよろしければ、フォローしてくださると幸いです。小ネタとか投稿していますので……。

 とまあ、これくらいでしょうか。なんだかすぐ1000PVに到達しそうで、次のLogを考えています。LogⅡはかなりの鬱展開になる予定ですが、あくまで予定です。

 最後に。今回も読んでいただき、ありがとうございました。一応、Twitterアカウントを載せておきますね。


Twitter: https://twitter.com/2B_pencil_0615 

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