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31 ネトゲはあそびじゃないんだ

「ホームセーブの地点は皆ちゃんと王都指定になってるかー!?」

 ギルマス・レオの最終確認。皆が頷き合い、数人は表情を変えて、それぞれでカードの確認が行われる。イベントへ向けて最終の会合が着々と進められた。


 普段はあまり見ることも話題に上ることもない課金アイテムの消耗品が、この時期だけは何処ででもその名を聞くようになる。『お守り三種』と呼ばれる課金の装備アイテムは、アクセサリーとして装備されるもので、ギルマスの首にも緑色の間抜けたデザインのお守りがぶら下がって揺れていた。神社でよく見るアノ形をした「即時復活のお守り」だ。運営の悪どい商魂で、「防御UPのお守り」「攻撃UPのお守り」とのセット販売になっていて、それぞれ上位交換クラスの優れたアクセサリーが存在する為に多くのプレイヤーにとってはただのゴミだった。即時復活アイテムは他にもあるが効果はどれも同じで、死亡したその場での復活、ペナルティ無し、装備などの落し物も無し、という特典が付く。一度効力を発揮するとお守りが消えてしまう、これをイベントの間だけ、大量に購入するのだ。このアイテムさえあれば、復活地点フィールドマークを付けた場所から、文字通り即で復活が叶う。装備無しで挑むのは、いわば保険のようなものだ。

 ギルドによっては効率至上主義に走り、課金だろうが廃人プレイだろうが当然とばかりに要求するところもある。イベントの間だけなのだから多少は貢献しろ、とばかりに無茶を言う。このギルドは良識のあるギルドだったようで、トウヤとしては一安心といったところだ。


 このギルド、正式な名称は『rabbit tea Party』だが、とにかく人数が多い。そして、MMOで数は正義なのだ。現在、トウヤの居るサーバーにおいて、このギルドはメキメキと頭角を現しており、先日ついに双璧と呼ばれる二つのギルドと勢力図において肩を並べた。三強の誕生だ。

 『紅蓮の翼』『Handwerker』『rabbit tea Party』この三つで実質プレイヤーの半数を占めていた。

 三つのギルドの戦力もほぼ拮抗し、ギルド戦は予測が難しくなるだろうと言われている。今後を占うにも、このカタック湖イベントの流れは重要と言えた。ここまで肥大化したギルドを纏めるのだから、各ギルマスの手腕はそうとうなものだ。ラビットのギルマス、レオも、面倒見がよくとてもマメな人物として知られる。

「すでに先発隊をカタック湖に行かせてる。徹夜で場所取りしてもらったんだから、彼らを保護するのがまず優先だ。特等席を死守してくれてるから、これから俺たち後発部隊と交代して昼まで休んでもらう。時間限られてる連中はもちろん途中で抜けてくれていい。補充はこっちで割り振るから、急な用事などはすぐに俺にメール飛ばしてくれ。対処する。」

 ネトゲなど所詮は遊び。けれど、ガチで遊ぶのが彼らの流儀だ。


 このゲームは基本PKがOKだ。邪魔なプレイヤーは排除される。カタック湖のフィールドは広いのだが、それでも全てのプレイヤーが群がり釣り糸を垂れていられるほどのスペースはない。自然、場所の奪い合いが発生し、初日からスタートダッシュを決められるギルドは大手のみに限られる。チャンネル全てで、古参を抱える大きなギルドの複数が陣地の奪い合いを繰り広げるのだ。

 弱小ギルドはイベント期間の後半から釣り場へ来て、空いたスペースで細々と釣ることになる。期間後半となれば、優勝争いに関わらないギルドは飽きて釣りを放棄しているから結構釣り場は閑散とするのだ。多くのギルドは最初から優勝は諦めていて、ただコイン入手のみを目的とする。


 優勝を逃したからと言って、プレイに支障を来たすことはないし、優勝で貰える賞品も特別に優れているわけではない。強者だけが持ち得るお飾りの装備が貰えるに過ぎず、また、それすら強奪出来てしまえるのだから、本当に意味はない。

 けれど、優勝するのはもっともポイントを稼いだギルドであり、ポイントを稼いだということは、すなわちコインが大量に入手出来たということなのだ。オマケで貰える経験値アイテムも。

 強いギルドにプレイヤーは自然と集まってくる。目当てのレアアイテムは、記念BOXを山ほど開けないと出てこないのだから仕方がない。とにかく、出ないことには話にならない。誰かが出せば、それを強奪するという希望が生まれる。


 一旦解散、そして10分後に再びギルド員は再集結した。古参プレイヤーは新人を囲むような陣形を取り、それぞれに臨戦態勢だ。冬夜とアキラはレオとたっくんに挟まれる形で縦一列に並んだ。レオはすぐさま何かの補助スキルを使用し盾を構え、サブマスたっくんも両手のシリンダーを充填状態にしていた。いつでも撃ち出せる。

「よし、それじゃフィールドマークの準備をして、出発だ!」

 レオを先頭に、多数のプレイヤーがぞろぞろと移動を開始した。なぜ戦闘態勢なのかは、フィールドチェンジした時点で判明した。いきなり、弓矢の雨と魔法弾の洗礼に見舞われた。


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