優しくしないで
病室の扉、二回ノックされた。
「大倉さん」
「…………穂見さんですか?」
「はい。穂見です」
病院の個室。わたしはそこで暮らしている。
入院する必要のある病気になんてかかってないんだけど、両親が強く勧めるものだから仕方なくここにいる。
たぶん両親は、わたしのことを邪魔に思ってるんだと思う。わたしなんかいなくても姉が家を取り持てばいいし、今のわたしが家に戻ってもなんの役に立つこともできない。
家族みんなそれを察しているから、わたしはこの病院に入院している。
お金さえ払っていれば入院できるんだから、病院もまたいい加減なものだ。
「大倉さん。ご飯の時間ですよ」
「わかってますよ」
穂見さんはわたしの目の前に病院食を持ってきた――と、思う。ほんとうに目の前にあるかどうかはわからない。
わたしは、目が見えないのだ。
半年前に失明した。原因は白内障。以来、この病院で入院している。
「白米。味噌汁。鯖の味噌煮。ほうれん草。リンゴ……、どれから食べますか?」
「穂見さん。敬語やめて。ふつうに話して」
「どれから食べたい?」
「…………リンゴ」
「うん。わかった」
わたしは口を大きく開けた。
口の中にリンゴが入ってくる。舌で形を確かめるに、たぶんうさぎの形に切っているんだと思う。見えないわたしにはどうでもいいことだけど。
「リンゴぜんぶください」
「はいはい」
わたしの言葉になんら反抗的な態度を見せず、穂見さんはリンゴを食べさせてくれた。
もぐもぐとリンゴを食べる。ごくん、と呑み込む。
「次、なに食べる? 鯖食べる?」
「いらない」
「……いらないの?」
「いらない」
「……ちゃんと食べないと栄養摂れないわよ?」
「栄養なんていらない。どうせ生きてたって意味ないんだから、健康を維持する必要なんてない」
「…………」
「下げて」
「……うん」
穂見さんは、病院食を下げた。と思う。
途端、わたしは布団をしわくちゃに掴んだ。まったく反抗してこない穂見さんの態度に怒ったのだ。
どうしてこうも、みんな、わたしに優しくするんだろう。わたしの言うことを聞いてくれるんだろう。
わたしが弱いから? 視覚障害者だから優しくしてるの?
善意的な差別。
どちらにしろムカつく。みんなと同じように扱ってほしい。だってそれって、わたしのことを無能だって言ってるようなものだから。
善意だとしても、それが差別なら、見下しているということだ。
「ねえ、穂見さん」
「うん?」
「もう行くの?」
「……なにもないなら、仕事に戻るつもり」
「わたしに構うのも仕事でしょ」
「……そうだった」
「もうすこしここにいて」
「……うん。わかった」
穂見さんは、病院食を乗せてある盆をどこかに置いた。それからわたしの横でパイプイスを開いて、それに座る。
これくらいなら見えなくても音でわかる。それくらい失明であることには慣れている。
「穂見さん」
「なぁに?」
「穂見さんって、何歳なんでしたっけ」
「二十六よ」
「わたしの十歳年上ですね」
「そうね」
「ババアですね」
「……そうかしら」
「…………嘘ですよ」
わたしはまた布団を握る。今度は自分自身に怒りを覚えたから。いや、虚しさを感じたから。
どうしてこうわたしは口が悪いのだろう。もっと楽しく、笑い合うようにお話したいんだけど、どうもうまくいかない。
気持ちが、勢い余って、ナイフみたいに飛び出してしまう。
優しくされているのに、優しくすることができない。優しさがよくわからない。
「穂見さん」
「なぁに?」
「セックスってしたことありますか?」
「……あるわよ」
「気持ちよかったですか?」
「……あんまり」
「そうですか。ところでわたしもセックスしたころあるんですよ」
「え? そうなの?」
「中学二年のとき捨てました。漫画の影響っていうのもあるんですけど、なんか男子を弄んでいるうちにそこまでいっちゃって」
「そうなんだ」
「最悪でしたよ」
「そっかぁ」
「目が見えてれば、今すぐにでも殺したいです」
「殺したいんだねー」
てきとうな相槌だなぁ。とわたしは思った。
それでも話を否定しないことだけはありがたいと思う。喋っているときに遮られるのはいちばん嫌なことだ。
「穂見さん」
「なぁに?」
「どうしてわたしの話を聞いてくれるんですか?」
「……どうして、って?」
「わたしの担当医だから話を聞いてくれているんですか?」
「……どうかしら。きっかけとしてはそうかもしれないけど」
「今は違うんですか?」
「そうね。大倉さんといっしょにいるのも、楽しくなってきちゃったから」
「ほんとうですか?」
「ほんとうよ。ここ、居心地いいもの」
「それは仕事をサボる大義名分ができるからなんじゃないですか? わたしが引き止めてる限り、他の仕事をする必要がない」
「ふふ。そうかもね」
「……なんですか。そこは否定してくださいよ」
「うふふ、ごめんなさい」
くすくす、と、抑えるように穂見さんは笑った。
わたしは気が緩んだようになって、布団を離す。それから俯く。
「穂見さん、手、握りたいです」
「うん。いいわよ」
わたしは手を前に出した。その手を、穂見さんに握ってもらう。
時々、いや来てくれるたびにわたしはこうして穂見さんと手を握る。こうしていると、わたしはまだこの世界と繋がっているのだと実感できる。
人の手の温もりを感じる時――それがわたしにとっての、生きている時。
逆に言えば、それ以外の時なんてゴミ。
穂見さんがいない時間ほど退屈で、無駄なものはない。
「……ずっとここにいてくれませんか?」
「……ごめんね。それはできないの」
「わたし、穂見さんのことが好きです」
「…………」
「穂見さんがいなくなったら、わたし、たぶん自殺すると思います」
「そう……」
「…………」
「…………」
「ごめんなさい。わがままでした」
「あ、べつに気にしては……」
「いいんですよ。わかってるんです。わたしだけに構っていたら、仕事なんてできませんよ。わたしがいちばんよくわかってます」
「そんな……」
「わたしのことなんて気にしないでください。穂見さんの重みになりたくないですし、わたし、こう見えても強いんですから」
「……そっか」
「だから、また来てください」
「うん」
そうしてわたしのほうから手を離した。
穂見さんは部屋を出て行った。
こうしてわたしは再び独り。
弱い人間が強がると、こうやって、お互いが損をするかたちで孤独になってしまう。
下らない。
「……お腹空いた……」
そういえば穂見さん、お盆を忘れていったなぁ。いや、わざと置いていったのか。
もう一人でご飯くらい食べれるのだし、食べてしまおう。
わたしはベッドから出る。
冷たい病院の床に、足をつける。
目が見えなくたって、歩ける。ちゃんと目的の場所へだって、行ける。穂見さんも、両親も、お姉ちゃんも、それをわかってない。
わたしはちゃんと一人でできる。
「…………」
だけどやっぱり、穂見さんには隣にいてほしい。そう思った。
*
「外出したいです」
ある日、わたしは穂見さんにそう提案した。
穂見さんはというと、
「外出許可証をもらわないと外出はできないわよ」
といった。
病院のシステムは面倒くさい。
なにか一つやろうとするたびに許可をもらわなくちゃいけない。たぶんそれは、病人のことを犬か何かだと思っている証拠。病人一人ではなにもできないと思ってるんだ。差別だ。
「許可証……、それってどうやってもらえるんですか?」
「院長と話し合って、外出してもいいと判断してくれればもらえるわよ」
「……院長と話すんですか? わたしが?」
「ええ。大倉さん本人が、診てもらうの」
「……めんどくさいです」
わたしは布団を被って、窓の方へ寝返った。必然、穂見さんには背中を向けた。
穂見さんはクスクスと笑っている。子供のわがままに呆れる母親みたいだ。
「わたし、人と話したくないんですよ」
「どうして?」
「わたしのことを腫れ物扱いするからです。その態度が見て取れる人とは話したくないです」
「大丈夫よ。院長はそんなことしない」
「あと権力のある人も嫌いなんです。ぜったい心のどこかで自分を偉いって思ってますから」
「そうかしら?」
「見下してくるのが嫌いです」
わたしは布団をさらにかぶった。
「でも、だからこそ穂見さんは好きですよ」
「……どういう意味?」
「看護婦って、ぜったい下っ端じゃないですか。だから好きなんです」
「……そうなんだ」
クスクスと笑った。バカにされたのに笑うのは、大人の余裕というやつかもしれない。……そういうのが嫌いだって言ってるのに、わかんないのかなぁ。
それともわかっててやってるのかな。
「穂見さん」
「なぁに?」
「わたしといっしょに外出してください」
「……? それはいいけど、院長と話したくないんじゃ?」
「院長とは話しません。外出許可証もいりません」
「え……?」
「夜、病院を抜け出るんです」
「……そんなことしちゃいけないわよ」
「どうしてですか?」
「どうしてって……、危険だからよ」
「穂見さんがわたしを守ってくれるんじゃないんですか?」
「…………」
「それとも病人を無許可で出したら、穂見さんが怒られるからですか?」
「……意地悪な子ね」
「意地張ってないと生きてられませんよ」
わたしは穂見さんのほうに寝返りを打って、寝たままで穂見さんの顔を向いた。
わたしは目が見えない。だけどこうして顔を向けていれば、なにかを与えられるはず。そんな気がする。
「……どうしても出たいの?」
穂見さんは困った声で応答した。
わたしは逡巡する。頼みを無碍にしないということだけをとってみても、穂見さんは信用に値する。
わたしの気持ちを汲み取りたいという心遣い――それが感じられるだけで、とてもありがたいのだった。
「出たいです」
「……私から院長に掛け合ってみようか?」
「ダメです。無許可で外に出たいんです」
「……無許可で?」
「無許可じゃないと、意味がないんです」
「…………」
大人の穂見さんなら、こういう心理をわかっているのかな。
人の約束を破りたい。無意味に嘘をつきたい。誰かを悲しませたい――そんな欲求を、理解してくれるのかな。
幸せに生きている人にはぜったいにわからないだろうけど……、そんな気持ちが、わたしには確かにある。
迷惑をかけたいという欲求が、わたしにはある。
それを気持ち悪いといって否定する人間は、きっと幸せな人間だ。わたしの持っていない、幸せを持っている人だ。
幸せな人になんかわかってもらいたくない。そんなのどうあがいても同情だから。同情ということは、つまり、善意的な差別だから。
「…………」
穂見さんはしばらく考え込んでいた。
きっと天秤にかけているんだろう――看護婦として責務をまっとうするか、一病人のわがままを聞き入れるか。
こういう時こそが、人を分ける分かれ道。
進んで損を選ぶ人こそ、わたしの求めている人。
わたしが好きになれる人。
「わかったわ。じゃあ今夜、抜け出しちゃおっか」
「……ありがとうございます」
穂見さんは、わたしのわがままを選んでくれた。
忘れかけていた温かみが、心に広がった気がした。
*
その日の夜、わたしは、穂見さんの手に引かれて病院を抜け出したのだった。
久々の外。
夜風を全身で感じる。
外にいる、というこの気分は、まさに生きている実感というものを強烈に与えてくれる。
病室なんていう生ぬるい場所で燻っているよりも、夜風に当てられて寒いと感じるほうがよっぽど幸せだ。
「段差、気をつけて」
「はい……。う、うわっ」
転びそうになったわたしは、穂見さんの手をぎゅっと握る。
大丈夫。この手を握っている限り、踏み外すことはないから。
穂見さんといっしょにいれば……、大丈夫……。
「どこか行きたい場所はある?」
「……考えてませんでした」
「そっか。じゃあ、浜辺まで散歩しよっか」
「……はい」
こんな寒い時期に浜辺なんていってどうするんですか、なんていう無粋な台詞は、ここでは言いたくなかった。ふだんのわたしなら言っているんだろうけど、今のわたしは違っていたのだった。
「穂見さん」
「なぁに?」
「……わがままいって、ごめんなさい」
「なにいってるの。いいのいいの」
気弱だとはわかっている。傲慢な態度をとったなら、そのまま傲慢でいるべきだ。傲慢な要求が通ったとたんに傲慢でなくなるなんて、そんなのずるい。わかっている。
わかっているけれど――穂見さんに、許してほしかった。
自分の罪悪を。
許してほしかった
「わたし、穂見さんにいっぱいわがままいってますよね」
「そんなことないよ」
「こんな餓鬼をつれて外に出て……、面倒だって思ってませんか?」
「思ってないよ。思ってたら、ぜったいに外出なんてさせてない」
「……ありがとうございます」
不覚にも、涙声になってしまった。
……目が見えなくなっても、涙って出るのかな。わたしは自分が辛いときにしか泣いたことがないから、これから泣くことなんてもうないと思っていたけど。
人の優しさに触れて、それで涙を流せたら、わたしも幸せになれるかもしれない。
「人間って、どうして痛みがわかるんでしょうね」
「ん?」
「いえ、人間ではなく、動物もですか。聞いた話なんですけど、虫には痛覚がないらしくって」
「へぇ、そうなんだ」
「でも動物だって、他人の痛みまではわからないですよね。敵は敵、味方は味方って割り切ってるっていうか……」
「うんうん」
「えっと……」
「うん?」
「……なにがいいたいのか、自分でもわかりません」
「そっか……」
なにを伝えたいのだろう、わたしは。
わからない。
どうしてもわからない。
「浜辺、ついたよ」
「……海の匂いがします」
小さい頃、家族で行った覚えがある。わたしは意地でも水着にならなかった。お姉ちゃんやお母さんが楽しそうに遊んでいても、頑なに泳ごうとはしなかった。
今思えば、どうしてあの時泳がなかったのかと、後悔している。
「大倉さん?」
わたしは、穂見さんの手を離した。
海の匂いがするほうへ、一人で歩いていく。
「お、大倉さん……!?」
穂見さんが大きな声を出した。
わたしは、それから逃げるように海のほうへと走っていく。
足が変な感じがする。走るなんて、半年以上していない。足の筋肉が走る動作を忘れかけているのかもしれない。
でも、いま、大倉さんに捕まっちゃダメなんだ。
海のほうへ行かなくちゃ。
「大倉さん! 待って!」
靴が、濡れる。
靴下も、ぐちょぐちょと。
だけどわたしは足を止めない。
もっともっと進んでいく。
ふくらはぎ、ふともも、股。
足が重くなる。
全身が寒くなる。
今目の前にあるはずの大海原――決して見えないけど、肌で感じるその広大さに、心が呑まれそうになる。
だからこそ。
わたしは、自分からその海へと、さらに深いところへ向かって歩いていく。
進む。
進むんだ。
「――うわぁっ!!」
不意に、足がもつれた。
前のめりに倒れて、体が海に沈む。
足がしびれている。
方向感覚もわからない。
前も後ろも、上も下も、なにもかもがわからない。
呼吸のできない無重力で、わたしは、もがいた。
なんども、もがく。どこに上があるのか、わからないまま、もがく。窒息寸前。だけど死んだっていいかな。どうせ生きていたっていいことないしな。そんなふうに諦観する気持ちもあったけど、もがく手足は止めない。
大丈夫なんだ。
一人でも、大丈夫なんだ。
穂見さんが来る前に。
穂見さんに助けられる前に。
自分の、力で。
立ち上がるんだ。
「ぷはぁ――っ!」
足がついた。
顔が夜風にさらされた。
全身はずぶぬれ。髪も塩水でぐちゃぐちゃ。鼻に入った塩水が、気持ち悪く残っている。
寒い。濡れた体に夜風は冷たい。
「大倉さん……っ!」
後ろから声が聞こえてくる。
わたしは振り返って、両手を大きく広げる。
そして、言った。大きな声で。
「大丈夫ですよ!」
大丈夫なんだ。
「一人でも、ちゃんとたちあがれますから!」
目が見えないからって、溺れるかと思ってた?
そんなわけないでしょ。わたしだって人間なんだ。自分の体くらい、自分で動かせる。
舐めるな。
わたしだって立派にやれるんだ。
「大倉、さん……っ! ば、バカ……っ! ほんとに……、もうっ!」
穂見さんは泣いていた。声だけでそれはよくわかった。
穂見さんは、やってきた。わたしのいる地点にまでやってきた。そして強く抱きしめた。
「心配、したんだから……っ! ほんとに、ほんとに……っ!」
「……えへへ」
謝るつもりはなかった。
穂見さんだって謝られたくはなかったはずだ。
この時だけは、穂見さんの気持ちがよくわかった。
わたしにも、人の気持ちが、よくわかった。
胸が暖かい。
目頭が熱い。
でも海水でずぶ濡れだから、たとえ涙を流していても、それが涙かどうかはわからない。
それでいい。
涙なんてこの場にはいらない。わたしが涙を流したら、台無しだ。
「わたし、一人でちゃんとやれますよ」
「うん……」
「だから穂見さん」
わたしは言った。
震える声で言った。
「優しくなんて、しないでください」
*
次の日、わたしは当然怒られた。穂見さんも怒られた。きっとわたしよりも怒られただろう。
ずぶ濡れになって帰ってきたことを問いただされたけど、それについてはぜったいに答えなかった。穂見さんも答えなかった。
いいんだ。どうせ他の人たちには理解なんてされない。それでいい。誰かに理解されたくてやったわけじゃない。ただ穂見さんにだけ伝わってくれればそれでよかったんだ。
病室の扉、二回ノックされた。
「大倉ちゃん」
穂見さんが入ってきた。
今日もまた病院食を持ってきてくれたようだ。盆をわたしの前に置いた。
そうして、わたしにお箸を渡した。
わたしはお箸を使って、病院食を自分で食べる。
「風邪、引いてない?」
「大丈夫ですよ。喉がちょっと枯れかけてますけど」
「……ほんとうに大丈夫?」
「大丈夫です」
わたしは味噌汁を啜った。鯖の味噌煮を食べやすく分けて、ご飯といっしょに食べる。もちろんほうれん草だって好き嫌いせずきちんと食べる。
「ね、ご飯くらい一人で食べられるんですよ」
「……ほんとうね」
「穂見さんがいないとき、一人で食べる練習してたんですから」
「……どうして言ってくれなかったの?」
「驚かせたかったからです」
「……そっか」
クス、と穂見さんは笑った。
「ごめんね。できないなんて思ってちゃって」
「ほんとうですよ。やってもないのにできないなんて決め付けないでください」
「気をつけるわ」
「ありがとうございます」
ご飯をすべて食べ終えた。
お箸を置く。
「外出許可証、もらえますかね?」
「ちゃんと院長に話せばもらえると思うけど……、昨日のことがあるからね」
「すぐにはもらえないですか」
「たぶんね」
「でも、一回話してきます」
「うん」
わたしは、穂見さんのほうを向いた。
そして言う。
「穂見さん」
「なぁに?」
「リンゴだけ食べさせてください」
「はいはい」
わたしは口を大きく開けた。
そしてリンゴを食べさせてもらった。
美味しい。