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災禍ノ獣  作者: ef-horizon
【災禍】ノ呼ビ声
14/20

真実とは




――――ユキ。



 助けられなかった悔み、ユウは深き闇の底へと落ちる。奴の言うとおり世界を救えば、ユキも救えるのだろうか。


 それが正しいのだろうか。


 それが真実なのか?



 ――――俺は、お前を……!


 主よ。


 闇の底で声が聞こえる。


 ふと眼を開ければ、闇の底に光がさして、ユウは眩さに目を見開いた。そこには真っ白な何かが暗闇に浮かんでいた。


 それは、どこかなつかしかった。



 ――――ハク……。


 主よ。お前が望んだのは、世界を救う事か?



 ――――違う。だけど、アイツが世界を救う事で、ユキを救えるのなら、俺は。


 そうではない。


 かつて告げたはずだ。


 この世界に真実などはない。


 お前の言う世界を救う事と、あの男がいう世界が救うということ、全て本当に同じことか?


 本当に、あの男は世界を救うのか?


 あの男が、お前の言うマナを見捨てたと、本当に考えるのか?


 お前が間違っているのか?


 どちらかが正しい、そんな事が存在しえるのか?



 ――――あ……。



 問いただせ、お前は本当に間違っているのか。そもそも正解の基準など存在するのか。



 ――――俺は……。



 お前は単に相手の価値観が、自分より劣っていると、自分を否定したんだ。


 でもそうではない。


 誰もが独立した生き方をしている中、どちらかが正しことなんてありえない。なぜなら誰もが全身でこの宇宙で生きているからだ。


 ならば彼の者が見ている世界と、此の者が見ている世界は、全く違う。


 それなのに、お前は相手の世界に自分自身を置く。


 自分自身が死に物狂いでみつけ出した【真実】を捨て去って。


 女を見捨てた?


 違う。


 お前は自分自身の意志で一人の女を選んだ。


 それがお前の罪?


 違う。


 それは他者が決め付けた言い訳に過ぎない。


 お前はお前自身の【眼】で世界を見てきた。


 そうして積み上げた記憶と思い出は、お前にとっての全てだ。


 それこそがお前の【世界】だ。


 他人の入る余地など、どこにもない。


 お前はようやく、この世界をこの【眼】で見たんだ。



 ―――――ユキ……大好きなユキ。いつも一緒で、いつも手を繋いで。



 他人の価値観に依りすがるな。

 それは甘えだ。

 

 自分の価値観を相手にぶつけろ。


 どれだけ打ちのめされようと、どれだけ否定されようと、バカにされて下を向くようなことをするな。


 戦え。


 相手を圧倒しろ。


 自らの為すべきことを、相手よりも強く前に進んで行え。


 お前に敷かれた道はない。


 あるのは獣道。


 そしてその道に立つのは、たった一人。


 お前だけだ。



 ――――ユキ……ユキッ!



 あの男が、その女を救うのではない。


 誰でもない、お前自身がその拳を掲げるのだ。



 ――――俺が……俺がユキを助ける!



 さぁ行け。


 その身体が滅びるのなら、我が真なる身体を貸そう。


 立ち向かえ。


 我が力と共に世界を滅ぼしてでも、自らが選んだのなら、その暗き孤独の道を進め。


 行く道を退くな。


 壁を砕け。


 突き進め。


 戦え。


 奏夜ユウ……!


「グォァアアアアアアアアア!」


 暗闇にこだまする咆哮が、真なる獣を呼び覚ます。


 さぁ神よ。


 かつて死した旧き神よ。


 見よ。


 お前がかつて否定した【獣】が眼を覚ますぞ――――――

 



―――――グォオオオオオオオオオオオオオオオッ




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