欠けた虹、遠い景色
思い出すのは、小さな少女の棺。
暗がりの中、葬式がしめやかに行われた。
棺を奥に左右に喪服姿の人達が、顔を隠して並んでいた。誰かはわからない、皆パイプ椅子に座っていた。
台座には大きな花が飾られていた。
台座には写真が飾られていた。
黒塗りの写真が飾られていた。
真っ黒で誰かわからなかった。
暗がりの中、明りが二つ、台座に飾られ回っていた。
雨の音が強くなった。
水音が、まるで足音の様で僕は後ろを振り返った。
外は真っ暗だった。
雨が視界を塞ぐ、深い暗闇がどこまでも広がっていた。
――――君。
焼香の時間。
僕は一人棺の前にやってきて、香を落す。
立ち上る煙。
白い煙が暗がりの中、空へと立ち上った。
ふと、僕は棺の窓を開く。
誰が入っているのか、僕は知らなかった。
見えたのは人じゃなかった。
暗闇。
深い暗闇が詰まっていた。
そこも見えない、透き通った闇が棺の中に満たされていて、僕はその闇へとゆっくりと手を伸ばして触った。
暗闇が指を伝った。
痛みが微かに走った。
眼の奥が、熱を帯びた。
誰かが、呼んでいる気がした。
誰かが――――
―――――霊柩車が棺を納める。
顔の見えない大人が棺をほの暗い車内へと捩じりこむ。
参列者が散り散りになる中、マフラーから排気ガスを吹かし、黒い霊柩車がゆっくりとタイヤを動かし始める。
周りは田んぼだらけで明りはなく、ただエンジン音が強い雨脚の中、けたたましく響き渡る。
静かな雨の夜。
雨が降り続ける。
雨音が激しく僕の傘を叩く。
眼の前が雨に白んでいって、遠くの山の景色も見えなくなっていく。
霊柩車の影も見えない。
何も見えない。
――――私の名前、覚えてる?
ふと雫が、頬を伝った。
眼の奥が熱かった。
何かはわからなかったけど、見開いた右目からとめどなく涙があふれた。
なのに、涙で視界は滲まない。
鮮明に暗闇を映し、夜の雨の中へと消えていく霊柩車をハッキリと瞳が映す。
あの中には、誰かが入っている。
僕の大切な――――
「――――ユキ……」
誰かはわからなかった。
だけど僕の【眼】はハッキリと真実を見つめていた。
僕はこの日、誰よりも大切な人を失った。
僕は―――――
――――昼の日差し暖かな午後。
「奏夜ぁ!」
教室一杯に弾ける怒声。
静まり返ったクラスの中、一人跳ね起きる青年に向かって、教壇に向かっていた熊のような大男は手のチョークを突き出した。
「よく眠ったなぁ、出席番号十七番!」
「……はいっ」
「はいじゃないだろッ!」
「おはようございます、虎矢先生」
「よろしい!」
青筋を額に浮かべ引きつった笑みを浮かべる髭面の中年教師に、青年は少しとぼけた表情で首を傾げた。
その府抜けた態度に、更に虎矢と呼ばれた教師は顔を紅くして怒鳴る。
「お前は……一体いつまで寝とるんじゃバカたれがぁ!」
「……」
まだ視界が眠気でぼやける。
意識が未だハッキリとしていなくて、焦点が定まらず、青年は少し髪を掻きむしりつつ、立ったまま手元を見下ろした。
ベットリと唾液で濡れたノート。
クシャクシャになった英和辞書の一頁。
なのに教科書は開いておらず、表紙には『英語AⅠ』の文字がしっかりと書かれていた。
名前欄には『一年Bクラス十七番 奏夜ユウ』の文字。
さすがに自分の名前は思い出したのか、ユウは苦笑いを浮かべながら、教科書を適当に数ページ開いて顔を上げた。
そこには背中から覇気を上げる教師。
今にもチョークが飛んできそうな気配に、ユウは苦笑いを滲ませた。
「……一時間ぐらい?」
ザワつく教室。
飛ぶぞ。
飛んでくるぞ。
そんな声が聞こえる中、虎矢は眼を血走らせて手に持ったチョークをへし折るほどに肩をわななかせた。
お、飛ばないか?
そんな声が方々から聞こえる中、虎矢は手元のチョークボックスから更にもう一本取り出す。
「――――奏夜ユウッ!」
正にノーモーションの如き投球フォーム。
投手と思えるほどの速度で飛んでくるチョーク。
その切っ先は自身の額。
簡単に読めた。
さっと飛んでくるチョークを二つ指で挟むと、ユウは少し呆れた表情で白チョークを手で転がして、肩をすぼめて見せた。
「暴力ですよ?」
「やかましい! さっさとこれを訳して見せろ!」
割れんばかりに、虎矢は黒板を叩いて見せる。
そこにはびっしりと書かれた英文。生粋の日本人には、到底辞書なしには読めない分量と文字の難解さだった。
ユウは更に肩をすぼめて見せる。
「アカハラぁ……」
「それが答えか……!」
わななく虎矢。
これ以上はからかえないとなと考えつつ、ユウは気だるげな様相でクシャリと髪を手持無沙汰に掻いた。
少しだけ視線を落とす。
そして徐に右目を少しだけ擦る。
そして、息を吸い込む。
(……【慧眼】)
―――――浮かびあがる、黒き印。
刹那、俯いた顔を上げるユウの右目の周りには、うっすらと黒い文様が刻み込まれ耳元まで浮かび上がった。
見開く眼光。
その右の瞳は、先ほどまでの黒ではく、血のように紅い。
そして、その深紅の瞳には黒い文様が浮かんでいた。
それはまるで血を浴びた月のように――――
「……訳しますよ、先生」
「!?」
――――見えた。
紅く滲んだユウの視界。
そこにはびっしりと黒板に連なられた英文が見えた。その文章の一段下、被せるように日本語が長々と書かれていた。
それが答え。
それが、この問いの【真実】―――――
「私は昨日、休みの日にグレイビア国立公園の散歩を、十月二日で十歳になる愛犬ペトロと一緒にしていた」
突然、正解に等しい訳文を答え始める生徒に、皆凍りつき、教師すら、愕然とした表情で口を開けたまま動かない。
皆、まるで時が止まったかのよう。
静寂が広がる。
ただ一人、ユウだけが右目を細めて、紅き視界に映る【真実】を語り続ける。
「だけど突然の雨。今朝の天気予報では晴れと予報していたのだが、全く突然の出来事に私は驚いて近くの木の根元に飛び込んだ。
犬はずぶぬれだった。だけどとても楽しそうで、まるでこの強い雨の調子に合わせてダンスをしているようだった」
「……」
「――――訳、これで全部ですか?」
静まり返った教室に響く一言。
ハッとなる虎矢の視界には、立ちつくす夏服姿の生徒が立っていた。
表情一つ変えず、立っていた。
その右目は血のように紅かった。
その瞳はまるで獣のように鋭く、きつく―――――
「……。座れ」
「あいよ」
「ちゃんと返事しろ!」
「はい」
肩を震わせ、僅かに笑みを滲ませつつ、ユウは席に座りつつ、親指で手に持ったチョークを弾き飛ばした。
弧を描いて宙を舞う白いチョーク。
そうして綺麗にチョークケースに入る様を見届けつつ、虎矢は憤懣やるかたなしといった様相で顔を背ける。
そして静けさの中、虎矢の怒声にも近い授業が開始される。
「ったく……」
息を吐きだし、肩をすぼめるユウ。
右の目元を抑えつつ頬杖をつくと、窓際の席から窓を見つめて、窓にうっすらと映る自分の顔を覗き込んだ。
そこには既に目元に浮かんでいた黒い痣は消えていた。
その模様は曰く、誰にも見えない模様だった。
その目は曰く、誰も持っていない眼だった。
【慧眼】
最近になってユウが名付けたその眼は、ありとあらゆる真実なるものを見つける眼だった。
真実を映す瞳。
ユウは幼いころから、その力を持つ特異な少年だった。
(――――真実、かぁ)
全ての真実が見えるわけではない。
それでもここぞという場面で真実を見せ、その度に黒い模様を身体に刻みつけるその力は、どこか空恐ろしかった。
それでも眼を開けば、自然と眼が真実を語る。
聞きたくない事も見たくない事も、自然と見せる。
時折吐き気のするような景色に、ユウはため息と共に、痛む右目を閉じて窓の向こうを見つめていた。
――――コンコン……
「あの……」
机を叩く小さな音と共に、声が背中に掛かる。
か細い声。
よく知っていた。
ユウは右目を少し閉じつつ振り返れば、隣の席に座る少女が少し心配そうにハンカチを差し出していた。
幼い顔立ちは小学生と見まごう程。
心配そうに見つめる大きな瞳。
背丈はユウの胸元程で、小柄な体つきに肩を少し縮こまらせつつ、クラスメイトの刀鷹マナは小声で話しかける。
「奏夜くん、大丈夫……?」
「おう。あれぐらいだったらな」
「う、ううん」
「あん?」
「……。胸元」
見下ろせばそこにはベットリと濡れた首周り。
まさかここまでよだれを垂らしていたとは思えず、ユウは顔を引きつらせながら、濡れた首周りを指で拭った。
「汗、だよな……」
「は、ハンカチあるよッ」
「はは、悪いな」
顔を赤らめ照れくさそうに笑いつつユウは、ソッとハンカチを受け取り首周りに染みついた汗を拭いた。
ふと見れば、少し興奮気味にマナがこちらを上目遣いに覗きこんでいて、ユウは肩をすぼめた。
「どうした?」
「う、ううん……さっきの虎矢先生の問題よくできたなって思って」
「偶然だよ」
―――――【眼】を開いたとは言えず、ユウは苦笑いを見せる。
「でも……奏夜くんいつもテストは上位だし」
「勉強してるのさ。直前にな」
「すごい……私ずっと勉強してるのに、いつも赤点ぎりぎりだし」
そんなガッツリ勉強した記憶などさらさらなく、眼を輝かせるマナにユウは顔を引きつらせて眼を背けた。
「ま、まぁ。マナは剣道場の娘だしな、何かとやることあるんだろ」
「……道場はキライ」
「そっか」
「うん……」
「――――ほれ、ありがとう。後で洗って返すな」
そう言って拭い終えた首元を少し肌蹴させると、ユウは照れくさそうに微笑むと、濡れたハンカチをポケットに入れようとした。
と、マナは真っ赤な顔をブンブンさせて前のめりに、ユウの席に乗っかる。
「あ、いいッ! 全然いいよっ、奏夜くんが洗わなくてもいいからッ。今返していいから!」
「あ、でもだな」
「ダメッ。奏夜くんの汗がついてるんだよッ」
「だから……」
「だから!」
「――――はい」
幼い顔を真っ赤にして、マナは奏夜の手首を掴む。
気押されて、ユウは複雑な表情と共にコクリと頷くと、謂われるままにそっと濡れたハンカチを手渡した。
「いいのか?」
「うん……いいの」
「……」
「よし……」
興奮気味な表情で小さくガッツポーズをするマナに、複雑な表情を滲ませつつ、ユウは机に向かおうとした。
―――――視線。
ハッとなって後ろを振り返れば、こちらを冷たく睨みつける少女が一人いた。
後ろから二つ目。
斜めにこちらを睨む顔は、顔立ちはマナと同じくらい幼さを帯びつつも、その冷たい瞳がその幼稚さをかき消した。
紫苑院夕紀。
同じクラスメイトで風紀委員。
その仏頂面な表情はこちらをじっと見つめていて、ユウは気まずそうに首をすぼめて視線を外した。
(なんなんだよ、全く……)
顔を背けど、視線が突き刺さる様子は変わらない。
その今にも噛みつきそうな雰囲気に、ユウは気まずそうに首をすぼめて黒板から窓の向こうへと再び視線を向けた。
(無愛想が……)
――――【慧眼】で考えを読むこともできた。
だが、ユウは決してそれをすることはしなかった。
他人の心の仲間で読んでも、他人を理解することにはならない。その見つけた考えすらも一面的な真実だからだ。
そもそも、この得体のしれない力で、誰かの心を覗こうとも考えられなかった。
この力が一体どこから出てきたのか、ユウ自身まだはっきりとはしらない。
人にはない力。
人外の力。
この力を使うたび、眼の奥が痛みを覚えた。
その痛みは回数を重ねるたび大きく、多くなっていく。
(……極力、使わない方がいいんだがな)
いつからだろう。
この力に目覚めたのは。
(あの日……)
―――――思い出した。
幼馴染が死んだあの日からだ。
名前も忘れた、顔も知らない、小さな女の子。
だけど、胸の中に覚えのある、大切な少女の背中。
思い出そうとするたび、胸が締めつけられた。
ずっと覚えていると約束した。
なのに――――
「……」
「授業終了!」
授業終了のチャイムが鳴ると同時に、英語教師の虎矢が声を張り上げて叫び、思考が一瞬で中断される。
ユウはズルリと頬杖を崩すと、苦い表情で教壇に背中を向ける熊のような大男をジトリと睨みつけた。
「ったく……」
「お前ら次のページの英文ちゃんと訳しておけよ。特に奏夜ッ」
「……あいよ」
名指しで怒号を上げる虎矢に、ユウは苦い表情と共に手を振って再び机に突っ伏そうとした。
だが、周りは昼休みの時間もあって喧騒が増す。
声が聞こえるたび思考が中断される。
「よぉ、奏夜ッ。食堂行こうぜッ。今日は何食おうかな?」
「……先いってろ」
唐突に話しかけるクラスメイトに、ユウは苦い表情と共に机に突っ伏しつつ、恨めしげに横目でにらんだ。
その不満げに口元を尖らせる仕草にクラスメイトは不思議そうに首を傾げる。
「なんだよ、不機嫌だな」
「腹減ってるからな……」
「じゃあ尚更だろ?」
「……。ちょっと頭冷やしてくる」
――――考える時間が欲しかった。
「どこ行くんだよ?」
「秘密」
「便所飯?」
「殺すぞ……」
何かきっかけがつかめそうだった。
焦りにも似た感情に急かされながら、ユウは弁当を片手に足早に教室を後にして、校舎の階段を上った。
三階、そして四階。
そして屋上の入り口が、階段をのぼりながら見えてくる。
だがここは普段は鍵が勝っていては入れない。
「……あった」
そう言って、屋上の入り口近くに積み上げたごみや要廃棄の雑誌の裏に見つけたのは、屋上扉の合鍵。
こっそりと隠していた鍵を取り出し、ユウは扉を開けると、屋上に一歩を踏み出した。
刹那、視界いっぱいに広がる碧い空。
夏の風が身体を吹きぬけていき、ワイシャツがはためいて髪を撫でた。
焼けつくような日差しが身体を貫く。
心地いい。
眩さに目を細め風の身をゆだねながら、ユウはうっすらと額に汗を滲ませつつ、空を仰いで屋上の真ん中に立ちつくす。
夏の暑さに、記憶がうっすらと戻ってくるようだった。
声が、聞こえてくるようだった。
――――ユウ君ッ。
「……懐かしいな」
遠い昔の記憶。
幼馴染と居た時の思い出。
名前。
顔。
そして、後ろ姿。
なにも思い出せなかった。
「……楽しかったって、記憶がないんだよな」
そして、幼馴染が死んだ時、悲しいと感じた事もなかった。
ただ映像だけが断片的に残っている。
まるで映しこまれた様に。
或いは切り取られたかのように、頭の中に残っていて、後は他に何もない。
自分の記憶はどこへ行ったのか。
一年前、何があったのか。
あれは、誰だったのか?
「―――――見えない、か」
左目を手で抑え、右目を青空に向けて、ユウは一人そう囁いた。
黒い文様が右目元に浮かび、紅い瞳に黒い呪印が刻まれる。
だが、【慧眼】は何も教えない。
ただ空の青さを映すのみ。
その眩さに目を細め、ユウはクシャリと汗の滲む髪を掻き上げると、踵を返すままに給水塔へと登ろうとした。
一人で飯を食べよう。
そう思ってとりあえず場所だけ確保しようとした――――
「あ、奏夜くん……」
聞こえるのは、か細い少女の声。
振り返ればそこには強い夏の風にショートの髪を抑えつつ、惚けた表情で屋上の入り口に立つマナがいた。
手には小さなお弁当箱。
日差しに眼を細めながら、小走りに駆けよってくる様に、ユウは眼を丸くしつつ、給水塔から降りた。
「マナ……!」
「奏夜くん……こっちにいると思って」
「誰にも教えてないんだがな」
そう言って給水塔から飛び降りると、ユウは苦笑いと共に、パタパタと依ってくる少女に肩をすぼめた。
「どうしたんだ?」
「う、ううん。ただお昼一緒がいいなって、思って」
「そうか?」
「だめ……?」
「いいさ。ありがとう」
上目遣いに少し不安げに顔を覗き込む幼い少女に、ユウは安堵の表情と共にそっと柔らかな髪を撫でた。
少女は顔を赤らめて嬉しそうに目を細めて首をすぼめる。
「えへへぇ……じゃあ教室に戻ろう?」
そのあどけない仕草に、胸の内にあったつっかえが少し取れた気がした。
まるで長い間ずっと寄り添ってきた間柄のようだった。
まるで幼馴染のようだった。
まるで――――
「いや、ここで食べようか」
「でも、暑いよ」
「日影があるさ。空を見上げながら食べたい」
「そうなの?」
「わがままか?」
「――――ううんッ」
顔を赤らめ嬉しそうに目を細め駆け寄るマナに、ユウはクシャリと髪を掻き上げつつ、その手を差し出した。
「行こうか」
「え……ええ!?」
少女はハッと目を丸くして、膨らみも薄い小さな胸元を掻きむしりながら、差し出されたその大きな手とユウの顔を見比べる。
幼い顔が、今にも火が噴きそうなほど真っ赤になる。
右を見て、
左を見る。
今度は後ろを振り返り、誰もいないことを三回ほど確認する。
そして最期に恐る恐る、少女はその小さな手を、ユウの手の平に重ねて、真っ赤な顔を伏せて、コクリと頷く。
「は、はい……」
「なんだよ、いやか?」
「う、ううん……その……嬉しいです」
「恥ずかしいか?」
「う、ううん……その、私でいいのかなって」
「なんでだよ?」
「……」
「行こう」
「――――うんッ」
少女は照れくさそうに笑いながら、ぎこちなく頷くと、ユウに引っ張られるままに一歩を踏み出した。
「こっちだ。日陰なんてここ少なくてな」
「うん……」
同じ歩幅で二人は歩く。
縮まった距離で、少女は彼と共に歩き、その大きな背中を見上げる。
そして胸元を掻きむしる。
苦しげに、強く―――――
「けど空がきれいでいつも」
「あの……奏夜くん」
「あん?」
「―――――これからも、ギュッてしてくれる?」
「いいさ」
「……。ありがとうッ」
少女は微笑み、青年は強くその手を握りしめた。
夏の日差しが二人に降り注いだ。
久しく書いてなかったけど、まぁこんなもんよねぇ。よかったら感想ください。