Rie's diary
〜永遠の追憶〜第一部は、
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第二部は、
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わたしは、自分を幸せな人間だと思う。
他人と比較するのは好きじゃないけど、それでもやっぱり、どうしたって比べちゃう部分はある。
そうした時……勿論そうじゃない時もだけど、凄く幸せなんだって感じる。
優しい両親がいて、大切な友達がいて……。
そして……。
わたしの大好きな人には、お父さんがいない。
彼が小さい頃、交通事故に遭って亡くなったのだそうだ。
しかも、彼の目の前で。
彼を助ける為に……。
もしも、わたしが同じ場面に遭遇したら、どうだっただろう?
そのまま何年かが過ぎて、今みたいに笑えるだろうか……?
もしかしたら心が壊れて、二度と笑えなくなってしまったかもしれない。
さもなければ、変に歪んだ考えを持ってしまったかもしれない。
でも、彼は真っ直ぐだ。
ちょっと無愛想で、時々怖い顔をしたりもするけど、わたしに優しくしてくれる。
きっとそれは、彼のお母さんが優しい人だからだと思う。
愛情をいっぱい、彼に与えたからなんだろうと思う。
そして……いつも彼の傍で、ずっと彼を見つめていた子がいたからなんだろうと思う……。
その子は、今ではわたしの一番の親友だ。
ちょっと怖がりで泣き虫だけど、一本しっかりと芯が通ってる。
いつもは控え目で、他人の後ろに隠れてるような印象があるけど、いざって時にはとっても強い。
特に台所に入ってる時には無敵と言ってもいいと思う。
料理してる時は迫力があって、凄く怖いし……。
そんな時の彼女には、わたしでも逆らえない。
……と言うより、逆らう気にさえならない。
でも、基本的には 『女の子』 って表現がピッタリの子だ。
ちなみに、この子と彼は幼馴染で、生まれた時からず〜っと一緒なんだ。
ちょっぴり焼けちゃうけど……ま、これは仕方ないよね。
ただ、この子の両親は凄く忙しいらしくて、滅多に家族が揃わないんだって。
そのせいなのか、凄いしっかり者なんだ。
わたしも見習わなきゃね。
そうそう、わたしの友達には、もう一人 『女の子』 っていう感じの子がいる。
その子は大金持ちのお嬢様で、すっごく清楚。
儚げって言葉がピッタリ来るような、そんな女の子なんだ。
いつもニコニコしてて、和風の美人でスタイルも抜群。
何と言っても乳がデカい! これは彼女の中で唯一許せない部分だ。
横に並ばれると、わたしの胸は完全に隠れて見えなくな……って、そんな事はどうでもいい。
見た目は一部の隙も無い感じなんだけど、その割りにどこか抜けて……いやいや、天然ボ……じゃなくて、ちょっとお茶目な一面がある。
成績はトップクラスで、特に文系が凄いんだ。
難しい言葉をアッサリと普通に使っちゃうし、古文や漢文なんか、辞書も使わずにスラスラ読んじゃう。
ただ……あんまり人の話を聞いてない事がよくある。
理系も得意だから頭の回転は速い筈なんだけど、ボ〜っとしてると言うか、時々頭の中身がどっか行っちゃ……いやいや、ちょっと夢見がち。
でも、お茶やお花をやってるだけあって、その仕草は上品そのもの。
いつも慎ましやかで、何となく 『お母さん』 な印象もある、そんな子。
……なんだけど、思い込みが激しくて、時々暴走するのがちょっと……。
で、その子には双子の妹がいるんだけど、こっちはお姉さんとはちょっとタイプが違う。
わたしと大声で怒鳴り合うなんてしょっちゅうだし、お稽古事なんてな〜んにもしてない。
でも、わたしと同じく陸上部に入ってて、毎日一緒に汗を流してる。
お姉さんと違って、この子は運動神経抜群だ。
足の速さもわたしといい勝負で、練習しててもとっても楽しい。
あ、そうそう、この子達の両親もかなり忙しい人らしい。
何でも世界中を飛び回ってるとかで、家どころか日本にいない事が殆どだとか。
それもあって、小さい頃は随分寂しい思いをしてたみたい。
そんな家庭に育ったからなのか、この子って一見すると気が強そうなんだけど、本当は凄く寂しがり屋なんだって事を、わたしは知ってる。
前に一緒に喫茶店に行った時、この子、昔の話しをして泣いた事があったんだ。
何でも、双子のお姉さんと事ある毎に比較されてて、自分は要らない子なんだって思っちゃったんだって。
元々は同じ人間の筈なのに、お姉さんには出来て自分には出来ない。
努力しても追い付けない……自分は自分だって認めて欲しいのに認めてもらえない。
お姉さんに優しくされる度に、自分が惨めになって行くみたいだったって言ってた。
一人っ子のわたしには、正直言ってその気持ちの全部は解らない。
でも、それって、きっと物凄く辛かったんだと思う。
辛かったから……だから誰にも言えなくて、それで余計に悲しくて……。
でもね、これからは大丈夫!
長い付き合いしようねって約束したんだもん、絶対に大丈夫なのさ!
わたしは、その子をその子として認めたんだもん。
わたしの友達として、その子を選んだんだもん。
ただね、負けず嫌いなのはいいんだけど、寝食を忘れてゲームしちゃうのはどうかと思うんだ……。
あ、ゲームと言えば!
元々好きだったとは言え、この子を更にその道に引きずり込んで深みにはめたのは、わたしの彼の友達なんだよね〜……。
その人は根っからのお調子者で、わたしの彼とは正反対の性格。
大飯食らいだし、変な一発芸はするし、スケベだし、口からはギャグと冗談しか出て来ないし。
……なんて言うとただのバカみたいだけど、実は案外いい所が多いんだ。
案外なんて言ったら本人は嫌な顔するだろうけど、それでもわたしは言っちゃうのだ。
だって、わたしとその人は、そういう付き合いが出来る仲なんだもん。
わたしの彼もそうなんだけど、その人もとにかく腕っ節が強い。
子供の頃から喧嘩ばかりしてたらしくて、拳には殴りダコがある。
おまけに身体が大きくて馬力がある上、めちゃめちゃ打たれ強くて凄くタフ。
わたしが本気で突っ込み入れても、全然ダメージ受けないくらい頑丈。
でもね、ただ乱暴なだけじゃないの。
話してみて解ったんだけど、凄く周りに気を遣う人なんだ。
人が笑ってる顔を見るのが好きなんだって本人は言ってた。
特にお年寄りや小さな子に優しくて、すぐに場に馴染んじゃう。
何て言うのかな……壁が無いって感じかな?
特定の人だけじゃなくて、誰でも受け入れちゃう……そんな感じの人。
自分で自分の事を 『正義の味方』 って言い切っちゃうような子供っぽい所があるけど、何となく納得出来ちゃうかな?
でも、そんな陽気なこの人も、時々ふっと悲しげな表情をする事がある。
この人にはお母さんがいないんだけど、亡くなった訳じゃなくて、どうやら離婚したらしい。
だからなのかな……女の子と話す時って凄く楽しそうなんだけど、何となく別の物を見てるような、そんな感じがする事があったんだ。
ま、素敵な彼女もいる事だし、これからはそんな事も無いだろうけどね。
わたしの彼にはもう一人、中学時代からの友達がいるんだけど、こっちの人は超が付くくらい真面目で固い。
生真面目なんだけど、ガッチガチに糞真面目って訳じゃなくて、逆にそれが笑えるって事が多い。
この人はちょっと変わってて、女の人の前に出ると物凄くどもって、まともに話せなくなる。
女の人に対する免疫が全然無いらしくて、ちょっとからかったりすると顔が真っ赤になっちゃうんだ。
あんまり悪戯するのも可哀想だけど、リアクションが面白くて、ついつい構いたくなっちゃうんだよね〜。
でも、お祖父さんから剣術と抜刀術を習ってて、その腕前は超一流。
ひらひら舞ってる木の葉を、木刀で真っ二つに出来るんだって。
しかも、その木刀は鉛入り!
一度持たせてもらったんだけど、振るどころか、ちょっと持ち上げるのが精一杯だった。
身長はわたしと同じくらいなんだけど、やっぱり男の子なんだな〜って思った。
そんな彼には両親がいない。
船舶事故で亡くなったんだそうだけど、この人の境遇について詳しい話をした事は無い。
この人の師匠でもあるお祖父さんも亡くなって、今はアルバイトをしながら一人で生活してるんだって。
親戚の人を頼るのが普通じゃないかな? って思って訊いてみたんだけど、何となく笑って誤魔化されちゃった。
きっと話したくない事なんだろうな……。
わたしの彼からも、それについては訊くなって言われてる。
彼は何か知ってる感じなんだけど、話せる事なら話してくれる人だから、訊くなって言うからには理由があるんだろうな、きっと。
だから、わたしは何も訊かない事に決めた。
知らなくていい事まで知る必要は無いもんね、うん。
友達付き合い出来る程度の事だけ知ってれば充分だよね。
そんなこんなで、わたしは今日も元気に、そして精一杯生きてます。
たくさん遊んで、ちょっぴり勉強して、目一杯、恋をしてます。
出不精な彼をデートに連れ出すのは大変だけど、この頃コツが掴めて来たって感じかな?
十回の内、七回は連れ出せるようになったもんね。
最近では手を繋いでも振り解かなくなったし、何となく一緒にいるのが当たり前っぽくなったし。
これから、もっともっと素敵な当たり前を作って行きたいな……。
もっともっと……ずっと一緒に……。