聖遺物(おにぎり)を求めて
どうも、作者のまーです!
今作で4作目の投稿となりました。
今回は、これまでとは少し趣向を変えて、初のSF要素を取り入れた「異星人から見た地球という名の地獄」を全力で凝縮してみました。
私たちが当たり前に吸っている酸素、歩いている信号機……。
宇宙の精鋭たちが、それらに命がけで挑む一瞬の輝きを、ぜひニヤニヤしながら見守ってください!
ゼノン「見ろ、あの蒼い塵を……。ニオブよ、あれが“ラテ星(地球)”だ。
銀河連邦でもっとも危険で、もっとも乾燥した地獄だ」
ニオブ「お父さん、また大げさな……」
ゼノン「大げさではない! 私は研修で一度、ラテ星に降り立ったのだ。その恐怖は今でも装甲の裏側に残っている。あの惑星は“酸素”という猛毒で空気が満たされ、ほんの一秒吸っただけで私の胸甲がパリパリと酸化した! 寿命が三年縮んだぞ!」
イリス「あなた、帰ってきたとき本当にカサカサだったわね……」
ゼノン「さらに、住民の“声”! あれは物理衝撃波──パルス爆弾だ。研修中に“おはようございます”と浴びせられた瞬間、受像器官が真っ白になった! あれ以来、人間語は爆音兵器にしか感じられん!」
ニオブ「声ってそんなに強いの……?」
ゼノン「そして“全裸”が犯罪の惑星だ。研修では“トレンチコート擬態”を強いられ、乾燥してパリパリ鳴る布を着せられた屈辱……。あれは私の甲殻の歴史に刻まれた黒歴史だ……」
イリス「コートの裾、高圧荷電粒子放出(静電気)でずっとバチバチしてたわ」
ゼノン「極めつけは“UFO無断駐車事件”だ! 地表に降りただけで“パトカー”に囲まれ、職務質問という音響攻撃を浴びたのだ……!」
イリス「帰りの航路で泣いてたわよね……」
ゼノン「泣くわ!!」
ゼノン「そして、ラテ星には“コンビニ”という補給基地がある。あそこが一番危険だった! 自動ドアは意思を持ち、近づくと“チーン”と鳴り、蛍光灯が天井からぶら下がり、すべての物体を乾燥・監視していた……私はあそこで、ある“学問的危険物”に触れたのだ」
ニオブ「学問的危険物……?」
ゼノン「ああ、棚に置かれたおにぎりだ! 触れるだけで微弱、高圧荷電粒子放出(静電気)が放出され、うっかり感知器官に届けば生命維持装置が誤作動する。学問的に非常に危険な存在なのだ!」
ニオブ「えっ、それって……実際に聴きたい! このレシーバーで、乾いた世界の最強の高圧荷電粒子放出(静電気)を、この耳で確かめたい!」
ゼノン「……仕方ない、ならば慎重に学問的探求として行け。しかし、店員の“いらっしゃいませ”で生命維持装置が誤作動したのは忘れるな。あの補給基地こそ研修最大のトラウマだったのだ!!」
イリス「ニオブ、準備はいいかしら……」
イリスは息子の前に立ち、手にしたUFO免許証とラテコート(地球用の服)を一枚ずつ掲げた。
UFO免許証は光を反射し、触れるとビリビリと電撃が走る「高度警告装置付き」
ラテコート(地球用の服)は接触すると静電気バチバチ、
着ると乾燥警報ランプが点滅する「環境適応過剰安全装備」
イリス「これを着れば地球の猛毒空気も、衝撃波も、全裸犯罪も……なんとか耐えられるはずよ」
ニオブ「ありがとう、母さん! この装備なら冒険の準備は完璧だ!」
ゼノン「安全航行で済まん! あの星の信号機は光で目を焼いてくるぞ!!」
ニオブ「それでも行く! 僕の三角形の夢を叶えるために!」
青白いプラズマを尾に曳き、小型艇はゆっくりと浮かび上がる。
キィィィィィィィィィィン。
期待と放電に胸を膨らませたニオブは、ゼノンのトラウマを振り切り、蒼い惑星へ一直線に突入した。
――未知なる聖遺物“おにぎり”を求めて。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
4作目という節目で、自分でもお気に入りの「おにぎり(三角形の夢)」を巡る物語を、短編として形にできて嬉しいです。
今作はここで幕引きとなりますが、彼らの「命がけの不時着」が、皆様の日常に少しでもクスッとする彩りを添えられたなら幸いです。




