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捻くれ本好きショタくんが地雷系ムチムチ読書家お姉さんに食べられる話

作者: スイカ
掲載日:2026/03/13

前回の作品の続きですが、ここから読んでも楽しめます。

本ネタが各所に散りばめられてあるのは完全に私の趣味です! 本好きの人は作中のクイズに挑戦してみましょう!()

「シェイクスピア。わんこくんはもちろん知ってるよね?」


初めて入る大人の女の人の部屋、その中心。ぼくは生唾を飲み込みながら「はい……あっ、わん!」と返し、目の前の彼女は満足そうに微笑む。この部屋がぼくを苦しめる。特に匂いだ。

甘くて、とろけるような香水の匂いと、少しだけ汗の混じったような、生々しくむせ返るような女の人の香り。フェロモンのようなそんな甘ったるい匂いが、このそこら中に本が置いてあるお姉さんの部屋に充満している。


「じゃあ、第1問ね……」


彼女はそう言いながら、ぼくの肩を優しく、だけど力強く掴んで少し強引にぐわんと身体を近づけさせる。それと同時に緊張でカサカサになっているぼくの唇と、熟れた林檎のように真っ赤でプルプルしている彼女の唇の距離が近くなる。もう緊張で心臓が飛び出そうだった。


「シェイクスピアの4大悲劇。『ハムレット』と『リア王』、それと『オセロ』……。あと一つはなーんだ♡」


彼女はそう言うと、袋の中からお気に入りらしいメロン味のグミを指先でつまみ上げ、それをゆっくりと唇の間に挟み、舌を使って口内に誘い込み、見せつけるようにねっとりと咀嚼した。匂いと視界。その両方に苦しめられぼくは沸騰寸前の頭で必死に過去の記憶を呼び起こす。昔に読んだはずのシェイクスピアの作品タイトルと、どうしてお姉さんと本のクイズをすることになったのかを。


✶✶✶


きっかけは、ぼくが公園で一人寂しく本を読んでいたあの瞬間だった。

夏休みも折り返し地点を回った頃、家にいるのが耐えられなかったぼくはお気に入りの本を一冊手に持ち、近所の公園で読書をすることにした。学校は閉まっていて、家の中は両親がうるさく、図書館はここから遠い。消去法で近所の公園が選ばれたわけだ。太陽が照らす自然の中の読書は、ぼくを少しだけ大人にしてくれたような気がしたが、家から持ってきた『グレート・ギャツビー』のページが汗でふやけ、使っていた古い栞が風で飛ばされた頃にはすっかり家に帰りたくなっていた。風。ぼくのやる気を吹き飛ばす呪いの風。

しかし、風は出会いを運んできた。地面に落ちたぼくの栞を拾い上げるのと同時に、退屈で灰色な毎日から救ってくれた、ぼくが住んでる田舎ではまず見られない不思議な魅力を持った女の人。フリルが付いたピンク色のワンピースに、黒髪の長いツインテール。子供のぼくでも目を逸らしてしまうほどの、はち切れんばかりの大きな胸。全てを見通すような鋭い瞳。

「詩織お姉さん」とは、こうして出会った。

詩織お姉さんはぼくが知らないことを何でも教えてくれる素敵な人で、特に本の知識が圧倒的だった。ぼくは小さい頃から本しか友達がおらず、またぼく自身も本以外の友達なんていらないと思う程の本好きだったが、詩織お姉さんはそんなぼくを鼻で笑うほどの読書知識の持ち主であり、同じ読書家として尊敬するべき存在であった。ちょっと負けてるみたいで悔しいけど……。

彼女との会話はクラスの友達との会話より何倍も楽しく、詩織お姉さんはそんな楽しそうに語るぼくの顔を見て、時々ふっと、熟れすぎた果実のような甘い微笑みを向けてくれる。

一瞬で好きになった。

ただ、詩織お姉さんはぼくのことを「わんこくん」と呼ぶ。ぼくには「有栖来夏」という立派な名前があるのに!


「暑くなってきたから、私の部屋で涼む?」


しばらく本の会話をすると詩織お姉さんは唐突にこう誘ってきて、あれよあれよとぼくはお姉さんの部屋に入ってしまったというわけだ。

案内された部屋は、ぼくの想像と少し違っていた。可愛らしいぬいぐるみが置いてあるわけでもなく、ピンク色の布団があるわけでもない。その部屋は見るからに普通の部屋であったが、至る所に『本』が置かれていた。本棚があるのはもちろん、テーブルの上やベッドの上、タンスの中にも本がぎっしりと詰まっていた。詩織お姉さんはぼくの肩に手を置きながら、唇を開かせる。お姉さんの甘い吐息がぼくの肌に伝わってくる。


「凄いでしょ? いつかね、部屋を六角形にして、この世界の全ての本を置くことが夢なんだ」


そして、目を細めながらこんなことを呟いた。ボルヘスだ。ぼくはお姉さんだけの二人だけの秘密を共有しているようだった。

話を聞いたぼくは好奇心に勝てず、つい、適当に選んだ本棚の一角に手を伸ばそうとした。お姉さんが普段どんな本を読んでるのか知りたい、お姉さんの秘密を見てみたい。そんな思いがあった。もっともっとお姉さんのことを知りたかった。

だけど、指先が本の背表紙に触れる瞬間、目の前が一瞬で真っ暗になった。


「だ〜め♡」


後ろから伸びてきた白くて細い、そして驚くほど柔らかい両手がぼくの両目を一瞬で覆い隠した。優しく、それでいて力強い手のひら。耳元に彼女の砂糖菓子のような甘い息が直接かかる。ゾクッと、僕の全身は電気が走ったような感覚を覚えた。

それと同時に、さっきの腕よりもっと柔らかいものが背中に押し付けられた。お姉さんの、彼女の胸だ。信じられないくらい柔らかくて、重たくて、丸くて、温かい。ぼくの小さな背中が詩織お姉さんの二つのおっぱいに丸呑みされるように、彼女の豊かな肉体に沈み込んでいった。


「ふふっ……。わんこくん、女の子の部屋に入って、いきなり本棚の中身を見るなんて、本当はハレンチなことなのよ? 本棚はね、その人の考えやこれまでの人生が詰まってるものなの。それを見るのは頭の中を見られるのと同じこと……」


ぼくは何も言えなかった。詩織お姉さんの話が理解できなかったわけじゃない。ただ、背中に伝わるお姉さんの丸くて大きいお肉の感覚が、耳たぶにかかる温かい吐息が、ゆっくりとぼくの心をかき乱していった。背中はずっとふわふわで、耳はちょっとくすぐったい。


「つまりね、いきなり女の子のスカートを捲って、中を覗き込むのとちっとも変わらないくらい、恥ずかしくてエッチなコトなの。わんこくんは、実はえっちなわんこくんだったのかなぁ?」


彼女の声は蜜のように甘く、それでいてぼくの心を縛りつけるような不思議な魅力を持っていた。目隠しをされたまま耳元で彼女の言葉を聞いたぼくは、自分でも分かるくらい顔が赤くなっていくのを感じた。『スカートを捲るくらい、恥ずかしいこと』という言葉。脳内では彼女の短い黒いスカートをいたずらっぽくめくり上げる光景が浮かぶ。視界は未だ真っ暗なままだった。


「えっちなわんこくん、それでも私の本棚が見たい?♡」


彼女は目隠しをしたまま、更にぼくの背中に大きく実った二つの果実をムギュッと押し潰すようにくっつけてくる。興奮した。彼女の柔らかすぎる乳房は、ぼくの頭をゆっくりと支配し、もうそのことしか考えられなくなる。吸い付くようなお姉さんの両乳の心地良い感覚。もう限界だった。


「み、見たいです!」


絞り出すように、そして現状から解放されたいその一心で発した言葉だった。ぼくの言葉を聞いた詩織お姉さんは「あはっ、正直なわんこくんね♡」と愉快そうに、それでいてどこか見下したような声を出して、ようやくぼくを目隠しから解放する。給食のプリンのように柔らかい乳房と手のひらが顔から離れ、どこか少し名残惜しい気がした。

振り返ると彼女は自分の部屋のベッドに腰を掛け、脚を組んでいる。短いスカートから伸びる、詩織お姉さんの白くて長い脚。彼女の網タイツは太もものお肉が菱形状にぎゅうぎゅうと締め付けており、悲鳴を上げていた。そんなムチムチの柔らかい太ももがぼくの目の前で交差し、互いに押し潰し合っている。太もものお肉が息苦しそうに潰されるのを見て、ぼくは自分の下半身が熱くなってくるのを感じた。


「良いわよ。そこまで言うなら見せてあげる。ただし……」


詩織お姉さんはバッグの中から、お気に入りのメロン味のグミを取り出すと、封を空け、1個のメロングミを細長い指先で摘み上げた。パッケージから外に出された小さな緑色のグミは、圧倒的ボリュームの胸を通り、首元の前を通過し、彼女のぷっくりとした唇の先と運ばれる。


「私が出す本のクイズに、正解できたらね♡」


ベッドに座っている詩織お姉さんはそう言うと、摘み上げたメロン味のグミを口へと運んだ。緑色の透き通ったメロンの形をしたグミが、お姉さんの赤くて艶のある唇へと押し込まれていく。彼女はわざと、ぼくに見せつけるかのように何回も、何回も、ゆっくりとグミを咀嚼し始めた。グミが彼女の口内で潰れる度にお姉さんの頬が僅かにうごき、喉が上下する。まだ中学2年生の僕にとって、目の前の光景はあまりにも刺激が強く、クチャクチャという咀嚼音もなんだかとてもえっちな曲みたいに聞こえた。そしてグミを食し終わった詩織お姉さんは唇に残ったメロンの味を最後に味わうために、唾液を纏わせた舌を少しだけ遠慮がちに出し、ペロリと唇を舐め上げる。


「ふふ、準備は良い? 簡単なものだから、緊張しないでね」


それは、今のぼくにはとても無理な話だった。


✶✶✶


「谷崎潤一郎……バタイユ……。わっ、サドもある……」

「ふふっ。君には刺激が強かったかな? ホントのこと言うとね、君にはまだ早いと思ったから止めたの♡」


ベッドの上でイタズラっぽく笑う詩織お姉さんは、先ほどまでの全てを見透かす魔女のような雰囲気とは打って変わって、どこか可愛らしく見えた。軽い悪ふざけが先生にバレたような、そんな雰囲気が感じられる。

あの後、ぼくは悩みに悩んでようやく言葉を発した。初めて入る女の人の部屋と、詩織お姉さんの蠱惑的で妖しい魅力でうまく集中できなかったが、口に出した『マクベス』は見事正解であり、今はこうして詩織お姉さんの本棚に詰まっている本を一冊ずつ手に取っている。本を取る、タイトルを見る、元の場所へと戻す。その繰り返し。それはまるで長い長い冒険のようであり、お姉さんと一緒に知らない世界を旅しているようであった。

でも、どうやらこのゾーンは大人の本の群れだったようだ。いや、あの詩織お姉さんのことだ。他の本棚もエッチなのばかりなのかもしれない。


「もちろん、その人達以外の本も読んでるよ。一発でその本棚を当てるなんて、やっぱり君は……♡」


ぼくの脳内を直接読み取られているような言葉であった。慌てて今手に持っている本を元の場所に戻し、誰かに引っ張られるように視線がお姉さんの顔へ向かう。彼女は目を細め、獲物を狙うような細い瞳でぼくを見つめた。興味的なものでも見るかのように少し身体を前へ倒しているせいか、お姉さんの巨大な質量を持つお胸が押し潰され、誘うようにムニュムニュと揺れている。


「し、詩織さんはどんな作家が好きなんですか?」

「バルザック、ダンテ、ジョセフ・コンラッド、ディッケンズかなぁ」


まるで事前に用意された台本をそのまま手に持って読んでるかのようなスムーズな回答だった。お姉さんは姿勢を直して再度深くベッドに腰を掛け、ギシリとベッドフレームが軋む。

お姉さんが口に出した人達の本はあまり詳しくないけど、そういえばこのような会話を以前どこかの本で読んだことがある気がする。なんだっけ。


「初めて聞く人ばっかです。昔の人が好きなんですか?」

「ふふっ……そうよ。時の洗練を受けてない本はあまり読みたくないの」


詩織お姉さんが紡ぐ言葉はいつも余裕に満ちていて、かっこよくて、詩的だ。大人は皆インチキだと思っていたけど目の前の人だけは違うかもしれない。ぼくはそんな淡い期待と、淡いというには濃すぎる恋心を目の前の彼女に抱いていた。

そして、ぼくの視線は詩織お姉さんの太ももの圧倒的な質量に目が釘付けになっていた。座ってることで太ももの肉が横に広がり、脚を組んでいることで下の太もものお肉が潰れている。それは抗いがたい魅力を持っており、中学生のぼくにとってはとんでもない劇薬であった。


「ねぇ……わんこくん♡」


身体がビクンと唐突に震える。この声だ。まるで耳元に直接蜜を垂れ流しているかのような、そんな声。ドロドロとしたお姉さんから分泌された蜜がぼくの耳の穴に入り、鼓膜を浸し、脳内を犯し、お姉さんに全てを支配されそうな感覚を覚える。甘い、甘い声。

続いて彼女はベッドの上で挑発するように脚を組み替える。潰されてた下のムチムチとした太ももがようやく解放され、むにゅんと元の弾力を取り戻し、入れ替わるように先ほどまで自分を押し潰していた片方の太ももを上から強く押し潰す。

健康的で艶めかしい太ももにぼくが目を奪われていることにお姉さんが気づくと、しょうがないなぁとでも言いたげな顔で、開いた右手を高く上げ、自らの太ももの最も肉厚な部分を手のひらでペチンっ! と叩く。


「あっ……」


乾いた音と共に、柔らかい肉がぷゆんと波のように左右に揺れ動いた。そして暴力的なまでのお肉を叩いた卑猥な音は、一瞬で鼓膜を揺らし、まるで催眠術を解くために行う手拍子のように、ぼくの意識を現世へと強引に引っ張り戻す。


「ふふ……おかえり♡ 本題だけどね、本のクイズをもう一度やってみない?」

「もう一度……?」

「そうよ……。正解のご褒美は、これ♡」


彼女はそう言って、自分のはち切れんばかりの両乳を両手でぎゅっと揉みしだいた。フリルでたくさんのピンク色のワンピースが彼女の手の動きに合わせて揺れ動く。彼女の指が、柔らかい肉に潜り込み、掴みきれなかった彼女の肉が指の間からぷにっとこぼれ落ちる。その光景はあまりにも扇情的で刺激的な光景であり、その反応を見た詩織お姉さんは小悪魔のような微笑みを浮かべ、愉快そうに胸を更に揉みながら「んぅ……♡」とわざとらしい喘ぎ声を出す。

詩織お姉さんは最後に自分の乳房の重さを確かめるように下からゆっくりと持ち上げると、何かいじらしいものでも見るかのような視線を向け、ぼくは自分の下半身が緊張していくのが感じ取れた。


「どう、やる?」

「やり……たいです、わん……」


自分でも意識してなかったが犬の口調になってしまった。そこまで彼女の飼い犬になりたいのかぼくは、と思ったが既にぼくの下腹部は痛いほど盛り上がっていた。あのおっぱいに触れてみたい。触って、その柔らかさを確かめてみたい。

ベッドに座っている詩織お姉さんは「良い返事ね♡」と口にしたあと、自然な動きで自分の片手を胸の上に置きながら、妖しく微笑む。お姉さんの笑みは何か不思議な効果があるに違いない。ぼくはもう顔が、全身が、すごく熱を帯びていた。


「問題ね、『ライ麦畑で捕まえて』の主人公の名前は?」

「──ホールデンです。ホールデン・コールフィールド」


即答。読書家として外せない問題だった。ぼくはつい最近この本を読了したこともあり、答えなくていいフルネームまで答えてしまった。少し背伸びをして詩織お姉さんに賢く見られたかったのかもしれない。

お姉さんは優しい笑みを浮かべながら「正解♡」と伝えるとおいでおいでと手招きをしてぼくをベットの上へと誘い、ぼくはバクバクうるさい心臓を抑えつけながら一歩ずつお姉さんの柔らかい身体をゴールに歩いていった。充分近づくと詩織お姉さんは手を差し出す。


「よ、よろしくお願いします……!」

「ふふっ、緊張してる? 可愛い♡」


少しでも油断すると口から心臓が飛び出そうだった。そのままロボットのようなぎこちない動きで差し出されたお姉さんの手を握ると、お姉さんはぼくの小さな手を守るように、そして閉じ込めるようにギュッと握りしめる。そして手を握ったままぼくの身体をゆっくりと引っ張り、ベットの上と誘い込み、二人分の体重が乗ったギシッと大きな悲鳴をあげる。そのまま詩織お姉さんはぼくの身体を自身の股の間に呼び寄せ、目の前の視界はピンク色のフリルに包まれた。

大きなおっぱいが目の前にある。そしてぼくは今からこれを揉む。匂いが近い。お姉さんの熟れた果実のような甘い匂い。そして人工的な香水の匂い。ワンピースからはふわふわの柔軟剤の匂いがする。そして少しのメロングミ。それら4つが少しの汗の匂いと混じり合い、ぼくの鼻腔を突き抜ける。


「良い匂い……」


思わず声に出してしまうくらい、夢見心地な体験だった。彼女の匂いが鼻からぼくの体内に入り、充満するように体内に広がり、有栖来夏という存在が『詩織お姉さんの有栖来夏』に変化するのを感じる。まるで溶けてしまいそう。


「気に入った? わんこくん」

「……わん」

「良い子だね。プルーストを読んだことはあるでしょ? 匂いと記憶は密接な関係にあるの。そして、君はこれから一生私という存在を忘れられなくなるの……♡」


獲物を見つめる蛇のようなお姉さんの視線。言葉の全てが安心という名の舌で全身を舐められるような心地良さと、詩織お姉さんの良い匂い。口調は甘くて優しいのに、ぼくは彼女に捕食されているような気がする。


「さて、お待ちかねのご褒美の時間。でも、ちょっとだけね?」


そうお姉さんは囁くと「ほら……♡」と自分の乳を前に突き出す。ぼくは震える手を前に伸ばし、目の前に存在するたわわな双丘に触れてみる。

──熱い、そして想像を絶するほど柔らかい。大人のお姉さんの身体は今まで触ったことがない心地良い感触。ピンク色のワンピース越しでも確かに存在する圧倒的なボリュームの白い肉。

手の位置を変え、下から持ち上げるように揉んでみる。

──今度は重い。手のひら全体が柔らかい肉にどこまでも沈んでいくようだった。ぼくの部屋にあるぬいぐるみよりも柔らかい物体は蠱惑的な魅力を持っていた。

ぼくは力を入れて、お姉さんの下乳を力を入れて上に持ち上げるように強く揉んでみる。その柔らかく、豊かな実りを精いっぱいの指の力で揉むと、お姉さんはぷっくりした唇の間から「んっ……♡」とピンク色の声を漏らし、両手でぼくの手をゆっくりと優しく掴んでその動きを静止させる。


「こら。あまり乱暴にしちゃダメよ?」

「ごっ……ごめんなさい……」

「もう終わりね、返事は?」

「……わん」


お姉さんにちょっと怒られたぼくは素直に答えて彼女の両乳から手を話す。吸い付くほど柔らかい二つの大きなお肉から手を離す瞬間、すごく惜しくて物悲しい感情になったが、ちゃんと言うことを聞いたお姉さんは「良い子♡ 賢いわんこくんは好きよ」とぼくの頭にぽんと手を置き、髪の毛を優しく撫で回してくれた。お姉さんに温かい手のひらで撫でられるのは、テストで100点を取った時より嬉しく、心の真ん中がぽかぽかと温かくなってくる。


「次の問題ね。少し難しくなるわよ……」


そう言うとお姉さんは袋からメロン味のグミを同時に二つ指で摘み上げ、それを口に運び、誘うように咀嚼する。緑色のメロングミの果汁が弾けるのがぼくにも確認できた。ごくりと、緊張感と甘い匂いに包まれた部屋の中で唾を飲み込む。


「2+2の答えはなぁに?♡」


聞き間違えかと思った。今までシェイクスピア、サリンジャー、プルーストを引用していた詩織お姉さんが急に小学生でも分かる算数の問題を出すなんて。ぼくは耳を疑った。

けれども、お姉さんの微笑みは相も変わらず完璧な魅力を誇っており、見るだけで溶けてしまいそうなその瞳は冗談を言ってるとは到底思えなかった。お姉さんが咀嚼する度、甘ったるい人工的なメロンの香りがぼくの鼻腔をくすぐり、その中でぼくはこの難問の意味を考える。


「正解したらこのお洋服、脱いじゃうね」


心臓がどきん、と激しく高鳴るのが分かった。絶対に正解したいと思ったぼくだけど質問の意味はまだ理解できないままだ。国語のテストで分からない漢字があったら提示物の文章から探し出す行為と同じように、ぼくは周囲を見渡してみて何かしらのヒントがないかを探す。幸いこの部屋には本が大量に置いてあり──。


「……っ!」


突然詩織お姉さんと目が合う。哀れな獲物を目の前にした蛇のような鋭い瞳。その瞳はぼくの答えを期待しているのではなく、まるで「どうやってぼくを支配するか」を見定めているかのようであった。

二つの目が、ぼくを見ている。詩織お姉さんがぼくを監視している。

脳裏にこの前図書館で読んだディストピア小説の姿が浮かぶ。記憶も思考も感情も支配され、その管理された世界の中で主人公は同士と共に抗い続ける。世界一有名なディストピア小説。


「5……です。2+2は5です!」


掠れた声で、ぼくはなんとかその数字を引き出した。あの詩織お姉さんがこんな初歩的な算数の問題を出すわけがなく、何かないものかと必死に考えた結果の解答であり、これで本当に正解なのか分からなかった。

ジョージ・オーウェル『1984年』。

詩織お姉さんが先ほど口にした『時の洗練の受けた本』の一冊であり、読書家の彼女ならまず読んでいるであろうあまりにも有名すぎる小説だ。その本の中にある有名なキーワードである『2+2=5』に、ぼくは全てを賭けた。

詩織お姉さんは、まだ何も言わない。


「5です……! お姉さんが5と言うのなら、2+2の答えは5になります! 5以外……ありません!」


叫ぶように放ったぼくの言葉は情けなく震えていた。

2+2は5であるという自由を捨てて、『詩織お姉さん』という存在に全てを捧げるぼくの心からの叫びを聞いたお姉さんは優しく微笑み、ゆっくりと口を開く。


「正解。さすがわんこくん♡」


彼女はそのままスムーズな動きでメロングミを一粒指先で摘み上げ、「甘いご褒美、ほしい?」と言いながらそれをゆっくりと自分の口元へ運ぶ。真っ赤な唇がメロングミを挟み込み、そのまま弄るように指先で弄ぶ。グミは決して口には入らず、唾液を纏っている唇の上を泳ぐように動く。それはまるで、お姉さんがメロングミに熱いキスをたっぷりとしているかのようであった。お姉さんの唾液でべっとりとコーティングされた、テラテラと妖しく光る緑色の塊。そのあまりにも刺激的すぎる物体は、ぼくの頭の中と下半身を熱くさせる。


「はい、あーん♡」

「あ、あー……」


彼女の白くて細い指先が、グミを摘んでぼくの唇に迫る。逆らうことなどできるはずもなく、ぼくは緊張でカラカラになっている口の中をお姉さんに見せる。吸い込まれるように開く、ぼくの口。歯を、舌を、口の奥を見せる。

──なにかいけないものを見せているみたいだ。ぼくはまるで口の中が下半身と同じくらい、そう簡単に人に見せてはいけないものだと思い、全身が強張る。口の中が疲れてくる。これ以上お姉さんに見せたくない。ぼくの口の中を。

早く、早く食べたい。早くメロングミを──。


「はい♡」


その甘ったるい声と同時に、特別なメロングミが口内に侵入してくる。そして、それと同時にお姉さんの指先がぼくの舌に熱く、ねっとりと触れる。

心臓が飛び跳ねるような気がした。お姉さんはぼくを許すつもりなんて到底ないように、ぼくを舌の動きと温かさを確かめるように、そこに留まり、舌を撫で回す。お姉さんの細い指先がぼくの舌先を愛撫し、同時に口に入れられたメロングミの味なんて全然分からなかった。

ようやく指が引き抜かれると、そこにはぼくの唾液が糸を引くように付着していた。指先と唇に唾液の橋がかかる。お姉さんはその光景をどこかうっとりとしたような瞳で見つめ、そのまま自分の指先を自分の口元へと運ぶ。

ぺろり。お姉さんは舌を出し、自分の指先に付着した蜜を舐め取った。お姉さんの姿はあまりに官能的であり、下半身が更に硬くなっていくのが感じ取れた。


「わんこくんの味、おいしいね……」


お姉さんは潤んだ瞳でぼくを見つめてくる。そうしてようやくメロングミをゆっくりと咀嚼し始めたぼくを確認すると、軽く笑みを浮かべながらゆっくりと口を開く。


「『1984年』の主人公、ウィンストン・スミスは『自由とは2+2を4と言えることである』という言葉を信じ、感情も思考も全部ビッグ・ブラザーが支配するディストピアに抗い続けた……」


ベットの上に腰掛けている詩織お姉さんはそう呟きながらゆっくりと姿勢を整え、自分の背中に手を回した。彼女の暴力的なまでのボリュームの乳房を包み込んでいる、可愛いフリルが何重にも重なったピンク色のワンピース。動画サイトで見た「地雷系」そのままの服は、彼女を包み込む甘い果物の皮のように思えた。


「だけど最後には屈伏させられ、ビッグ・ブラザーを心から信じたまま殺される……♡」


彼女の囁き声以外何も聞こえない静かな部屋に、ジィーというジッパーが噛み合わせを解く連続した金属音がやけに官能的に響く。次の瞬間、ワンピースの上半身部分が重力に従ってずり落ちそうになる。彼女をそれを片手で抑え、そのまま慣れた動きで片腕ずつ袖から抜いていく。


「つまりね。どれだけ強い意志を持ってても、巨大すぎるものには勝てないの。何があっても、絶対にね」


お姉さんのワンピースが少しずつ脱がされていく度、白い肌が少しずつ露わになる。そしてそれと同時にぼくの視界を奪うのは、黒いレースで縁取られた扇情的なブラジャー、そしてそれを支えている細いストラップだった。ブラジャーは彼女の豊満すぎる胸の質量をなんとか抑えており、ギチギチというオノマトペが聞こえてくるようであり、それは彼女の胸の重さを残酷に物語っていた。華奢な身体に似合わない圧倒的な質量の乳房。谷間は深く、お姉さんが呼吸をする度に黒いレースの下にある両乳は波打つように揺れる。ぼくはただ息を呑みながら、その光景に見入るしかなかった。


「わんこくんはさっき、私が出した『2+2』の答えを『5』と言った。今まで学校で教えられたことを無視し、自由を捨て、私に従ってくれた。嬉しかったよ? わんこくんも、ウィンストンだ……♡」


やがてお姉さんは両の腕をピンク色の袖から外し、両腕が完全に自由になる。お人形のように可愛いピンク色のワンピースの上半身は、今や彼女の豊かな双丘だけで辛うじて支えられているだけとなった。


「さぁわんこくん、君にとってのビッグブラザーは誰? パパかな? それともママ? あるいは学校の先生?」

「し、詩織お姉さんです……わん……!」


ぼくの答えに満足した詩織お姉さんは真っ直ぐ見つめ、胸元を覆うワンピースの生地を両手で掴みながらゆっくり、ゆっくりと下へ引き下げ始める。だんだんとその姿を露出する彼女の乳房。しかし、ある程度下がったタイミングでお姉さんは意地悪そうに微笑みながらその腕の動きを止め、ぼくを焦らし続ける。

早く。早く降ろして。見たい。彼女の生のおっぱいを。

そしてぼくの緊張と焦燥感と興奮が最大限に高まったタイミングで、一気にその手を下へと引いた。


「……ご褒美……♡」


その瞬間、時が加速したようにぼくの視界からピンク色のワンピースが消えさり、詩織お姉さんの上半身を頼りなく覆っていた最後の布がベッドのシーツへと滑り落ちた。

ぼくの目の前に現れたのは黒いレースと薄い生地で作られた芸術品のような、それでいてどこまでも淫靡なブラジャーと、それに包まれた詩織お姉さんの大きすぎる乳房だった。ワンピースから解放された双丘はぶるんと弾むように揺れ動き、ブラジャーのカップからは抑えられなかった豊満な胸の肉が溢れんばかりに盛り上がり、その重さでストラップが彼女の真っ白な肩に食い込んでいる。谷間はどこまでも深く、吸い込まれそうなほど魅力的に見えた。

そしてぼくの興奮を更に引き上げる、ブラジャーのカップ越しにうっすらと浮かび上がる2つの突起。乳房の頂点に位置する乳首。禁断の先端はぼくの下半身に熱を限界まで送る。


「あっ……あぁ……」


その光景に完全に魂を奪われ、呼吸をすることすら忘れた。

ワンピースを脱いだことでよりダイレクトに伝わる、彼女の肌から立ち昇る『雌』の香り。甘い果物と香水に、僅かに汗の匂いが混ざったむせ返るような生々しい香り。


「どう? びっくりした?」


詩織お姉さんはそう言いながら溢れんばかりに膨れ上がった乳を両手で掴み、ムギュッと中心へ寄せる。左右からの圧によって両乳が潰れ、掴み損ねた彼女の白い肉が指の間から溢れ出す。目の前にあるのは教科書では教えられない、世界一淫靡な正解であり、ぼくの飼い主の官能的すぎる姿であった。


✶✶✶


どのくらい時間が経ったのだろう。

初めて見るお姉さんの乳は想像以上の破壊力を誇っており、ぼくの理性を一瞬で破壊し、息を荒くさせる。触りたい。触りたい。揉んでみたい。沸騰するほど茹だったぼくの脳味噌はこんなことしか考えられなかった。


「触っちゃダメだよ。あと、次が最後の問題ね♡」

「えっ……?」


一瞬、時が止まったような気がした。

目の前にずっと望んでいた詩織お姉さんの生のおっぱいがあるのに、揉むどころか触れられないなんて。詩織お姉さんはぼくのそんな残念そうな顔を見てどこか不敵でエロティックな微笑みを浮かべ、言葉を付け足す。


「この問題に正解できたらね……。ブラジャー外して、本当の生のおっぱい、触らせてあげる♡」

「えっ……!?」

「わんこくんの好きなように……揉んだり、吸ったり、何でもしていいよ……♡」


詩織お姉さんはそんな言葉を口にしながら、ゆっくりとぼくを背中に両手を伸ばす。そのままぼくを優しく、だけど逃げられないように抱き締め、ぼくの顔を自分の胸の谷間に埋めさせた。


「むぐっ……!」


抵抗する暇もなく視界がとても柔らかくて温かいものに包まれる。上下左右、どこを見てもお姉さんのおっぱいがぼくを圧している。肌色の世界に閉じ込められたぼくは、まるでお母さんのお腹にいるような心地良さと安心感を覚えた。ずっとここにいたい。おっぱいに包まれていたい。お姉さんに飼われたい……。

思考が真っ白にぼやけたまま、優しいおっぱいに包まれたまま、ぼくはそんなことを考えていた。

口の中には、唾液でドロドロになったメロングミがまだ舌の上で転がっていた。


「オスカー・ワイルドは知ってるよね?」

「……わん」

「ワイルドが書く女の子は好きよ。美しくて、毒がある。みんな可愛いわ」


温かい胸の谷間に顔を埋めたまま、ぼくはお姉さんの話を耳で聞く。目の前には柔らかくて温かいおっぱい。最大まで濃くなったお姉さんの香りが舌先で感じるメロングミの甘さと共に体内に侵入してくる。全身がお姉さんのおっぱいに溶けてしまいそうだった。何度も息を吸い、おっぱいの甘い匂いを何度も吸い込む。そんなお姉さんはぼくの頭を谷間に埋めたまま、片手でよしよしと頭を撫でる。とろけてしまいそうだった。


「オスカー・ワイルドの『サロメ』……。王女サロメは愛する予言者ヨカナーンが自分を拒絶したから、その首を切り落としてしまうの……。切り落としたヨカナーンの首を銀の皿の上に乗せ、彼の血の水たまりの上で、口づけをする」

「残酷ですね……」

「ふふっ……そうね。さて、ここで問題。サロメがヨカナーンの生首にキスをしたとき、どんな味がしたか知ってる?」

「えっ……」


ぼくはお姉さんのおっぱいの中で、必死に脳を動かしていた。正直、この問題の答えは分からない。

オスカー・ワイルドは読んだことがある。有名な『幸福な王子』を絵本で。それがぼくが知っているオスカー・ワイルドの全てであり、当然『サロメ』は読んだことがなかった。

『2+2=5』の時のように観察と推理で解こうと思ったが、彼女の豊満な肉体に包まれているぼくにとって、見て感じるのはお姉さんの『おっぱい』だけであり、完全に思考が停止していた。目の前の柔らかい巨大な乳房、少し浮き出ている血管の青、少し感じるブラジャーのサテン生地のさわさわとした感触、乳の甘い匂い──。それら全てがぼくの思考を、言葉を、全て奪い去った。


「甘い……味です」


どこまでも優しく温かい、それでいて残酷な世界の中で言葉を吐いた。ぼくのセリフは全ておっぱいに吸い込まれ、その言葉を感じたお姉さんは少しだけ身体をビクンと動かした。


「……残念。不正解よ、わんこくん」


詩織お姉さんは今までの熱っぽさが嘘のように、スッとぼくから静かに離れた。柔らかいおっぱいの谷間から解放され、目の前の視界が通常のものに戻る。再び見る詩織お姉さんの目はどこか失望したような、それでいて悪戯っぽい色があった。


「正解は『苦い味』よ。『あぁ!……キスしたよ、ヨカナーン……お前とキスをしたよ。お前の唇は苦い味がする。これは血の味かしら…それとも恋の味かしら。恋は苦い味がするというもの』という有名な一節、聞いたことない?」

「……ないです」

「そう……。さっき言った通り、もうこれ以上脱いであげない。これでおしまいね」


突き放すような冷たい言葉。さっきまで熱っぽかったぼくは一気に全身の体温が下がるのが分かった。頭の上も冷えてくる。あぁ、間違えてしまった。終わってしまった。

ぼくにはもう、お姉さんしかいないのに──。


「でもね。君は特別に可愛いからね……♡」


詩織お姉さんはそう言うと、ふと何かを思いついたかのように目を細める。そのままスムーズな動きでベットサイドテーブルに手を伸ばし、引き出しを開け、1枚の黒いアイマスクを取り出した。それは何度も使われているのか、少し生地が擦り切られているもにであり、彼女の甘い体臭と香水の匂いが奥まで染み込んでいるのが遠くから見ても伝わってきた。


「わんこくんの可哀想な顔を見たら気が変わっちゃった♡」


そう言いながらお姉さんはぼくの頭に無理やりそのアイマスクを装着する。視界が一瞬で真っ黒になり、少しだけ薄くなった彼女の匂いが鼻腔をくすぐる。恐怖反面、少しだけドキドキしているぼくがそこにはいた。

真っ黒な世界の向こう側から、艶のある声が聞こえてくる。


「特別なサービスしてあげる。でも条件があるの。その私のアイマスクを付けたまま私に背中を向けて後ろに座っているの。そして『いいよ』というまで絶対に振り返っちゃダメ……。できる?♡」


すぐにぼくは頭を前後に何度も動かして、みっともなく何回も何回も頷いた。あまりにも必死な姿を見たのか、詩織お姉さんは聞いてて心地良く溶けるような上品で可愛らしい笑いを漏らした。


「じゃあ、始めるよ♡」


ぼくはお姉さんに肩を掴まれ、ベットの上で180°回転させられる。目の前は相変わらず真っ暗だが、壁の方向を見ているのだろう。彼女の匂いが顔全体に密着し、甘い残り香に包み込まれるのを感じながら、ぼくの背中では詩織お姉さんが何かをしている気配がした。

布擦れの音、ブラジャーのホックが外れる音。

そして、彼女の甘い吐息。


「可哀想なわんこくん。今から特別な感触を背中で感じさせてあげる……♡ 良い子で待っててね……♡」


彼女の声がどんどん近くなり、吐息が耳にかかる。そして、ぼくの背中の肩甲骨辺りに何かが押し付けられるような、それでいて何かを擦ってるような感触が広がる。

背中の中央で感じるその感触は、2つあって、小さくて、硬い、ポチッとした点の感覚が、くっきりと伝わる感触であった。


「……っ!!」


それは一瞬だった。けれどもその感覚は電撃のようにぼくの脊髄を駆け登り、脳天を突き抜けた。それと同時にぼくの頭の中では、ある確信が音を立てて弾けた。

乳首だ。

間違いない。詩織お姉さんの、裸の、勃起した乳首が、今、ぼくの背中に押しつけられたんだ。彼女の巨大な乳房の先端がぼくの背中にキスをしたんだ。優しくも意地悪な、一瞬のキスを。


「ふふっ……おしまい♡」


その声と同時に、すぐ背中にいた彼女の声が遠ざかる。そして次に聞こえるのは再びの布が擦れる音とブラジャーを手に取る音。終わったんだ。一瞬だったけど、あの夢のような時間が。アイマスクをつけているぼくの目の前には真っ暗な世界。その世界の黒が更に深くなったような気がした。


「今から服を着るから、絶対に振り向かないでね? 絶対にだよ? 良い子のわんこくんはイザナギにはならないよね?」


彼女の声はどこまでもぼくを誘惑し、挑発しているような気がした。欲望がどんどん膨れ上がるのを感じ、そしてそれと同時にとある良くない考えが浮かんできた。見てみたい。さっきぼくにキスをした乳首を見てみたい。背中に残る2つの熱い点の記憶は、ぼくの理性を溶かし始める。

見たい。一瞬でいい。詩織お姉さんの本当の姿をこの目で確かめたい。

──そして、ぼくは禁を破った。

アイマスクを勢いよく剥がし、後ろを振り返った。


「……あら♡」

そこにいたのは、フリルの付いたピンクのワンピースをベットの上に脱ぎ捨て、黒いレースのブラジャーだけを付けた妖艶な詩織お姉さんの姿だった。彼女の巨大な乳がブラジャーの奥でぷるんと揺れ、その先端には乳首のポチッとした突起がうっすらと浮かび上がっている。

けれど、お姉さんは恥ずかしい素振りなど一切見せることなく、まるでぼくが振り返るのを予想していたように意味深長な微笑を浮かべていた。

そして、彼女の右手には、メロングミが1つ握られていた。


「あっ……」


やられた。そういうことだったのか。

アイマスクをしているぼくの背中に押し付けられたのは乳首ではなく、あのメロングミだったのだ。乳首の本当の感触を知らないぼくは、背中に当てられた妙に硬い感触を乳首だと勘違いし、一人勝手に興奮していたのだ。詩織お姉さんはそれを最初から分かっていて、あんな煽るような言葉を伝えたのだ。最初からぼくは、詩織お姉さんの手のひらの上だった。


「わんこくん……。私『見ないで』って言ったのに、やっぱり振り返っちゃったのね……。せっかく特別なサービスをしてあげたのに、悪い子♡」


詩織お姉さんの声を聞いた瞬間、僕の中で何かが引っかかった。

ぼくが背中に感じた感覚は2つの点の感覚だった。しかし、それはよく思い出してみれば左右で微妙に感触が異なっていた気がする。片方は柔らかく、片方は硬かったような気がする。なのに、今お姉さんが持っているグミは1つだけ……。もし背中に押し付けられたのがメロングミだったら、お姉さんは2つグミを持っているはずなのに……。

その時、ある可能性に気づいた。


「ま、待ってお姉さ……!?」


ぼくが言葉を言い切るよりも早く、詩織お姉さんは驚くほど素早い動きでぼくの両手首を掴み上げると、そのままベッドのシーツへと押し倒した。その衝撃でベッドがギシッと今日一番の悲鳴をあげる。


「おねぇ……さんっ……!」


ベッドの上で仰向けにされたぼくに、お姉さんが覆い被さる。両手首は逃げられないように力強く握り締められる。ブラジャーのレースに包まれた豊満なおっぱいは重力に負け垂れ下がり、ぼくの薄い胸板に強く押し付けられ、ダイレクトにその柔らかさと温かさと重さが伝わってくる。抵抗ができない。


「ダメよ動いちゃあ……♡ 約束を破る悪いわんこくんには、ちゃんとお仕置きをしなきゃね……♡」


そのままお姉さんは両膝を、ぼくの細い腰の両脇をがっしりと挟みこんで捕まえる。網タイツ越しに伝わる、お肉がたっぷり詰まったムチムチの太ももの柔らかさと熱。

そのまま全身を拘束された状態で、詩織お姉さんは自分の顔をぼくに近づけ、降りてきた真っ赤な唇はぼくの唇にどんどん近づき、キス寸前の高さでピタリと止まる。彼女の甘い吐息が直接ぼくの唇に触れる。心臓が激しく高鳴る。

そしてぷっくりした唇から真っ赤な舌がちろりと現れ、唾液にまみれたその長い舌でぼくの唇をペロリと舐め上げる。


「ん〜……♡」


お姉さんはキスする代わりに、緊張して乾燥したぼくの唇を端から端まで、ねっとりと舐め上げた。唇に伝わる彼女の濡れた舌の感覚。ぼくの下半身はもう痛いくらいに勃起し、彼女の股間にその存在をアピールした。熱くなった下半身がぼくを押し倒した詩織お姉さんの股間を、小さいながらも頑張って貫こうとしている。それを感じたお姉さんは両手首の拘束を更に強め、妖艶な微笑みを浮かべる。優しく、どこまでも見下したようなその表情。獲物を捕食する蛇のような目。

そして、その唇をぼくの耳元へと移動し、ねっとりとした声で、ただ一言。


「お仕置き、始めるよ?」


そうお姉さんは囁くと大きく口を開き、ぼくの小さな耳を口に含む。耳全体が彼女の口内と舌によって愛撫され、リップ音がダイレクトに聞こえ、脳味噌そのものが彼女に犯されているような気がする。じゅるじゅると、お姉さんの唾液を纏った舌がぼくの耳を蹂躙し、愛を伝え続ける。

お姉さんの部屋の空気が更に熱くなり、心臓が高鳴り、緊張から額に汗が滲む。もうどうなってもいい。ぼくは今まで学校で学んだ色々な知識と、これまでの家族や友達との思い出が耳の穴からドロドロとこぼれ落ちるのを感じた。

きっともう、ぼくは戻れない。ずっと詩織お姉さんの飼い犬なんだ。

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