第6話 お嬢の家!
その日、私は目を輝かせながら早乙女さんと並んで歩いていた。今日は、彼女の家に案内してもらう約束の日だ。
「早乙女さんちに行くの、楽しみだなぁ。」
思わず本音がこぼれる。
「楽しみにするのは勝手だけど、大したものなんてないわよ。」
そんな他愛ない会話をしながら歩くうちに、目的地へと辿り着いた。
そして私は、思わず息を呑んだ。
目の前にそびえるのは、まるでお城のような大豪邸。
「何止まってるのよ?」
「あ、いや……立派すぎてびっくりして。」
「言うほどでもないわよ。とにかく、ここが私んち。分かった?」
「う、うん……」
家に帰ると、私は興奮気味にお母さんへ話した。
「今日、早乙女さんの家に行ったんだけど、すっごく立派でさ! まるでお屋敷みたいだったよ。」
「ひかり、いいお友達ができたのね。あのひかりに友達ができるなんて……」
「ちょっと、お母さん、泣かないでよ!」
大げさだなと思いつつも、確かにその時の私は、嬉しそうに笑っていたと思う。
翌日、改めて早乙女さんの家にお邪魔した。
チャイムを押すと、中から屈強そうな男の人が現れた。
「初めまして。お嬢様からお話を伺っております。執事の近藤と申します。ようこそ早乙女家へ」
「よ、よろしくお願いします……」
(し、執事!?)
心の中で思わず叫ぶ。執事がいるなんて、やっぱり本物のお嬢様だ。
「お嬢様は星川様がいらっしゃるのをずっと楽しみにしておりました。」
「よ、余計なこと言わないで! 私が案内するから、近藤は下がって!」
「これは失礼いたしました。どうぞごゆっくり」
近藤さんは丁寧に一礼して去っていった。
(お嬢様に、あんな素敵なお友達ができるとは……)
そんな思いを胸に、彼は静かに微笑んだ。
早乙女凜華――彼女は勉強も運動もできるが、どこか不器用で素直になれない少女だった。
一方の私、星川ひかりは、何をやってもドジばかり。でも、思ったことを素直に言うのは得意だった。
「ねぇ、早乙女さんの家って広いね。」
「そうでもないわよ。……それと、“凜華”でいいわ。そのほうが呼びやすいでしょ?」
「えっ、いいの? ありがとう、凜華!」
名前で呼び合えるなんて、まるで親友みたいで、胸が弾んだ。
「それじゃ遠慮なく見せてもらうね。見せられるとこだけでいいから!」
「遠慮しなくていいわ。大したものなんてないんだから」
――そう言いながら、案内された家の中はどこも豪華そのものだった。
シャンデリアに高級な衣服、最新のゲーム機。どれも私には眩しすぎた。
ひと通り見て回ったあと、凜華の部屋で遊ぶことにした。
彼女の部屋は広く、中央には立派なグランドピアノが置かれていた。
「凜華、ピアノ弾けるの?」
「まぁ、一応ね。」
「すごーい! 聴かせて!」
「もう、仕方ないわね。下手でも文句言わないでよ?」
彼女がピアノに向かうと、部屋に優しい音が広がった。
音楽が苦手な私には上手いかどうかは分からない。でも、その音色は心を包み込むように温かかった。
演奏が終わると、今度はトランプで遊ぶことに。
「最新のゲーム機があるのに、こんなのでいいの?」
「いいのよ。何で遊ぶかじゃなくて、楽しめるかどうかが大事なのよ。」
その時、ノックの音がして、近藤さんがおやつを運んできた。
「お嬢様方、お茶をお持ちしました。」
(“お嬢様方”って……私まで?)
内心くすぐったくなりながらも、出されたお菓子を口にすると、思わず笑顔になるほど美味しかった。
「凜華んちって、ほんとすごいね!」
「何がよ。普通の生活じゃない?」
「絶対普通じゃない……」と心の中でツッコミを入れながら、ふと前から気になっていたことを聞いてみた。
「ねぇ、どうしてモンスターが“コンパクトを持つ人間”を狙うって分かったの?」
「それが分からないのよ。」
「分からない?」
「うん…強いて言うなら、勘よ。」
「勘?」
「私の勘は、よく当たるの。」
彼女の言葉には、妙に説得力があった。
凜華は、この世に滅多にいないS級美少女。
けれど、どこかミステリアスな部分がある。
彼女には――私にも、そして彼女自身にも分からない、秘密があるのかもしれない……
【次話予告】
私と凜華に、不穏な影が忍び寄る。
閉め切ったはずの部屋に、モンスターが侵入してきたのだ。
「凜華、また私をお取りに使おうとしてない?」
「そうじゃないわ。私がモンスターの弱点を見つけるまでの間、時間を稼いで欲しいの。」
――そしてとある男がつぶやく。
「本当に未知数だな、シャインブレイブの力は……」
第7話 透明怪人と敵の片鱗!
お楽しみに!
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第7話は明日21時に投稿します。




