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シャインブレイブ!  作者: finalphase
第4章 最終決戦!!
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第46話 遥の新技と恐るべきオルフェウス

「皆さん、目を覚ましてください。他人のために、自分の人生の全部を捧げる必要なんて……どこにもありません!」


 高野遥の声は震えていた。

 けれどその震えは弱さではない。

 恐怖も、迷いも、痛みも全部抱えたまま、それでも前へ進むための覚悟の震えだった。


 広場いっぱいに横たわる人々。

 虚ろな目をした彼らは、遥の必死の呼びかけにも一切反応を返さず、まるで感情さえ取り上げられたかのように静止している。


 オルフェウスの洗脳は、誰かの心を乱暴に壊すようなものではない。

 もっと冷酷で、もっと徹底していて――

 本当に、世界ごと支配者ひとりの“意志”に書き換えていくような強制力だった。


 遥はそれでも立ち続けていた。

 胸の奥には、ルナを救えなかった後悔がまだ刺さったまま。

 けれど、その痛みが、彼女を止める理由にはならなかった。


(もう……大切な人が消えていくのは、嫌なんです……)


 その刹那。

 大地の脈が一拍抜けたかのように、空気が淡く震える。


 地面のひびの隙間から、黒い煙が音もなく滲み出した。

 ゆらり、ゆらりと揺れながら集まり、影が立ち上がり、輪郭をつくり――


 ついに、その男が姿を現した。


「……あなたは?」


「私はオルフェウス。この世界で、最も神に近い存在。」


 まるで呼吸をする必要さえないかのように静かな佇まい。

 遥の顔を見下ろすその表情は、冷たさを超えて“無”に近い。


「さあ、決着をつけましょう。この地球は――すべて私の物なのですから。」


 オルフェウスが指を軽く鳴らした。


 それだけで、世界の構造が反転するような違和感が広がった。

 広場の人々、通行人、動物、鳥、風すら止まったように見える。

 すべてがオルフェウスの意志に従うために“待機”した。


 人間だけじゃない。

 自然すら、彼に膝をつこうとしていた。


「そんなこと、させるわけ……ない!」


 遥の全身から熱が爆発するように駆け巡る。

 胸の奥で光が脈打つ。心臓の鼓動と、光の拍動が重なる。


 ひかりと一緒に戦ってきた日々。

 ルナと交わした言葉。

 自分の弱さと向き合ってきた時間。


 その全部が、今の遥をつくっている。


「光よ、私に新たな力を!

 ミラクルミナスブレイク!!」


 地面を割り、空気を裂き、光が一直線に放たれる。

 光線の軌道はまるで意思を持つかのようにしなり、オルフェウスの心臓めがけて走った――が。


「遅い。」


 影が、伸びた。

 オルフェウスの足元にあったはずの影が、意思を持つ生き物のように滑り出し、光を“逸らす”。

 吸収するでも防ぐでもなく、ただ軌道を曲げて消した。


(影……! 攻撃を読んで誘導しただけ……?)


 息をする暇もなく、遥はもう一撃構える。


「なら、これならどうですか……!

 ミラクルミナスブレイクッ!」


 角度を変えた二段攻撃。

 回避した瞬間を狙った、完璧なタイミングの追撃。


 ――そして。


「ミラクルミナスレインボー!!」


 七色の光が弓の形をとり、音速を置き去りにして矢が放たれる。

 ひかりとルナの姿が一瞬よぎる。

 未来の自分を信じ抜いた“初撃必中”の新技。


 常識的に考えれば、どんな強敵でも初見なら反応は遅れる。

 遥の読みは理屈として間違っていない。

 むしろ完璧だった。


 ……だが。


 バキィンッ!!!


 七色の閃光が、まるで硬いガラスにぶつかったように砕け散った。


「……え?」


 遥の時間が止まった。


 オルフェウスが動いたという気配が、まったくなかった。

 でも――気づけば、彼は遥の目の前。

 本当に、まばたきほどの隙に。


 その距離は、指先を伸ばせば触れられるほど。


 オルフェウスの手が、そっと遥の胸元に触れた。


 ピシ……ッ。


 次いで、鋭い破砕音。


 遥のコンパクトが、粉々に砕け散った。


「オルフェウスさん……あなた、最初からそれが狙いで……」


「その通りだ。」


 冷たい声。

 残酷というより、ただ淡々と“任務を遂行する者”の口調だった。


「星川ひかりのコンパクトも、すでに破壊した。

 これで残るは二人だけだ。」


「ま、待ってください!」


 遥の叫びは掠れ、痛みと悔しさで震えている。


 振り返らないオルフェウスは、歩きながら言葉を続ける。


「待てない。

 高野遥、13歳。虹ヶ丘中学校1年生。身長152cm、血液型O型。」


「……やめてください……」


「黒羽集落出身。ひかりと同じく、まっすぐな瞳を持つ。

 複数の状況を同時に想定し、的確な判断ができる。

 そして――彼女の上位互換だ。」


「ひかりとは比較しないで……!

 あの子は……あの子は……そんな風に軽く言われていい子じゃ……!」


 涙混じりの声は、オルフェウスの背に何ひとつ届かず。

 遥は膝から崩れ落ちる。


 残されたのは敗北と屈辱と、心をえぐられるような無力感。


 そして、オルフェウスは歩き続ける。


 次の標的へ――静かに、迷いなく。


────────────────


【次話予告】


 オルフェウスが次に名指しした標的は、誰もが想像していた“凜華”ではなかった。

 選ばれたのは――ただの一般人、鈴木祐介。


 なぜ彼なのか?

 彼に何を見たのか?

 そして、彼を守り切れる者はいるのか。


 第47話 人類の最後の砦


――必ず、読んでね。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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