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シャインブレイブ!  作者: finalphase
第4章 最終決戦!!
45/52

第45話 私vsオルフェウス!

 私は、人々をオルフェウスの洗脳から救い出すため、ただ必死に声をかけ続けていた。

 歩道、公園、学校の帰り道、そして商店街。

 どこへ行っても、同じ方向へ、同じ速度で歩く人々の列は途切れない。

 目は虚ろで、呼びかけにも反応しない。まるで、心だけがどこか遠くへ持っていかれてしまったみたいに。

 私はその流れに紛れ込み、“洗脳されたフリ”をして近づいていく。

 でも、本当は――胸の奥が張り裂けそうなくらい怖い。

(私は私。私は……絶対に飲まれない。)

 そう何度も自分に言い聞かせながら、私は声を放つ。

「目を覚ましてください……! あなたは、オルフェウスのために生きてるんじゃない。

 あなたは……あなたの人生を生きるべきなんです!」

 叫んだ瞬間、胸の奥が熱くなる。

 涙が出そうなほど必死なのに、相手は一瞬たりとも立ち止まらない。

 でも、止めるわけにはいかなかった。

 どうすれば洗脳が解けるのかなんて、本当は分からない。

 それでも――信じるしかない。

 目の前の誰かが、戻ってきてくれると、ただその奇跡を。

 そんな時だった。

 ふ、と空気が引き締まる。ひどく冷たい風が頬を撫で、温度が一瞬で下がったように感じた。

 次の瞬間、地面の中心がざわりと揺れる。

 黒い煙が渦を巻いて噴き上がり、まるで地面の裂け目から闇が滲み出したみたいだった。

 街灯の光が吸い込まれ、周囲の音が消え――世界が息を潜める。

 煙の中から、静かに影が歩み出す。

 そして。

 オルフェウスが姿を現した。

 黒い外套のようにまとわりつく闇。

 周囲の空気を支配するほどの圧倒的な存在感。

 歩くだけで、世界がひざまずくような錯覚を覚える。

 彼は誰より静かで、誰より冷たく、そして残酷なほど余裕を漂わせていた。

「君たちの作戦は、すべて読み切っているよ。」

 まるで耳元で囁かれたような低い声。

 その唇がゆっくりと笑みに形づくられたとき、背筋が凍りついた。

 そうだ。

 彼は人の心を読める――。

 揺らぎも、迷いも、希望すらも。

 人間の弱さも強さも、すべて見透かしてしまう“神”の力で。

「……オルフェウス。あなたの思い通りには、させない!」

 震えを押し殺し、私はコンパクトを掲げる。

 胸の奥で小さな光が脈打ち始め、その鼓動が全身に走る。

「光よ、私に新たな力を――

 マジカルミナスブレイク!」

 あふれ出す光が身体を包み込み、私は一気にシャインブレイブへと姿を変えた。

 変身の光はいつもより少し弱く見えたけれど、それでも私は踏み出す。

「マジカルミナスブレイク!」

 放った瞬間、光の軌跡が空間を切り裂き、一直線にオルフェウスへ向かう。

 だけど――。

「――」

 何の反応もなく、ただ指を軽く振っただけだった。

 そして次の瞬間、光は弾丸のように跳ね返り、逆流し、こちらへ迫ってきた。

「えっ――!?」

 反応するより早く、衝撃波が私の体を叩きつけ――

 視界が白く弾ける。

 息が一瞬で抜け、身体の芯が折れたみたいに動かなくなる。

 気づけばオルフェウスが鋭い軌道で飛び込み、腹部に回し蹴りが突き上げられていた。

 地面が揺れ、肺が悲鳴を上げる。

 さらに、彼の指先が異常な速度で伸びる。

(コンパクト……!)

「まさか……!?」

 理解した瞬間には、もう遅かった。

 オルフェウスの攻撃が直撃し、コンパクトは甲高い音とともに崩れ落ち、破片が宙を舞った。

 光が霧散し、変身が強制解除される。

 私は無力なただの“ひかり”の姿で、地面に膝をついた。

 そんな私を見下ろすオルフェウスは、淡々とした声で言い放った。

「星川ひかり、14歳。」

「……何よ……?」

「虹ヶ丘中学校2年生、身長154cm。生年月日6月8日。血液型O型。

 場面緘黙症を努力で克服した――並ではない努力家だ。」

 彼の声は冷たくも温かくもなかった。

 ただ“事実”を読み上げ、私の人生をひとつずつ暴いていく。

「長所は素直さと明るさ。短所は、勉強と運動の壊滅的な苦手さ……だろう?」

 目が合う。

 心の奥まで覗かれたような感覚に、呼吸が止まった。

「君は純粋だ。良くも悪くもな。その純粋さゆえに――動きが読みやすかったよ。」

 それだけ告げると、オルフェウスは私に止めを刺すわけでもなく、ただ静かに背を向けた。

 そこには迷いも、怒りも、慈悲もなかった。

 おそらく――

 私を殺す価値すら感じていないのだ。

 あまりの絶望に、喉が熱くなる。涙がこぼれそうになる。

 でも、それでも。

(こんな……こんな終わり方、絶対に――)

 私は唇を噛んだ。

────────────────

【次話予告】

 星川ひかりのコンパクトを破壊し、力を奪ったオルフェウス。

 次なる標的として向かうのは――遥。

 絶望の中、遥はいつの間にか身につけていた“新技”を披露する。

 仲間を守ろうと立ち塞がるその姿は、弱さも強さもすべて抱えたまま、まっすぐだった。

 だが、オルフェウスの力はあまりにも大きい。

 遥の新技すらも揺るがすことはできない。

第46話 遥の新技と恐るべきオルフェウス

――必ず読んでね。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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