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シャインブレイブ!  作者: finalphase
第3章 狂気の実験
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第39話 美少女の覚醒

 マルバスの剣が凜華に向かって振り下ろされる――その刹那。

凜華の全身が、夜空の半月よりも強く、神々しい光で包まれた。

光は一瞬にして爆ぜるように広がり、マルバスの手から剣を弾き飛ばす。

鋼鉄の刃はくるくると宙を舞い、泉脇の地面に突き刺さった。


 その異変を離れた場所から見ていたオルフェウスは、静かに目を細めた。

「……ついに神の力に覚醒したか。やはり、私の娘だ。」


 皮肉にも、マルバスが凜華を“本気で葬ろうとした”その圧倒的殺意が、彼女の潜在力を強引に目覚めさせてしまったのだ。

 光が収束する頃には、凜華は自らの力をある程度制御できるほどに覚醒しており――次の瞬間、風を切る轟音と共に、彼女は私の前へ瞬間移動していた。


 そして、私の首を締め付けていたファイティング・グローへ、躊躇の欠片もない強烈な拳を叩き込む。

 金属音を響かせてロボットは怯み、伸ばしていた腕を緩めた。

その瞬間、私は地面へと崩れ落ちる。


「凜華、ありがとう……。また助けてもらっちゃったね……」

「当たり前でしょ。あんたに死なれたら困るんだから。」


 お互い息が荒いまま笑い合い、ハイタッチを交わす。

その温もりに、命が戻ってきた実感が湧いた。


 一方その頃。

鈴木祐介は少し離れた地点で、別のファイティング・グロー複数体と激戦を繰り広げていた。

すでに息は限界、体力は底をつきかけている。

しかし彼は――折れなかった。


「……人間の力を、侮らない方が良い。」


 渾身の気迫でライフルの引き金を引く。

ババッと連射された弾丸が、ファイティング・グローの頭部と胸部の要所を正確に撃ち抜く。

システムはデータ更新中で無防備だったのだろう。

火花を散らして2体が崩れ落ちた。


 魔法でもなく、変身能力でもなく――

純粋な“人間の武器”で突破したのだ。

鈴木の呼吸は荒いが、決意だけは鋭く輝き続けていた。


「やっと本気を見せてくれたみたいだね。」


 マルバスが落ちていた剣を拾い上げ、ゆっくりと立ち上がる。

その背後では、新たな8体のファイティング・グローが起動音を鳴らしながら並び立っていた。


「ひかり、行くよ!」

「うん!」


 私たちは距離を詰め、また肩を並べる。

ファイティング・グローたちが迫ってくる――その瞬間。


 凜華が静かに、ただ鋭く睨みつけた。

次の瞬間、空気が揺れたかと思うと、ロボットたちは一斉に後方へ吹き飛ぶ。


「なっ……」


 マルバスが咄嗟に剣を凜華へと投げつける。

高速で回転しながら飛ぶ刃は、普通なら避けられない。

私は反射的に叫んだ。


「凜華、危ない!!」


 しかし彼女は逃げず、怯まず――

飛んできた剣を、ただ“睨む”だけだった。


 刹那、剣が凜華の目の前でぴたりと停止し、重力に勝手に従うようにストンと真っ直ぐ地面へ落下した。


「バ、バカな……。これが……オルフェウス様の血を引く者の力……!」


 これまで冷静だったマルバスでさえ、本気で目を見開いた。


 凜華はまっすぐ前に歩き、手を翳す。

すると、残っていたファイティング・グローたちが次々と後方へ吹き飛ばされる。

その勢いのまま、凜華は弓を構えた。


「プリズルミナスブレイク!」


 放たれた光の矢が三条の軌跡を描き、ファイティング・グロー3体の上半身を一瞬で粉砕した。

金属片が夜空に散り、その後で――凜華は振り返って私の手を取った。


 その手は、驚くほど暖かい。

指先が触れるだけで、不安が消えていく。


 凜華が静かに私の目を見る。

その視線に込められた“意図”を、私は自然と理解した。

深く頷くと、私たちの繋いだ両手が淡い光を放ち始める。


 光は強まり、やがて――

虹色に輝く弓矢が空中に形成された。


「ひかり、せーのでいくよ。」

「うん……行こう!」


 私たちは並んでその弓を構える。

魔力が放たれる瞬間、風が舞い上がり、夜空まで震えた。


「スペシャルレインボーブレイク!!」


 虹色の矢が一直線に放たれ、残るファイティング・グローを次々と貫き、爆発の連鎖を生み出した。

鋼鉄の身体は、触れることすら許されなかったように粉砕される。


 爆発が静まり返った時――マルバスの姿は、どこにもなかった。


「逃げた……?」

「ちょっと、離れるね。」


 凜華が照れ隠しのようにそっと手を離す。

それが妙に可愛くて、私もつい笑ってしまう。

ふたりで無意識に跳ねるように喜んだ。


――しかし。


 すぐに、大事なことを思い出す。


 私たちは勢いよく振り向き、声を揃えて叫んだ。


「遥は!? ルナはどこ!?」


 戦場の空気が一気に緊張へ戻り、私たちは必死に二人の姿を探し始めた。





【次話予告】

マルバスの言葉は、ただの脅しだと思っていた。

だけど――あれは“半分だけ”本当だった。

そして、その半分が残酷すぎる。


第40話 希望の光と深い絶望


必ず、読んでね!

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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