第35話 オルフェウスの正体とマルバスの策略!
その日、マルバスはオルフェウス直々の呼び出しを受けていた。
荘厳な礼拝堂のような空間。燭台の炎が揺れ、薄暗い部屋の奥に、仮面の男――オルフェウスが静かに立っていた。
「オルフェウス様。お呼びとのことですが、一体何のご用件で?」
「単刀直入に申し上げましょう、マルバスさん。」
低く響く声。その声音には、いつになく冷たい響きがあった。
「あなたが本当にシャインブレイブを倒せるというのなら……私は、それを止めるつもりはありません。」
「それは、つまり――?」
「私は間もなく、“神に最も近い存在”として覚醒します。」
マルバスは目を見開いた。
「それは……一体、どういう意味で?」
「以前にも少し話したでしょう。私の一族――早乙女家は、人間の中でも特に“神”に近づいた血を持つ家系だと。」
オルフェウスの口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
「そして、私――早乙女律の娘、凜華もまた、その潜在能力を確かに受け継いでいます。その力が目覚めるのは二つの条件のどちらか。
ひとつは、年齢を重ねたとき。もうひとつは――命の危機に直面したときです。」
「……つまり、早乙女凜華が“覚醒”する時が近いと?」
「そういうことです。」
マルバスは眉をひそめた。
「しかしオルフェウス様。ご自分の娘が、赤の他人の手によって倒されることになっても、構わないのですか?」
「ええ、構いません。」
オルフェウスは淡々と答える。
「たとえ家族であっても、シャインブレイブは“私の敵”ですから。」
その瞳の奥に、一瞬だけ複雑な光が宿った。
――マルバスさん、私の娘はあなたには倒せない。
オルフェウスは心の中でそう呟き、微かに笑った。
オルフェウスの部屋を後にしたマルバスは、すぐに作戦立案に取り掛かった。
目標はただ一つ。シャインブレイブの完全撃破。
「彼らの強みは“団結”だ。仲間同士が信頼で結ばれている。普通の人間でありながら、あの鈴木祐介という男までがバトルスーツを纏い、戦いに参加している。――だが、団結が力の源なら、それを崩せばいい。」
マルバスの唇が不敵に歪む。
「さらに、シャインブレイブの最大の武器は“成長力”と“怒り”による瞬間的なパワーアップ。ならば――それに“ついていける敵”を作ればいい。」
その答えは単純だった。
戦いの中で敵を学習し、進化していくロボット。
「名付けて――《ファイティング・グロー》。」
彼は試験管に浮かぶ光る液体を見つめながら、ゆっくりと笑った。
ロボットには三つの能力が備わっている。
一つ、敵の攻撃を防ぐバリア。
二つ、受けた攻撃をそのまま反射するカウンター機能。
三つ、目から放たれる強力なレーザービーム。
それを十体――。
マルバスは冷徹に命じた。
「一人の戦士に二体で襲いかかれ。」
そして――運命の日が来た。
放課後、真っ先に下校する遥。
街中を気ままに歩くルナ。
そして、巡回中の鈴木祐介。
それぞれの前に、無機質な鋼鉄の兵士たちが姿を現した。
――ファイティング・グロー、発進。
「ミラクルミナス・ブレイクッ!」
遥が変身し、光の魔力をまとって戦闘を開始した。
しかし、ロボットは無表情のまま拳を振るい、彼女を壁に叩きつける。
「ミラクルミナス・バリア!」
展開した防御壁が音を立てて砕け散る。
遥の放った攻撃も、逆にバリアに弾き返された。
「くっ……! なんて硬さなの……!」
目から放たれる赤いレーザーが地面を焦がし、遥の身体を貫いた。
それでも彼女は立ち上がる。
――ここで負けるわけにはいかない。
同じ頃、鈴木祐介も二体のファイティング・グローと死闘を繰り広げていた。
体力の限界を超えながらも、驚異的な持久力で応戦を続ける。
彼の拳が鋼鉄の装甲にめり込み、火花が散る。
一方、夜の路地裏では、ルナが孤独な戦いを続けていた。
「ダークルミナス・ブレイク!」
黒い光が炸裂する――が、ロボットのバリアに跳ね返され、衝撃波が彼女の身体を貫いた。
鋭い弓矢が胸を貫き、彼女は地面に崩れ落ちる。
「ぐっ……ぁ……!」
血が喉を焼き、息ができない。
冷たいアスファルトに倒れ込む彼女に、無慈悲な光が降り注ぐ。
レーザーが直撃し、胸元の人工宝石が粉々に砕け散った。
――視界が滲む。
(……何だったんだろう、私の人生。)
(結局、友達って何か分からなかったな……。)
(ひかりや凜華、そして遥。私がいなくなったら……悲しんでくれるかな……?)
人工的に生み出された命。
その最後の瞬間、ルナは静かに微笑み、瞳を閉じた。
【次話予告】
ルナを倒した二体のファイティング・グローが、次なる標的――遥のもとへ向かう。
四体のロボットに囲まれ、絶体絶命の危機に陥る遥。
光が消えかけたその時、彼女の心に浮かぶのは――仲間たちの笑顔。
第36話 絶望の始まり
必ず読んでね!
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