第32話 マルバスとの共闘!
私たちは、思わずその男の方を振り返った。
焦げついた煙と爆風の中、黒いローブをまとった男がゆっくりと歩み出てくる。瞳には不気味な光が宿っていたが、そこには狂気ではなく、計算された知性があった。
「あなたは……?」
純粋な気持ちで尋ねた私に、男はゆっくりと口角を上げた。
「やぁ、初めまして。俺の名はマルバス。――オルフェウス教団の一員さ。
シャインブレイブ……そしてその仲間たち。君たち、一緒に彼女を倒さないか?」
そう言って、マルバスは何とも言えない、底の読めない笑みを浮かべた。
「オルフェウス教団?」
私は眉をひそめた。耳慣れたその名前に、胸の奥がざわつく。
マルバスは表情一つ変えず、静かに言葉を続けた。
「あぁ。君たちがこれまで戦ってきたあの連中――ネメシスも、ルシフェリアも、みんなオルフェウス教団の仲間さ。」
「はっ、あんたの話なんて誰が信じるのよ? 敵の協力なんて、絶対いらないわ。」
いつものように強気な凜華が、すぐさま食ってかかる。彼女の瞳には明確な拒絶の光が宿っていた。
でも、私は――どうしても気になった。
彼の言葉の裏に、何か真実の匂いがあったから。
「マルバスさん、教えてください。オルフェウス教団の目的って……一体何なんですか?」
私の問いに、マルバスは口の端を少しだけ吊り上げた。
「ふふ……いい質問だ。だが覚えておきな、世界はいつだって不条理さ。君たちが信じる“正義”が、いつも正しいとは限らない。」
彼の声はどこか寂しげでもあった。
「オルフェウス様の目的は、完全なる世界を作ること。争いも悲しみもない、完璧な秩序の下で、すべての生命が統治される世界――それこそが、美しき理想郷だ。」
「……それって、結局世界を征服したいだけじゃないの?」
凜華の冷たい突っ込みが飛ぶ。
マルバスは何も言わず、ただ微笑んだ。
その瞬間――
「ちっ、黙って聞いてりゃこそこそ話しやがって! どいつもこいつもうるせーんだよ!!」
神崎沙羅が怒りを爆発させ、辺り一面に矢を放った。黒い炎のようなエネルギーが爆ぜ、地面が割れる。
私たちは再び大きく吹き飛ばされ、瓦礫に叩きつけられた。
全身に痛みが走る。変身が解除されそうになったが、気合でどうにか踏みとどまる。
「な、何て強さなの……?」
息を切らせながら私は呟く。
そんな中でも、マルバスは冷静だった。
「……俺のことを信じるか信じないかは自由さ。だが、このままじゃ全滅だ。これは利害の一致。悪い話ではないと思うが?」
彼の言葉には、揺るぎない自信と、どこか冷たい現実味があった。
私は、拳をぎゅっと握りしめ、決意する。
「分かりました。――私たち、あなたと協力します!」
「はぁ? ったく、あんたねぇ……」
凜華は呆れ顔で私を見たが、それ以上何も言わなかった。私の中に宿る覚悟を、彼女も感じ取ったのだろう。
「ようやく乗ってくれたね。」
マルバスは微笑み、構えを取る。
「みんな、力を合わせよう。」
まるで正義の味方のような言葉だったが、その瞳の奥はやはり闇を宿していた。
五人と一人――奇妙な共闘が始まった。
マルバスが沙羅に向かって鋭く剣を振り下ろす。しかし、その攻撃は金属音を響かせて弾かれた。
「ありがとう、マルバスさん! マジカルミナスブレイク!」
私が後方から矢を放つも、沙羅は軽く腕を振ってそれを弾き返す。火花が散る。
「ダークルミナスブレイク!」
ルナが素早く動き、沙羅の隙を突いて弓を放った。矢は直撃したものの、沙羅の表情は変わらない。
「ちっ、こざかしいわね。」
沙羅が反撃の構えを取る。
「遥、行くわよ!」
「はいっ!」
「プリズルミナスブレイク!」
「ミラクルミナスブレイク!」
凜華と遥の連撃が、爆発的な光を生み出す。沙羅の身体がよろめき、はじめて苦しそうな表情を見せた。
「今だ!」
鈴木さんが冷静に叫び、タイミングを見計らって発砲する。銃声が夜空を裂き、弾丸が沙羅の足元を貫いた。
わずかな隙――それがすべてだった。
「みんな、今だ!」
マルバスの声が響く。彼が剣を構え、鈴木さんが再び銃を構える。私たちも息を合わせた。
「マジカルミナスブレイク!」
「プリズルミナスブレイク!」
「ミラクルミナスブレイク!」
「ダークルミナスブレイク!」
私たちの矢と鈴木さんの弾丸が、まばゆい光の帯を描いて沙羅の身体を貫いた。
その瞬間、マルバスが跳び上がり――剣を一閃。
刃が闇を裂き、沙羅の身体を真っ二つに切り裂いた。
「な……ぜだ……お前らが生き残って……なぜ、あたしが死ぬんだ……この世界は……全部、あたしの……ものだったのに……」
その言葉を最後に、沙羅の身体は闇の粒子となって、静かに消えていった。
沈黙。
風が、焦げた地面をなぞるように吹き抜けた。
「ありがとう、マルバスさん。」
私が感謝を告げると、マルバスは静かに片手を上げて背を向けた。
「礼はいらないさ。――次に会うときは、敵かもしれないけどね。」
その言葉を残し、マルバスの姿は闇の中へと溶けていった。
「……今回は何とかなったから良かったけど、今後は敵とは協力しないからね!」
凜華が私に釘を刺す。
「うん、分かってる。」
私は微笑み返しながらも、心の奥では、マルバスという男の言葉が静かに残響していた。
“正義がいつも正しいとは限らない”――その言葉が、なぜか胸を離れなかった。
そして私たちは、静かに夜の街を後にした。
【次話予告】
「この前は邪悪な心を入れすぎた……今度こそ、真のダークブレイブを完成させる。」
マルバスは前回の失敗を反省し、新たな実験に取りかかる。
一方その頃、下校中の遥は偶然ルナと出会う。
――しかし、その前に姿を現したのは、新たに誕生した恐るべき存在だった。
次回――
第33話 決闘! 遥VSダークブレイブ!
必ず、読んでね!
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