第3話 ミステリアスなお嬢様!? 凜華の正体!
志乃の後を引き継いで学級委員長になった私は、その日初めて学級委員長の仕事に取り掛かった。
約1カ月後に開催される体育のクラスマッチに出場するメンバーを決める大事な話し合い。最初は思いのほか流暢に喋れていたが、そのうち声を出すのがとてもしんどくなってきた。
「ええと、次は、女子バスケに……」
頭の中に、“絶望”という2文字が浮かんだ。
またもやいつものように、声が出なくなってしまったのだ。重い沈黙がその場に流れる。
私が黙っていると、早乙女さんが立ち上がって、私が立っている教壇の前に出てきた。
「あんた、どきなさい。」
何も言えずに教壇を降りる私。
「それじゃ、私が続きをやるわ。続きは、女バスの参加希望者からね…」
早乙女さんが、何も言えない私の代わりに司会を進めてくれた。
「何て、駄目な人間なんだろ…私って…」
心の中で歯を食いしばる。
私は休み時間になると、すぐに早乙女さんに会いに行った。謝罪と感謝の気持ちを伝えたかったから。
彼氏の山田浩平と一緒に歩いている彼女を呼び止める。
「あの、早乙女さん…」
「何よ?」
「さっきはごめんなさい。私のせいでご迷惑を…」
深々と頭を下げる。
「それから、ありがとうございました。」
「あんたさ、人前で話すの大変なんだろうけど、自分でやるって決めた仕事はちゃんと自分でやりなさいよね。じゃなきゃ私が迷惑しちゃうんだから。」
彼女の口から正論が飛び出す。
「本当に、ごめんなさい。」
私はただただ頭を下げることしかできなかった。
「まぁまぁ、凜華、そこまで言うことないだろ。
みんなの前で話すことが全くできなかった彼女が、少しの間司会をできるようになっただけでも成長じゃないか。」
早乙女さんの彼氏である山田君はそう言ってくれたけれど、私の気持ちは沈んだままだった。
早乙女さんの言っていることは、最もだから…
落ち込んで歩いていると、茂みの中から何者かが飛び出してきた。嫌な予感がする。
案の定、周囲の人間が悲鳴を上げて逃げる。やはり、例のモンスター。
この前と同じカマドウマのような見た目だが、今度は2体である。
「光よ、私に力を! マジカルシャインブレイブ!」
私は変身してそのうちの一体に弓矢の狙いを定める。
「マジカルシャインブレイク!」
丁度弓矢を放とうとしたその時――後ろから不意打ちを喰らった。
あまりに強い衝撃を受けたので、変身が解除される。
「シャインブレイブ?とかいう戦士になって間もないのに。学級委員長の仕事も全く思うようにできなかった上に、人生の最期の瞬間がこれ?これじゃ志乃に合わせる顔がない...」
そう思った時、どこからともなく飛んできた水色の弓矢が、一体のモンスターに突き刺さる。
モンスターは一瞬で爆発する。
「シャインブレイブ…」
もう一体のモンスターが、その弓矢が飛んできた方向を見る。
そこには、私が変身した時と同じような衣装を着た美少女が立っていた。
けど、彼女の服はとても煌びやかで、首元の緑色の宝石もキラキラと輝いている。
太陽のように眩しいその戦士は、新たな弓を残りのモンスターに放つ。
「プリズムハートブレイク!」
モンスターはあっけなく爆散した。
目の前にいる戦士が変身を解く。
私は開いた口が塞がらなかった。
何と彼女の正体は、クラスメイトのお嬢様――早乙女凜華だったのだから。
「早乙女さん、早乙女さんがどうして?」
「はぁ。昨日見てて思ってたんだけどさ、あんた戦うの下手すぎよ。
そんなんじゃいずれ死ぬわ。」
「昨日? 昨日のことも見てたなら、声をかけてくれても良かったのに。」
「昨日は、あんたが自分で何とか出来た。
今日は、放っておいたら死ぬと思ったから助けただけよ。」
「そっか…その、ありがと...」
「はぁ。ほんと情けないわね。あんたは...」
「ごめんなさい...」
「なにも謝ることないわ。見てられなかったから、助けただけ。」
クールに立ち去ろうとする彼女に、私は質問をぶつけてみる。
「あ、あのさ。シャインブレイブって何? 早乙女さんは、どうして戦ってるの?」
「そんなん知らないわよ。私は生まれた時からこのコンパクトを持っていたもの。
いずれ化け物と戦うことになる。ずっとそう思って生きてきた。
最近になってその時が来ただけのことよ。そこに理由なんてないわ。」
そう言って変身アイテムをちらつかせる。
暫く沈黙が続いた後、私が本当に心の底から知りたい問いを、彼女にぶつけてみる。
「早乙女さんはさ、志乃のことについて何か知らない?」
「知らないわよ。彼女も変身して戦えるってことは知ってたけど、それ以外は。
あんまり彼女との関わりもなかったしね。ごめん。私、今日は急いで帰らなきゃなの。」
「待って。最後に、最後に1つだけ、変身した時の宝石の色は何か意味があるの?」
「さぁ? 知らないわよ。
ただ、私の宝石はまるで私のように輝いてるわ。」
早乙女さんは、かなりの自信家らしい。
私がお礼を言葉にすると、彼女は黙ってその場を後にした。
【次話予告】
「あの猫、可愛いな。ずっと見てたいくらい。」
「あんた、彼女の私と猫どっちが大事なのよ?」
「猫!」
「……」
「分かった分かった。泣くことないだろ。少しからかっただけだっつーの。」
「もうっ!」
彼女より猫を大事にする彼氏があって良いわけ?
みんなもそう思うよね?
第4話 お似合いカップル!
猫が好きな人は、評価かブクマ、しなさいよね!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
この作品が面白いと感じられました方は、評価やブクマなどくださると大変励みになります。
第4話は3分後に投稿します。




