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シャインブレイブ!  作者: finalphase
第3章 狂気の実験
29/52

第29話 実験の失敗!?

 培養カプセルの中の液体が、ゆっくりと形を変えていく。

 泡立つように揺らめきながら、やがてそれは――小学生ほどの少女の姿となった。


 マルバスは満足げに頷くと、無機質な機械音と共にカプセルを開いた。白い蒸気が漏れ出し、静かに目を開けた少女に向かって声をかける。


「お目覚めかい? 自分の名前を言ってみるといい。」


「……私の名前は……月影ルナ。」


 マルバスの顔が綻ぶ。

 自らの手で人工生命体を完成させた喜びが、胸の奥から込み上げてくる。

 彼女は自らの意志を持ち、言葉を話すこともできる。しかも――シャインブレイブと同じような“力”を宿しているのだ。


「ルナ、君に頼みたいことがあるんだ。」


「頼みたいこと?」


「シャインブレイブのことは知っているね?」


「うん。人間を守るために戦っている神の使い……」


「そう。そのシャインブレイブを――倒してもらいたい。」


 ルナは短く頷くと、静かにその場を後にした。

 彼女の頭の中には、マルバスから聞いた3人の少女の姿が焼き付いている。星川ひかり、早乙女凜華、高野遥――ごく普通の中学生たち。しかし、彼女たちはこの地域を守る光の戦士、シャインブレイブでもあった。


 マルバスに見せられた写真を思い出す。

 ひかりは明るくて少しバカっぽい印象。凜華は冷静で凛とした優等生。遥はおとなしそうで、どこか影のある後輩タイプ。

 外の世界へ出ると、ルナは思わず立ち止まった。


 見たことのないほど綺麗な景色が広がっている。

 風に揺れる木々、青く透き通る空、すれ違う人々――すべてが新鮮だった。

 人間の世界は、思っていたよりもずっと複雑で、そして美しい。

 まずは放課後、彼女たちが虹ヶ丘中学校を出てくるのを待つことにした。


 そして夕方。

 校門からひかりと凜華の姿が現れる。ルナはその前に立ちはだかった。


「星川ひかり、早乙女凜華。あんたたち、私と戦いなさい。」


「あなたは?」


 ひかりが澄んだ瞳でルナを見つめる。


「オルフェウスの手先……? だったら、たとえ幼い子でも容赦はしない。」


 凜華がコンパクトを構え、鋭い視線で睨みつける。その眼差しに、ルナの背筋が震えた。

 ――早乙女凜華。この女、ただものじゃない。


 その瞬間、ルナの胸の奥に奇妙な感情が芽生える。

 彼女が欲しい。

 その瞳も、心も、すべてを自分のものにしたい――そんな歪んだ想い。


「やめなよ。」


 ひかりが凜華に呼びかける。


「どうして? 私たちと戦いたいって言ってるんだから、望みどおり倒してやればいいじゃない。」


「そんなに悪い子じゃないかもよ。」


「ったく……」


 凜華は呆れたようにため息をつきつつも、コンパクトをしまった。

 戦うよりも、まず話をしようとする――そんな優しさが、彼女には確かにあった。


「ねぇ、あなた、名前は?」


 ひかりがあどけない笑みを浮かべて尋ねる。


「名前……? 私の……名前は……月影ルナ?」


「ルナちゃんか。いい名前だね。ねぇルナちゃん、どうして私たちと戦おうと思ったの?」


 ひかりのマイペースな口調に、ルナは戸惑う。


「え? それは……オルフェウスさんに命令されたから。」


「そっか。じゃあ、ルナちゃん自身は戦いたいの?」


「……分からない。」


「分からないかぁ。じゃあさ、私たちの生活に付き合ってみない?」


「は?」


 凜華が思わず声を上げる。


「空気読めよ、このバカ……」と、心の中で毒づきながらも、ひかりの勢いに押されてしまう。


「私たちの生活……?」


 ルナの動きが止まる。

 人間の生活――それは、彼女が知らない世界。

 人間は何を考えて、どう生きているのか。興味が湧かないはずがなかった。


「ね、凜華!」


 ひかりが謎の圧で迫る。


「私は嫌よ。あんなのとは関わらない。」


「またまた~、そんなこと言って。本当は優しいんだから。」


「優しくない!」


「あの……」


 ルナが小さな声で口を開いた。


「ん?」


「凜華って、本当に綺麗な目をしてるね。水晶みたい。」


「そりゃどうも。」


 少し照れたように視線を逸らす凜華。


「でしょでしょ。ルナちゃんも凜華の魅力に気づいたー? でもね、凜華って外見だけじゃないんだよ。もちろん見た目も可愛いけど、人間性も――」


「うっさい。」


 凜華がひかりの頭を軽く小突く。


「いったぁ~! もう、凜華ったら!」


 ひかりが頬を膨らませる。その光景を、ルナは不思議そうに見つめていた。

 ――人間って、こんなにも温かいものなの?


 一方その頃、マルバスは遠くのモニター越しにその様子を見つめていた。


「……人工生命体を作ったはいいが、あいつ、シャインブレイブと普通に話してやがる。実験は失敗か。次は……もっと悪い心を入れないとな。」




【次話予告】

 私、月影ルナ。オルフェウスによって作られた人工生命体。

 ひかりと凜華は、私に“人間の暮らし”を教えてくれるらしい。

 二人はとっても仲が良くて――その理由を聞いたら、「友達だから」って笑ってた。


 “友達”って、何だろう。

 胸の奥がドキドキする。私も、二人の友達になりたい。


第30話 友達って何だろう。


――必ず、読んでね!

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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