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シャインブレイブ!  作者: finalphase
第2章 ようこそ、あたしの世界へ!
21/52

第21話 救いの手

 その時だった。


闇の中を裂くように、水色の光が一直線に走った。

矢のような水色の閃光が空気を切り裂き、偽物の私の胸を貫いた。


眩しい残光の中で、偽物の身体が一瞬よろめく。

痛む腹部を押さえながら、私は顔を上げた。


視界の端に、夕日を背に立つ一人の少女の姿が映る。


「……凜華?」


息が漏れるように、その名前がこぼれた。

夕日を背にした彼女は、風に髪を揺らしながら静かに弓を構えている。


冷たい夕暮れの空気の中で、彼女の瞳だけが燃えるように輝いて見えた。


「あんた、何やってるのよ。ださすぎよ。」


ぶっきらぼうに言い放ちながらも、その声には確かな温度があった。

懐かしい響きに、胸の奥がじんわりと温かくなる。


私は喉の奥が詰まり、何も言い返せなかった。

ただ、“救われた”という実感だけが、ゆっくりと胸の中に広がっていった。


その時、偽物の私が不気味な笑みを浮かべて呟く。


「……ついに来たのね。あの子を傷つけるようなことを言った“お友達”…いいわ、まずはあなたを消してあげる!」


楽しそうな笑い声とともに、偽物の私が凜華へ飛びかかった。


空気が鋭く震える。

光と闇の矢が交錯し、地面を蹴る音、魔力のぶつかり合う金属音が響いた。


偽物の私の動きは、本物よりも素早く、正確だった。

その表情には余裕があり、凜華の隙を狙って距離を詰めていく。


「ふふ……知ってるのよ。あなた、近距離が苦手なんでしょ?」


偽物の私が挑発するように笑う。

だが、凜華の瞳はまるで全てを見通しているように落ち着いていた。


彼女は心の中で冷静に考える。


(私の攻撃は威力が高いけど、接近戦には向かない……。

 でも、それを知っているなら、きっと飛び込んでくる。

 だったら——敢えて罠にかかったふりをして。)


凜華は、まるで風の流れのように身を傾けた。


次の瞬間、偽物の私が一気に間合いを詰め、矢を構える。


「今がチャンスよ。」


凜華の身体が一閃する。

彼女は偽物の攻撃を紙一重でかわし、背後へ回り込む。


同時に、凜華の手元の弓矢がまばゆい光を放った。


「——プリズルミナスブレイク!!」


空気が弾け、宝石のような輝きを放つ水色の光の矢が、偽物の身体を貫いた。


その衝撃に、偽物の私は息を呑み、地面に叩きつけられるように倒れる。


沈黙。

粉塵がゆっくりと舞い落ちる中で、凜華が弓を下ろした。


そしてすぐに、私の方へ駆け寄ってくる。


「ひかり!」


その声が、胸に真っ直ぐ届いた。

伸ばされた手のひらは温かく、震える指先で私はその手を掴んだ。


涙が頬を伝う。止めようとしても止まらなかった。


「凜華……その……ありがとう。あと、ごめん……」


喉が震え、言葉にならない想いが胸の奥で溶けていく。


「ほんとよ、あんたって、世話ばっか焼けるんだから……。大丈夫?」


その言葉に、私は堪えきれず凜華の腕の中で泣いた。

肩に顔を埋めると、張りつめていた糸がぷつりと切れる。


凜華の服の匂いが、懐かしい安心感を連れてきた。


「ったく……あんたってほんと子どもなんだから。」


そう呟く声は、どこか優しげだった。

そして、小さく続ける。


「けど……私も、その、この前のこと……言いすぎたと思ってる。」


その言葉が、静かに胸に染みた。

視線を上げると、優しい凜華の目があった。


お互い、もう口論をする必要もなかった。

心で、すべてが伝わった。


ふと横を見ると、偽物の私の姿が淡い光を帯びていた。

その輪郭が、少しずつ透明になっていく。


まるで夜明けの光に溶ける霧のように——。


私の心の中に巣くっていたネガティブな感情が、静かに消えていく。

恐れも、嫉妬も、後悔も。

すべてが風に溶けていった。


「……消えた、のね。」

「うん。ありがと、凜華。」


その時、夕陽が沈もうとしていた。

夜の静寂が、私たちを優しく包み込む。


私たちは顔を見合わせ、自然と笑った。


「あんた、いい加減泣き過ぎよ。」

「……うん。でも、もうちょっとだけ。」


そう言って、また笑う。


私たちの影が重なって、長く地面に伸びていった。




【次話予告】


「ねぇ、早乙女さん、ちょっといい?」

「何よ?」

「私たち、早乙女さんにお願いがあるの。」

「お願い? 一体何なのよ。」

「実はね――」

「はぁ? なんで私がそんなことを…!」

「隣のクラスで噂になってるんだ。早乙女さんには“特別な力”があるって。

 それに、早乙女さんくらい可愛い子、今まで見たことないんだよね…」

「……分かったわよ。行ってみるわ。」


第22話 心霊林に突入せよ!


――必ず、読んでね!

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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