第17話 MHシステム初出動!?
その日、高野遥の自宅に、警視庁捜査一課の課長・鈴木祐介が姿を見せた。
平日の午後。彼は柔らかな口調で、遥の母親に頭を下げる。
「土曜日に、少しだけお嬢さんとお話をさせていただきたいのですが。」
突然の申し出に、母親は不安げに眉をひそめた。
「……あの、うちの子が何かしたんでしょうか?」
鈴木は軽く手を振って、安心させるように微笑む。
「いえ、そういうわけではありません。ただ、ある事件に関わっている可能性がありまして。お嬢さんに、少しお話を伺いたいのです。」
母親はしばし考えた後、「分かりました」と了承した。
そして土曜日。
静かな住宅街に、スーツ姿の鈴木が再び現れる。
彼の前に現れた高野遥は、質素な服装ながら、どこか大人びた雰囲気を漂わせていた。
「あの、私……どなたかにご迷惑をおかけしてしまったでしょうか?」
緊張した面持ちで視線を落とす彼女。
鈴木は整った顔立ちを崩さず、穏やかに言葉を返した。
「いや、そういうことではない。ただ、君のことをもう少し知りたいんだ。――“シャインブレイブ”、という戦士なんだろう?」
その言葉に、遥の表情が固まる。
少しの沈黙のあと、彼女は小さく頷いた。
「……はい。私がどうしてシャインブレイブになったのか、お話しします。」
彼女は、自身の変身のきっかけから、星川ひかりや早乙女凜華との出会いまでを丁寧に語った。
鈴木は真剣に耳を傾け、うなずく。確かに、星川ひかりの証言と矛盾はなかった。
「なるほど。ありがとう。もし可能なら――少しだけ、見せてもらえないか?」
「見せる?」
「変身して、仮想の敵と戦ってみてほしい。君の力を確認したいんだ。」
遥はためらいもなく立ち上がり、両手でコンパクトを構える。
その瞳はすでに戦士のものだった。
「分かりました。光よ、私に新たな力を!――ミラクルミナスブレイブ!」
眩い光が部屋を満たし、瞬く間に彼女の姿が変わる。
清らかな光に包まれたその姿は、確かに“シャインブレイブ”の一員にふさわしいものだった。
だが、次の瞬間――
コンパクトが激しく光り始める。
「これは……モンスターの出現反応!?」
遥は顔を上げ、鈴木に頭を下げる。
「申し訳ありません。行かなければなりません。――みんなを、守らなくちゃ。」
そう言うと、彼女は勢いよく玄関を飛び出した。
数分後。警視庁に緊急通報が入る。
「虹ヶ丘市虹ヶ丘町××地点に、モンスター2体出現!」
報告を受けた鈴木は、静かに立ち上がった。
「……さて、いよいよ俺の出番か。佐野、頼む。」
「承知いたしました。」
部下の佐野が頷き、システムの最終確認を行う。
MHシステム――人間が魔力を解析・再現するために開発された最新の戦闘装備。
鈴木はスーツを脱ぎ、冷たい金属の装甲を身にまとった。
「……出動だ。」
現場に到着したとき、すでに高野遥は一体のモンスターと交戦中だった。
夜の街を、光の粒が舞う。
「ミラクルミナスブレイク!」
まばゆい光線が放たれ、モンスターが苦悶の叫びとともに消滅する。
その瞬間、もう一体のモンスターが何者かの銃弾を受け、爆発四散した。
煙の向こう――MHスーツを着た鈴木が、無言で銃口を下ろす。
少し遅れて、私と凜華も駆けつけた。
「遥ちゃん、この方は?」
「警視庁捜査一課課長の鈴木祐介さんです。鈴木さんと協力して、モンスターは倒しました。」
「ああ……あの時の刑事?」
凜華は眉をひそめ、あきれたように呟く。
「あっ、刑事さん! お久しぶりですっ!」
無邪気に手を振る私に、彼は小さく笑った。
「ああ、久しぶり。……初出動にしては、まあまあ上出来だな。」
短く言い残すと、彼は背を向ける。
「だが、俺も仕事に戻る。――また、会うことになるだろう。」
夜風にコートを翻し、鈴木は闇の中へと消えていった。
「忙しそうな人だなぁ……」と呟く私。
「……何よ。私たちを勝手に事情聴取しておいて。」
凜華はその背中を見送りながら、心の中で冷たく呟いた。
【次話予告】
夜の街をモンスターが襲う。
たまたま起きていた凜華と遥は、現場に向かう。
「今です、先輩!」
「了解! 一気に決めるわよ!」
「プリズルミナスブレイク!」
「ミラクルミナスブレイク!」
第18話 優しい先輩と理想の後輩!
――必ず、読みなさいよね!
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第18話は明日21時に投稿します。




