第16話 私と凜華の取り調べ
それは、とある日の下校中のこと。
私と凜華がいつものように並んで歩いていると、コンパクトがふわりと淡い光を放った。
――モンスター出現の合図だ。
現場に駆けつけると、モンスターが空の上で一人の女の子を落とそうとしていた。
その子は、同じクラスの斎藤あかねさんだった。
「凜華、モンスターお願い!」
「ったく、しょうがないわね。分かったわ!」
「光よ、私に新たな力を! マジカルミナスブレイブ!」
「光よ、私に新たな力を! プリズルミナスブレイブ!」
私は落ちてくるあかねさんを受け止め、凜華は一直線にモンスターへ突っ込む。
「プリズルミナスブレイク!」
一撃。モンスターは光の粒となって消えた。さすが、戦闘力が桁違いの凜華である。
「大丈夫、あかねさん?」
私は彼女を抱きかかえたまま声をかける。が、うっかり――
(あ、名前言っちゃった!)
「ありがとう。大丈夫だよ。でも、どうして私の名前を? それに……どこかで聞いたことある声な気がする。
もう一人の子の名前は凜華……そういえば早乙女さんの下の名前って凜華だったような――あっ! もしかして、ひかり!?」
「バレちゃったか〜。」
私は観念して変身を解いた。
「ちょっと! 何勝手に正体バラしてんのよ!」と凜華が怒る。
「あ、あはは……でも大丈夫、あかねさん優しいから誰にも言わないって!」
「もちろん言わないよ。でも、二人ともすごいね。
早乙女さんは前から頼りになるって思ってたけど、ひかりも成長したんだね。人前で話せなかったのに、今や学級委員長だもん。私なら無理だよ。」
「いやぁ、それほどでも……えへへ。」
私はちょっと照れながら頭をかいた。
「じゃ、助けてくれてありがとう!」
あかねさんが去ったそのとき――
私たちの前に、見知らぬ男が立ちはだかった。
「お嬢さん方。私は警視庁の鈴木祐介っちゅー者ですが。ちとお時間よろしいでしょうか。」
次の瞬間、私たちの腕に手錠がかけられた。あまりの速さに避ける暇もなかった。
気づけば、私たちはパトカーに乗せられ、取調室へ――。
「私たちをどうするつもりなんですか?」
「君たち、虹ヶ丘中学校の生徒だよね? 一体何者だ?」
凜華が目で「シャインブレイブのことは黙って」と合図してくる。
私はコクリと頷いた。
「私たちは、虹ヶ丘中学校2年2組の生徒です。私は星川ひかり。で、あっちは早乙女凜華。
すっごく頼りになる友達なんですよ! ――にしても、取調べってなんかワクワクしますね! ドラマとか漫画みたい!」
凜華と鈴木は、同時に心の中でつぶやいた。
(この子……バカだな。)
(天然か? いや、たぶん両方だな……)
「だが、これを見てもそんなこと言えるかな。」
鈴木が私の顔に銃を突きつけた。
「正体を明かさなければ、命はない。」
「わ、分かりました! わかりましたから! 殺さないでください! お父さんもお母さんも悲しみます!」
「なら、早く言え。」
「わ、私たち……シャインブレイブなんです。」
「はぁ?」
「だから、私たちシャインブレイブ! みんなを守るために、コンパクトで変身してモンスターと戦ってるんです!」
「……なるほど。この前モンスターと戦っていたのは君たちで間違いないようだな。
君たちに頼みがある。コンパクトと身体を検査させてくれ。それと、実験室で変身して仮想敵と戦ってもらいたい。」
「はぁ? 強引に連行しておいて何その態度?」と凜華。
「えっと、それって変身アイテムが壊れたり、身体に傷ついたりしませんか? そういうのがなければ、協力してもいいですよ!」
私の言葉に、凜華は心の中で**(空気読めよ!)**と突っ込んだ。
「私はやらないから。やるならこの子だけにして。」
「えぇ〜、凜華、私たち友達じゃなかったの?」
「はぁ? あんたとなんか……友達じゃないとは言わないけど! でもそれとこれとは別問題!」
結局、私だけが検査に協力することになった。
調べた結果――コンパクトはこの世の科学では解明できない成分でできており、
私の身体は普通の人間と何も変わらなかった。
「次は、変身して仮想敵と戦え。」
「はいっ。光よ、私に新たな力を! マジカルミナスブレイブ!」
私の身体がまばゆい光に包まれる。
鈴木は、その光景に息をのんだ。
「これが……シャインブレイブ……」
再び取調室に戻ると、今度は私たちがどうやって力を得たのか尋ねられた。
私は、今までの出来事を正直に話した。
「そっか、ありがとう。……で、君は?」
鈴木が凜華に視線を向ける。
「あなたに言う必要はないわ。いい加減にしなさいよ。」
凜華が鋭く睨みつける。その瞳の奥の輝きは、この世のものとは思えないほど美しかった。
「じゃあ次の質問だ。君たちと一緒に戦っている虹ヶ丘中学校1年生の生徒がいるね。
彼女のことを教えてもらえないかな?」
「名前は言えませんけど、とっても頼りになる後輩です。変身したときに盾が使えるんですよ。あと、弓矢はそんなに遠くまでは――」
私が話し終える前に、凜華の瞳が一瞬、赤く光った。
その瞬間、手錠がカチャンと外れる。
「もうやってられない。帰るわよ。」
「え? でも……」
彼女に腕を引かれ、私は外へ飛び出した。
「……早乙女凜華、か。いったい何者なんだ。」
鈴木は静かに呟く。
「しかし、これで手がかりは増えたな。もう一人の仲間は――虹ヶ丘中学校の1年生……」
【次話予告】
「あのー、うちの子が何かしたんでしょうか?」
「いえ、そういうわけでは。ただ、ある事件に関わっている可能性がありまして。」
高野遥に接触する鈴木。
そして彼は、ついに“あのシステム”を解禁する――。
第17話 MHシステム初出動!?
――必ず、読んでね!
最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。
この作品が面白いと感じられました方は、評価やブクマなどくださると大変励みになります。
第17話は明日21時に投稿します。




