第11話 狙われた浩平!
ネメシスは、オルフェウスに自身の研究成果を報告していた。
「…とすると、いよいよもう少しで、最終兵器を作れるのですね。」
「はい。シャインブレイブの力を上回る生物兵器が完成するかと。」
「そうですか…しかし、シャインブレイブの力を、侮ってはいけません。彼らは、人を思う気持ちで強くなる。」
「その時の強さまで考慮しなければならない、ということですか。どうでしょう。彼らの恋人を人質にするというのは。確か、早乙女凜華という少女にはハンサムな彼氏がいたかと。」
「良いでしょう。ただし、彼を傷つけてはいけません。決して。」
なぜそうしなければならないのかは分からないが、オルフェウス様のお言葉には従うよりない。ネメシスは、モンスターに、山田浩平を攫さらせた。そして、彼女に向けて手紙を書く。
「早乙女凜華、お前の彼氏の山田浩平は預かった。彼を返して欲しければ、今日の朝、虹ヶ丘団地に来い。仲間を連れてきても良いぞ。ただし、目の前のモンスターと戦えるのは仲間のうちの1人だけだ。もし、仲間が戦闘に加担するようなことがあれば、彼氏の命はない。」
凜華が家で学校に行く準備をしていると、目の前に小さな矢が飛んできた。そこには、手紙のようなものが添えてある。彼女は、それを手にすると、手紙を取って全文を読んだ。
「浩平が攫われた!?」
表情は変えなかったものの、心の中で青ざめた。虹ヶ丘公園でひかりと遥と合流すると、彼女たちに相談する。本当は自分の悩みを人に相談するのは苦手だけれど、事がことだけに無駄なプライドを持っている場合ではなかった。
「そんなの酷すぎます。恋人を人質に取るなんて。」と遥。
ひかりは終始黙って話を聞いていたが、静かに呟いた。
「行こ。」
そう言うなり、団地に向かってすたすたと歩いて行ってしまう。凜華と遥もその後を追った。
団地に着くと、サラリーマンのような身なりの40代くらいの男が姿を現した。
「初めまして、シャインブレイブの皆さん。俺の名はネメシス。」
「あんた、一体何が目的よ?」と凜華。
「恋人がピンチだってのに随分余裕だねぇ。俺の最終的な目的は世界を支配することだが、今はそんなことはどうでも良い。まずはお前らを倒すことが先決だ。こいつと戦って良いのは、1人だけ。さて、誰が相手をしてくれるかな?」
彼が指を鳴らすと、ゴキブリとライオンが混ざったような姿のモンスターが姿を現す。
「言っとくけどね、あんたの思い通りにはならないわよ。その人質さん…」
「その人質さんって…」、凜華の言葉に突っ込みを入れる遥。
「その人質さん、そんな弱い人間じゃないわよ。ここは私が。」
そう言って、コンパクトを取り出す凜華。表向きは強気に振舞っているが、内心では焦りを感じていた。実際、浩平は異空間にある部屋に閉じ込められているだけで、何不自由なく動ける状態だったが、そんなことを知る由もない。
遥が何かを言いかけた時、変身しようとする凜華をひかりが制する。
「凜華、ここは私が相手するわ。」
「え? あんたねー。」
「良いから、私に相手させてよ!」
「わ、分かったわ。」
普段の情けないけれど、どこか憎めないキャラクターの彼女とは似ても似つかない気迫に圧倒される。彼女のことを見守る凜華と遥。
「光よ、私に力を! マジカルシャインブレイブ!」
戦士の姿に変身するひかり。ネメシスの方向を向いて、貫禄のある声で言った。
「あなた、最低ね。どんな目的があるのか知らないけど、誰かの恋人を人質に取ろうなんて最低の行為よ、覚悟なさい。」
モンスターが唸り声をあげて、ひかりに襲い掛かる。凜華は思わず目を瞑る。
「あの子、あんなこと言って大丈夫かしら。体育の授業の時だって、いつも私に励まされてばっかじゃない…」
だが、ひかりは普段の彼女とは似ても似つかない見違えるような速さでモンスターの攻撃をかわす。
「面白い。運動神経が壊滅的な彼女が、怒りのパワーでここまで強くなるのか…」、興味深そうに呟くネメシス。
そして、素早く弓矢を取りモンスターの喉元にそれを放つ。
「マジカルシャインブレイク!」
モンスターは悲鳴を上げる間もなく消滅。
「次は、あんたよ。」
ひかりがネメシスと決着を着けようとした時には、もう彼の姿はそこになかった。普段の優しい表情に戻るひかり。彼女が変身を解除すると同時に、浩平の姿が現れる。
「浩平君、大丈夫!?」
真っ先に彼の元に駆け寄る凜華。
「ああ、俺は平気。ただ別の場所に連れてかれただけで、何もされてねーよ。見ての通り怪我もねー。にしても…いや、何でもない。」
彼は凜華の目をじっと見つめて、そう言った。
「何よ、言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ。」
「”その人質さん”はないだろ。」
聞こえてたんだ……
彼のセリフを聞いて恥ずかしそうに俯く凜華。
「それは、その、ええっと…」
「先輩だって、言えてないじゃないですか。」
「うっさい。あんたにそんなこと言われる筋合いないわよ。」
遥の突っ込みにその場にいた全員が笑った。
【次話予告】
「最強の生物兵器を作るには、生物の種類は多ければ多いほど良い。」
私たちの元に、強そうなモンスターが出現。だけど、何だか様子が変…
「凜華、あれってまさか……」
「そうね。このモンスターを作るのに、人間も犠牲になったってことは間違いないわ。苦しそうね、私が今、楽にしてあげる…」
第12話 失敗作の末路
必ず、読んでね!
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第12話は明日21時に投稿します。




