第10話 1年3組に突入せよ!
その日、私はいつもより早く家を出た。登校時間を凜華に合わせたのだ。最近はモンスターが襲ってくることもあるから、一緒に行動する方が安全だ。
登校中、凜華が少し言いにくそうに話しかけてきた。
「ねぇ、ちょっと頼みがあるの。」
凜華からお願いされるなんて珍しい。
「頼み? なに?」
「実はね――」
彼女は小声で事情を説明した。
「えっ、私たち以外にもこの学校に“シャインブレイブ”がいるの?」
「うん。浩平が会ったって言ってた。その子の名前は高野遥。1年3組の子よ。あと……黒羽集落の出身らしいわ。」
「そっか。それで頼みって?」
「彼女と接触したいの。で、あんたにも一緒に来てほしいのよ。べ、別にあんたと行きたいとかじゃなくて! ただ…違う学年の教室って、雰囲気がちょっと違うでしょ?」
「もう、素直に“怖い”って言えばいいのに。」
「はぁ!? ち、違うし! ただ…落ち着かないだけ!」
「はいはい、分かったって。」
そんなやりとりの末、昼休みに1年3組へ行くことになった。
教室に入ると、すぐに高野遥を見つけた。彼女の机には、落書きのように罵詈雑言が書かれていたからだ。
――死ね、消えろ、ゴミが。黒羽出身に人権なんてない。
目を疑うような言葉たち。遥は縮こまり、ただその場に耐えていた。
私たちが入ると、教室中がざわつく。
「見ろよ、あの先輩。モデルか何かか?」
「この学校に、あんな可愛い子いたのか…」
当然、みんなの視線は凜華へ。まあ、誰が見ても可愛いし、仕方ない。
私はちょっとだけ影が薄くなった気がして、少し落ち込む。
そんな中、凜華は迷わず遥の机へと歩み寄った。
「美人の先輩が遥の机に行ったぞ…」
「いじめでもする気か?」
ざわめくクラスをよそに、凜華は真っすぐ遥の瞳を見つめ、口を開いた。
「ねぇ、あんた……いじめられてるの?」
空気が一瞬で凍りつく。
遥は怯えたように顔を上げた。
「ちょっと、凜華。その言い方はないでしょ。高野遥さんだよね? あのね、私たち、あなたと話したいことがあるの。」
「……何ですか?」
「少し、付き合ってくれない?」
私たちは廊下へ出た。すると、教室の中から罵声が飛んでくる。
「黒羽出身のくせに、可愛い先輩に近づくな!」
遥がうつむきかけたその時、凜華が言い放った。
「ふん。差別する方がバカなのよ。あんた、もっと自信持ちなさい。私が言うんだから間違いないわ。」
急に強気な凜華に、私は思わず苦笑する。――さっきまで教室に入るの怖がってたのに。
「遥さん、あのね。凜華は浩平の彼女なの。」
「ちょっ、余計なこと言わないで!」
「だって、知らない先輩に話しかけられたら怖いでしょ? ちゃんと説明しないと。」
「ま、まぁ…仕方ないわね。」
遥は小さく驚いたように息をのんだ。
(昨日知った山田先輩の彼氏……!)
そして、私たちはシャインブレイブであることを打ち明けた。
遥は目を見開き、心の底から驚いた様子だった。彼女の力は“バリア”を張ることができるという。
話し合った結果、翌日から3人で登校することに決まった。
ただ、学年が違うため、一緒に帰るのは難しい。放課後は虹ヶ丘公園で待ち合わせることになった。
――翌朝。
3人で登校していると、あの“ゴミムシ”型モンスターが再び現れた。
「しつこいわね、こいつ! みんな、行くわよ!」
「うん!」
「はい!」
「光よ、私に力を! プリズムシャインブレイブ!」
「光よ、私に力を! マジカルシャインブレイブ!」
3人の声が重なり、光が弾ける。
モンスターが口から毒ガスを吐いた瞬間――
「ミラクルシャインバリア!」
遥の張ったバリアが攻撃を跳ね返す。
「先輩方、今です!」
「プリズムシャインブレイク!」
「マジカルシャインブレイク!」
私と凜華の連携攻撃が炸裂し、モンスターは爆散した。
勝利のハイタッチ。
その様子を、校舎の屋上からネメシスが冷たく見下ろしていた。
「データがだいぶ集まってきたな……。もうすぐ“最終兵器”の製作に取りかかれそうだ。」
【次話予告】
「シャインブレイブの力を、侮ってはいけません。
彼らは――人を思う気持ちで強くなる...」
「その時の強さまで考慮しなければならない、ということですか。どうでしょう。彼らの恋人を人質にするというのは。」
「良いでしょう。ただし...」
敵組織のネメシスが動き出す。
次の標的は――凜華の恋人、浩平!?
第11話 狙われた浩平!
――必ず、読んでね!
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第11話は明日22時に投稿します。




