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65点

昨日のまるで合コンでのハジやドラネコ、安藤に触発された訳ではないと思うけど、ホントに一緒にいたいのは長瀬だって自分でも初めて気が付いた。

この時期、ホンの一週間ほどだけど勉強・受験から離れて本能で生きていた。

一瞬でも気を緩めると男の本能が戻ってしまったかのように。


自分の気持ちには気が付いたけれど、現実問題まだマスコット班の仕事と体育祭のリスト作成が残っている。

すっかり、いつものように一年生の教室に行く。

この日はペコは茶道部の発表でいなかったけど、由紀たちはいた。


教室に行くなり、由紀が

「先輩~、こっち来て」

と言うから行くとそこにある女生徒の姿があり、声を掛けられた。


「こんにちは」


『誰・・・』と思っていたら由紀が


「先輩~、お姉さんだよ」

と以前、圭三と一緒に背中合わせに寝ていた謎の女生徒を紹介した。


『そう言えば、以前紹介するねって言ってたけど・・・ホントに紹介すんなよ・・・』

と思ったけれど、もう時は遅し。ちょっと固まっていたらその女生徒が近くに寄ってきてこちらをまじまじ見てきた。

まるで、野良犬が久し振りに餌にありついたかのような少しどんよりした目で。


「ふ~ん、まあまあじゃん。私たち愛し合わない?」


そもそも、ついさっき長瀬の姿を見て好きなのは長瀬であることを自覚したばかりである。まして、圭三の添い寝相手を寝取るようなことは出来ない。

もっとも、この頃はまだ「寝取り」なんて言葉は知らないが。


「圭三に悪いから・・・」


と適当にかわそうとしたら再び、謎の女生徒が発した。


「由紀ちゃんのこと好きなの?」


今まで、全く考えてもいない台詞を言われた。

かと言って、『同級生に好きな人いるよ』とここで正直に答える気にもならなかった。それはそれでさざ波が立つ。丹羽が長瀬のことを好きなのが分かっていたから。


でも、冷静に考えると周りがそう思うのも仕方ないかもしれない。

例えばただの同級生で好きの意識はないけど、別に嫌いでも仲が悪いわけでもない関係を仮に100点満点で真ん中の50点とすると、僕と松田さんは先輩・後輩の関係だから少し甘く換算して53点ぐらいな気がする。

ハジは松田さんのことを好きなのはミエミエな態度で表していて松田さんはまだ受け入れていないけど拒絶はしてないから56点ぐらい。


ドラネコとミスターはミスターが逃げていたので真ん中より下の45点ぐらい。

安藤と中瀬さんはお世辞でもしっくりいってる感じがしない安藤の一方通行っぽいから40点ぐらい。


そう思うと僕と由紀は65点ぐらいはありそうな感じはする。

でも、僕からするとこれは決して高くはない。由紀は立ち回りがうまいのと、相対的に他の組み合わせよりは仲が良さそうだから周りから見たら「あの二人は怪しいというか、花谷先輩は由紀ちゃんのことが好きなんだ」と1年生が思っても確かに不思議ではない。


まぁ、ハジは真剣に松田さんのことを気に入っているし、ミスターに「ドラネコはミスターのことが好きみたいだから付き合ったら」と冗談ぽく言ったところ、「勘弁してよ~、俺はどちらかと言うとペコ派だから」とサラッと言ってきた。ペコは茶道部の発表でお茶とか点(タ)てていたけど浴衣姿が結構可愛かったし少しおとなしいけど、むしろその方が誰ととでも仲良くする人より好感が持てた。もしホントにミスターがペコのことが好きなら応援しようと思っていたので、ここで僕が周りをしらけさすことは出来ない。

それに、もともと「西高祭」が終われば僕は受験に専念するし、そもそも由紀自体が割と誰とでも友好的な子である。

決して、二人の気持ちが繋がっている訳ではないから「西高祭」が終われば普通に、ただの先輩と後輩に戻るだろう。少なくとも、この時点ではこの通りだった気がする。

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