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季節の駄作シリーズ

パーティ追放危機の俺、メンバーを説き伏せ事なきを得ようとする〜必要ないとかそういう次元じゃないよ〜

作者: 岬 アイラ

夏の駄作〜〜〜〜!今年なら第一弾、去年からなら第四弾!

夏は暑くて血迷って、変なお話作っちゃうよね!そういえばさ、追放ものってよくあるけど、ざまぁする以前に絶対必要なの分かってたらどうするんだろ?話聞いてくれないかな?聞いてくれたら嬉しいよね!うんうん!釈明、証明、やってみよう!

「ラルフ。お前はパーティから出ていってもら」


「待って!ちょっと待って!あと三十分くらい待って!!!」


リーダーのレアンの言葉に被せるように俺は叫んだ。かなりの声量だったので薬師のスターチスが飛び上がり、僧侶のマゼンタがうるさそうにこちらを見た。


「えー、レアンさん!あなた、俺のことを役に立たないから追放しようとしてますよね?!」


「あー、まあ?」


「では言わせていただきます。…このパーティ!俺がいないと!終わってるから!」


「な、何ようるさいな。いてもいなくてもいいから追放されてるんじゃ」


「そんなことはない!」


俺はマゼンタの言葉を遮って壁の黒板に向かい、チョークで思いっきり【攻撃力】【協調性】と書き殴った。


「これは、俺たちに圧倒的に足りないものである!まず、攻撃力!」


そう…このパーティ、非常に酷い問題があるのだ。


「アタッカー、貴様と俺だけじゃん!レアン!」


剣士のレアンと、攻撃魔法専門の魔法使いである俺。この二人で大抵のモンスターを倒してきたのだ。

残るメンバーを紹介しよう。まず薬師のスターチス。当然ポーションを作るだけで、毒液なんて専門ではない。

そして僧侶のマゼンタ。当然聖なる力を攻撃手段にできるのはアンデット系、ゴースト系の限られたモンスターだけである。

そんでもって盗賊のシェル。当然ダンジョンや宝箱の鍵開け、謎解きが専門。魔法は簡単なものしか使えない。

最後に補助魔法専門の魔女ビビアン。当然補助魔法は回避率上昇や身体強化といったものなので、直接攻撃はできない。


「俺ら偏りすぎなの!!!わかる?!?!」


どこからどう考えても、盾とか弓とか斧とか欲しいの、わかる?!パーティにいないのは、百歩譲って仕方がない。雇え。

まともな攻撃力ないのにクエスト受けるなって毎回言ってるのに、聞く耳持たないの、なぁぜなぁぜ?


ーーーーーーーーーーーーー


「さて次!協調性!」


協調性もこれまた酷い。

スターチスとシェルとビビアンは圧倒的に声が小さくほとんど自分から喋らない陰キャタイプ。逆に、レアンとマゼンタは自己肯定感が高すぎるしうるさいイキリ陽キャタイプである。


そこで俺は会話術の本を読んだり、流行りの服を見てみたりしてどうにかみんなの共通話題を作ろうと努力していたのだ。…努力は、していた。はず。

毎回誰かが知らない話題になってしまったり、どこかで盛り上がり過ぎてしまったりと空回りしていた自覚はある。


自分が頑張ればどうにかなると思っているらしく、ほとんど指示を出さないレアンとマゼンタ。逆に、指示を受けないとうまく動けず、敵の前で挙動不審の三人。由々しき事態であり、俺が攻撃しながら指示を代わりに出していたから、これまでどうにかパーティを続けられていたのだ。


ーーーーーーーーーーーーー


「だからね?せめて代わりの人が入るまで、俺、いてもよくない?なんで俺追放されちゃうの?俺そんなに役立たずだった?」


「えーっとな…最近、魔法の通り悪い気がしてて…もう少し有能な魔法使いが…」


「馬鹿かおめえ。増やせって言ってんだよ。俺が仮に長所一ミリくらいだとしてもな、それ消しても、なんも増えねえじゃんよ」


「いやだから、スターチスたちに勧誘を…」


「もう一度言う。馬鹿なの?個性見ろよ」


「ハァ…もういいか。おい、マゼンタ。やれ」


え?何?説得効果なかった?追放?浄化?


「ドッキリ大成功〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」


「…………ゑ?」


ーーーーーーーーーーーーー


なんということでしょう。これ、ドッキリだったらしい。

俺がパーティを愛しているのかテスト。何故俺が標的なのかと言えば、「そろそろ新しいメンバー入れろ」が「そろそろ出ていきたい」に脳内翻訳されていたらしい。

そんでこんなドッキリが行われたと。


「じゃ、ちゃんとパーティを愛してくれていたコイツに、ご褒美だ。スターチス、連れてこい」


「あっ、はい!」


しばらくして、スターチスが誰かを連れてやってきた。


「私のっ、お友達…で、爆弾魔だっけ?…あ、忍者。そう、忍者の、チェリーだよ」


「ちっす!チェリーっす!爆弾投げたり手裏剣投げたりするんで、おなしゃす!」


予想だにしない追加メンバー(しかも攻撃メンバー!やったね!)によって、俺はガッツポーズをした。


「あ、そこのお兄さん」


「ん?」


なんだろ。俺だよね?


「背中に爆弾、ついてんぞ★」


次の瞬間、俺と仲間たちは、部屋の外にふっ飛ばされた。

冬の駄作はちょっと無理かなあと思うので、冬バージョン(女が主人公)の駄作も、今年は夏の駄作として出そうと思っています。

残暑が厳しいので、皆様、気の迷いにはご注意ください。

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