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前世の記憶持ちの女伯爵は、嫁ぎ先の国で夫を皇帝にすることにした  作者: 針沢ハリー


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【閑話9】騎士団長の家の庭



 エヴァンは自室の窓から庭を見下ろした。


 以前は殺風景だった彼の家の庭は、新しく雇ったメイドによって花が植えられ、見違えるようになっていた。


 そして、休憩時間なのだろう、当のメイドが花壇の前に佇んで、風にはためく髪とスカートを押さえながら微笑んでいる。


 彼女は、エヴァンよりも三つ年下の二十二歳だという事を雇う時に知った。

 本来であれば、結婚して子どもがいてもおかしくない年齢だ。しかし、元主人に忠義を尽くすため、こんな所で働いているらしい。彼を監視するために。


 彼の視線の先で花々に目をやりながら柔らかく微笑む彼女は、以前の主人である女性のため、エヴァンを日々監視しているらしいのだが、仕事に手を抜いたりはしていない。大変良い人材を雇い入れたと思う。


 そして、最近では彼女からの監視の目は緩まって来ているように感じる。

 もしかしたら、彼女の監視の腕が上がっているだけかもしれないが。



 近頃は忙しい合間に、したくもない間者の真似事などをしているせいで心が荒んでいるのだが、彼女の屈託のない笑顔や、流石によく教育されている、細やかな気配りのおかげで、日々のストレスは緩和されている。


 問題は、彼女が未だに真実を知らず、彼を元主人の敵だとみなしていることだけだ。


 まあ、それは仕方がない。彼が馬鹿らしい夜会に出入りしている本当の理由を、彼女に告げる事は出来ないのだから。



 彼の視線の先で彼女が振り向いた。家政婦長にでも呼ばれたのだろう。彼女は笑顔で何事か言い返しながら歩き出す。


 エヴァンは、彼女が去っていった庭をしばらく見つめていた。


 彼女の元主人であり、エヴァンの一時的な恋人でもあった人物が、その殺風景な所を気に入っていたこの家の庭は、今では花が咲き誇り、彼にあの頃の事を思い出させない。


 不毛な想いに囚われていた時は、すでに過ぎ去った。

 

 エヴァンは窓に背を向けると、今後の計画を練る作業に再び没頭したのだった。




             おしまい。

 お読みくださり、ありがとうございました!


 すみません。この話、外伝を読んでないとお庭の件が分かりにくかったかもしれません。

 一応説明してあるので、大丈夫かな……?

 もしご興味、お時間のある方は、外伝1をシリーズ化してありますので、よろしければご覧いただければと思います。エヴァン視点のカリーナとの恋愛などなどのお話です。

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