優闇
深い深い夜の帳が
重く重く辺りを包み
暗く暗く光を呑むように
すべてを身内に沈めていって
誰も何も届かぬ場所で
低く低くか細い声で
細かく細かく言葉を織り込み
紡がれていく仄かな記憶
弾け輝く春の光を
小さな小さなその手のひらで
何時も何時までも消えないように
慈しむように胸に抱き寄せ
変わり過ぎ行く時の流れは
決して留まる事はなくても
春の光に芽吹いたその芽は
この地に根を張り祈りを繋ぐ
吹き抜けていく一陣の風
終わることない言の葉の詩
夜の帳が明ける頃には
朝露を溜めた花が咲くだろう