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ジャンヌ  作者: 神山一
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王太子と狂戦士

 1429年1月。

 上手くいくわけがないと思われた、ジャンヌとシャルル王太子との面会はなぜか大成功に終わったが、

『イングランド軍に包囲されているオルレアンを解放しろ』

 などという無茶振りをされてしまった。

 あの王太子は正気か?

 いや、きっとイングランド軍にやられすぎておかしくなってしまったのだろう。

 そうでなければ、実戦経験もない農家の娘を軍の指揮官の一人に据えたりなぞしないはずだ。

 そもそも、『神の声を聴いた』などという小娘との面会が上手くいったこと自体が、正気の沙汰ではない。

 剣や旗や馬をもらってジャンヌは喜び勇んでいたが、そんなものくらいで小娘一人に何ができるとも思えない。

 だがそれでも、ジャンヌは戦うことを止めない。熱心なカトリック信者だから何度止めても無駄である。

 諦めるということを知らず、異教徒への慈悲もない。まるで狂戦士だ。

 となると、オレが何とかする他ないだろう。

 オレが集めた情報によれば、イングランド軍は城塞都市オルレアンの周りにたくさん砦を作って包囲しているらしい。

 補給を断って籠城するフランス軍を飢えさせ、降伏させるつもりだろう。

 それなら敵は分散している。

 戦の作法には反するかもしれないが、集結される前に包囲砦を一つずつ潰していくのが上策だ。

 作戦会議ではそのように進言しよう。

 それで駄目ならどさくさに紛れてジャンヌを後ろから絞め落とし、担いで逃げよう。うん、それがベストだ。

 そんなオレの密かな決意をよそに、

「あたしはやるぞー!」

 とジャンヌは燃えていた。

 軍略もなにもない。困ったお馬鹿さんだった。

シャルルは大化けする。

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