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侍、昼寝日和

 食事を終えた拙者達はおじじ殿の案内のもと、町から程近いネモル山へと来ていた。「ここからが山道じゃのぉ。頂上までは十分、気を付けるのぉ」そう言って鳥居らしき門をくぐり、軽い上り坂になっている道を進んだ。ここが何であるのか疑問ではあったが、詳しい話は歩きながらというので、後をついていくしかない。

 この間の森とは大分雰囲気が違うその山は、明るい日の光が木々を照らし、気持ちの良い風が草花を揺らしている。見たこともない形の雲が空を駆けるように漂い、思わずボーッと見つめてしまった。


「……うーむ、まこと昼寝日和とはこのことでござるなぁ」


 思わず欠伸がくぁ~っと出てしまう。はてはて、こんなにも眠くなるとはどうしたものか。辛うじて足は前へと進んでいるが、それも徐々に辛くなってきたぞ。瞼も重いし……、いっそ仮眠をとってから先へ進んだ方が良いのではないか。

 うむ、そうだ。そうしよう……


「――マルさんっ!! マルさんっ!! うずくまってどうしたのらっ! 起きるのらっ!!」


 はて、誰かが拙者を呼んでいるような気がするのだが。いや、今は考えるのはやめよう……


「ふぉっふぉ。……やはりこうなってしまったのぉ。魔力が無いということは魔力への耐性も無いに等しかったようじゃ」


「ドルルさん! 笑ってる場合じゃないのらっ。どっ、どういうことなのらっ?」


「ど、ドルルってワシのことかのぉ? まぁええわい。説明は後じゃのぉ。リリデル坊は保護魔法を使えるかのぉ?」


「保護魔法っ? 勿論なのらっ! 僕は守備ディフタイプらから、サポート魔法は、高位グランクラスじゃなければ全般使えるのら!……えっへんなのら!」


 むぅ、何やらリリデル殿とおじじ殿の楽しそうな、声がする。でござる、なぁ……


「ふぉ~。それは流石じゃのぉ。ふぉっふぉっ! ならば早速、保護魔法をヨタマル坊にかけてやってくれるかのぉ。あっ、低位ショートじゃなくて中位ラージクラス以上で頼むのぉ」


「わかったのら! ――ラージ結界マント、展開っ!!」


 リリデル殿の声がかすかに遠くの方から聞こえてくる。なんか、目の前が眩しく光ったようなぁ。あぁ、拙者……もう寝る……

 

 光りに包まれたと思った矢先、突如として意識が冴え渡り、目がカッッと見開いた!


「ひ、羊に喰われるでござるっっ!!」


 飛び起きると同時に、覗き込むようにして拙者を見つめるリリデル殿と目があった。


「……ひつじら? な、なんの話なのら! それよりも大丈夫なのらっ!? 急に座り込むからビックリしちゃったのらっ!!」


 ……むっ、先程までの羊はいずこ? あれは夢だったのでござるか? ――いかん、頭がまだボーッとするでござるな。

 

「目が覚めたようじゃのぉ。すまんのぉ、まさかこれほどとは思わなくてのぉ」


 そう言って頭をポリポリと掻いていたおじじ殿は、状況を説明してくれた。

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