表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
56/56

【55杯目】潜入⑧

「そなた、少しよいだろうか?他の者から聞いたのだが、そなたはあの『嵐の傭兵団』の雪宮殿であるかな?」


カーテシーをして挨拶をする。

声を掛けられたのは、なんと被害者の両親こと伯爵夫妻だった。


「確かに私がそうですが…伯爵様におかれましてはご子息様の事、ご愁傷様でございます」

「よい。あれは少し自由にし過ぎた。その罪にしては代償が大きすぎるとも感じるがな」


「それで私に何かご用件があるのでしょうか?ご用件の内容によっては承ります。私の権限の範疇を超えると難しいですが」

「うむ、そうだな。雪宮殿は警備の人間とは別に動いているように見える。何か分かれば私にも教えてくれぬか?」


いつの間にか隣に戻ってきていた自称妹令嬢はうんうんと頷き、『お姉様ならば当然よね』と思っている様だ。

私は人差し指の甲を顎に置いて少し考え、答える。


「まずは落ち着ける場所に移動しましょう。長時間立ちっぱなしではご婦人もお辛いかと」

「うむ、そうだな。おい、椅子を用意せよ。侯爵の御令嬢と雪宮殿にもな」

「感謝しますわ、伯爵」「感謝致します、伯爵様」


おい、お前まで口出そうとするな。

はあ、仕方ない。


後ろに控えていた執事とメイドが準備して場を整える。

勧められた椅子に座り、話を続ける。


「それで私が出来る範囲でしたらお答え致しましょう。不躾で申し訳ございませんが、逆に伯爵様でお知りになっていること教えて頂けませんか?」

「…ふむ、それならば答えよう。何が聞きたいか?」

「そうですね…ご子息様は最近、トラブルに巻き込まれるような事態に会ったことがございますか?」

「恥ずかしい話だが、息子のトラブルに暇がなくてな。よく起こしていたのは町の娘と商人達と聞いているが」

「あちらにいらっしゃる男爵と男爵夫人に見覚えがございますか?ご子息様とよく話をされていたようなのですが」


壁際でくつろいでいる男爵と男爵夫人、そしてメイドを掌で指し示す。


「知らんな。会うのもこの場で初めてだ。お前、知っているか?」

「私も知りません」


伯爵も伯爵夫人も男爵夫妻とは本当に会ったことがない様だ。

表情を伺ってみても偽りがないように見える。

確かに今までは派閥が違うのだから、会う機会がないとも言えなくもない。


「そういえば私もあの男爵と会ったことはありませんわね」


え?自称妹令嬢も会っていないとは…そういうことはあの男爵はこの派閥の人間ではない?


それとも身分の違いで会ったことがないだけなのだろうか。

とは言っても、派閥に属する以上、一度は派閥の長へと挨拶に来るだろうに。


そうすると執事のひとりが伯爵に耳打ちをする。

意外にも伯爵はその内容をすぐに打ち明けてくれた。


「この場だ。雪宮殿は侯爵様と所縁もあるようだし話そう。あの者、どうもどの派閥にも属しておらんようだ。それだけに自由に行き来しているらしいぞ」


ああ、それで納得がいった。

だから情報源として活用していたんだな、遠海さんが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ