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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
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【48杯目】潜入①

「千冬、仕事だ。頼むぞ」

「はい、了解しまし……は?」


そこには見慣れない姿の夜叉騎士が。

いや、この場合は『遠海とおみさん』と呼ぶべきか。


夜叉騎士が素顔を晒しているときは通称ではなく、こう呼ぶ。

…それも本名かは分からんけどね。



甲冑を外し、髪形を極めて燕尾服に包まれた姿。

筋肉質だが、服を着ているときは着やせして見え、きりっとした女性顔にポニーテール。

背丈も高いため、ぱっと見はどこその貴公子に見えなくもない。


……貴公子と言うには眼光が鋭すぎるが。


戦傷の左頬を走る傷と、その傷で光を失った左目。

そこには魔法による義眼がはめ込まれており、その目の瞳は本来の黒い瞳とは違う深緑色の光が揺らめいていた。


「…で、だ。ある貴族のパーティーに参加する。あのドレスに着替えてこい」

「え?あ、あれですか!?」

「そうだ。似合っているし、貴族の会合でも問題ない姿になる」

「ええ、まあ、仕事だと言われれば、しますけれども」

「では、行ってこい。秋音姉さん、後は頼む」

「はーーい」


奥からひょこっと顔を出す秋音姉さん。


「言い忘れていたが、そのことがあるため、今日の店は休みだ。来た連中にはそう伝えてくれ」

「はぁい。留守番しておくね」


姿を現した秋音姉さんは、何故かくーを抱きかかえていた。


「じゃあ、ゆっくりしようね。ね、くーちゃん」

「みゃ。あそぶの?おともだちをよんでいい?」

「そうだ、老兵さんのところのお姉ちゃんを呼ぼっか?」

「あのやさしいおねーちゃん?あいたい、あいたい」


何やらふたり(ひとりと一匹?)で盛り上がっている。

と…思っていたら、こちらに振り向く秋音姉さん。


「その前にっと」


抱きかかえていたくーをそっとカウンター席に降ろす。


「まずは千冬ちゃんを綺麗にしなきゃね♪」


そして、私は秋音姉さんに引きずられるようにして奥の更衣室に入っていった。





しばらくすると支度が終わったのか、秋音姉さんが奥から姿を現す。

仕事をやり切った様な満足顔だ。


そして、私も奥から出てくる。

ドレスの着心地に慣れないが、なんとか仕事モードに切り替えるようにと気を張った。


「出てきたか、似合っているぞ、千冬。

 それでだ。今回はとある伯爵令息と商家の出入りについて調査を行う。

 これについては帝国関係者には秘密裏に行う必要があって、このような形となった。

 いまのところで質問はあるか?」

「それと私が同行することに何の関係が?」


少しだけくーに目を向けるたが、直ぐに視線を逸らして続ける。


「それについては……まだ、話せん。まあ、行けば分かるがな。他には?」

「マークする商家の人数については決まっていますか?」

「それは言える。二名だ。別々の商会に所属している者達だが、その辺は調査次第になるだろう」

「今のところは、これ以上の質問はありません」

「そうか、では行くとするか。いい時間だ」


遠海さんがそう区切ったところでくーがひょこっと顔を出した。


「千冬おねーちゃん、がんばってね」

「ああ、ありがとう、くー」


私は笑みを浮かべ、撫でてやると嬉しそうにするくー。

手を放すのに多少名残惜しくもあったが、くーから離れると表情を正す。


「千冬ちゃん、気を付けてね。それから遠海くんも」


そうしてパーティー会場に向かう『遠海さん』と私であった。


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