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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
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【43杯目】夜叉騎士の受難⑧

店の方に戻るとすごくくつろいでいるアルキメディアがいた。


「いいねぇ、こんな仕事だったら楽でいいわ。ね、くーちゃん」

「みゃふぅ~~」


お茶を飲み、秋音姉さん特製のクッキーを食べ、くーの頭を撫でながらソファーでまったりしている。

もう少し仕事の意識しろよ、確かにゆっくりするようにと許可したけどさ。


「おぬしがそっちに行った後、秋音と草野にお茶のお代わりとお菓子を出されてから、こんな感じじゃ。

 一応は情報体を飛ばして店の周りを見ている様子じゃがの」


呆れ顔で両手を軽く上げて左右に首を振る天月。

いや、お前も似たようなものだろうが、ここの居候で基本は何もしてないんだから。


さてと、私も仕事前のひと息をつくか…と、考えてカウンター席のひとつに腰を下ろしたところで、隣のテントから大声がこだました。


『『えええーー!?』』


それを聞き、慌てた私は同じく慌てているアルキメディアと共に隣のテントへと突入した。

そこで私達が見たものは…



上半身裸の人間姿の夜叉騎士だった。

張りのある筋肉質ではあるが、肥大しすぎない程の均衡的な胸筋に目を奪われるアルキメディア。

夜叉騎士はベットで上半身を起こし、周りの喧騒から隔別しているかのように静かに佇んでいる。


夜叉騎士本人もこの状況が分かっていない様で、頭の上に?マークが浮かんでいるような表情をしていた。


そういえば、甲冑を纏っていない姿の夜叉騎士を見るのは何年ぶりだろうか。

…と、考えが違った方向へと誘導されるぐらいに私も混乱していた。


夜叉騎士のヘテロクロミアの目による視線がこちらに刺さる。


「あれ???数値に変化はありませんでしたよね?」

「投薬の変更や変化も見られないぞ」

「環境にも変化がないのに、どういうことです?」

「こっちも知りたいよ。なんだこれは」

「ええー、どうしましょう…」


調査をしていた研究者の二人も困惑の様子だ。

焦りが顕在化している様に二人の額に汗が滲む。


「佳い」


二人を制する言葉として、これだけを言うと立ち上がる夜叉騎士。

機器類はすべて外れていた。

夜叉騎士は手首を振ったり、首を回したりして、動きに問題ないことを確かめている。

ひと通り確認が終わると改めてこちらに目を向け、こう話をした。


「其方はアルキメディア殿で在るか?お初にお目にかかる、小官は夜叉騎士と申す。此の様な衣服にて申し訳ない」

「……え?あっ、あ、はい。丁寧な挨拶、ありがとうございます。アルキメディアと…申します」


今の混乱と夜叉騎士の鋭い眼光に若干のたじろぎがあったが、挨拶を返すアルキメディア。

夜叉騎士はその挨拶を終えると背中を向け、インナーを着だす。

そして、インナーを着終えた夜叉騎士に黒い靄がかかり、いつもの甲冑姿となっていた。


甲冑姿となった夜叉騎士は慌てふためいている二人に声をかけた。


「何か用件が在れば呼ぶがよい。状況と思考が沈静化してからでも問題ない、少し休む故」

「「あ、はい……」」


半ば呆然となりつつ、テントから出ていく夜叉騎士を見送る二人。

まったく話が見えない私は戸惑っている二人に声をかけた。


「どういう経緯か聞いてもいいかい?まだ話せる状況じゃないなら待つけど」

「ま、まず……いや、もう少し落ち着いてからでいいですか?まだ話には整理が…」

「わかった、私も退席するとしよう。落ち着いたら呼んでくれ。行こうか、アルキメディアさん」

「ああ」


そうして私達も店の方に戻る。

私はカウンターへと目を向けた。

そこには先に退出した夜叉騎士がカウンターの席に腰を下ろし、頬杖をついて、思考の海に沈んでいるかの様だった。

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