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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
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【38杯目】夜叉騎士の受難③

― 夜叉騎士視点 ―


無理な歩速を避け、ぎりぎりを狙った速度に調整しつつ、歩みを進める女と夜叉騎士。

小道のために街灯が少なく、石畳もきっちりとは整備されていないために歩きづらい。


女の足元を気遣いつつ歩く。


休みはしたが、疲れの残る身体での歩行は動きなれていない女性には厳しい。

厳しいのは承知の上で、それでも歩みを進めると少し広い場所に出た。

その広場の中央に遠くの街灯から光を受けて水が揺らめく噴水があった。


目を凝らすと噴水の縁の上に腰かけて休んでいる男がいることが視認出来る。

例の男だ。


「…あっ」


見つけたことに気が逸り、駆け付けようとしたが、足がもつれて躓く女。

小官が咄嗟に腕を掴み、抱きかかえる風に引き寄せた。


それと同時に男がこちらを見つけ、焦って女を支えようとして……転んだ。


小官は女を立たせ、男の方に近づく。


「すまぬ、貴殿の方までは手が回らなかった」


頭を掻き、立ちながら答える。


「いやいや、お恥ずかしいところを。ところであの店にいた方ですよね、どうしてこちらに?」

「女ひとりで店の前まで来てな、貴殿を追うと言う。今宵の闇の深さでは懸念が在り、小官が同行致した」

「そうでしたか、それはそれは……で?」


男は礼を述べると女へと向き直り、要件を質した。


「いつも使っているお薬ですが、こちらではありませんか?念のためにポケットを確認してみていただけませんか?」


そう言って女はハンドバックから液体の入った瓶を差し出す。

それを見て『あれ?』と疑問に思い、少し慌てた様子でポケットから瓶を取り出した。


「あ、それは。ちょっと待ってくれ、今出すから。ええと……」


男はポケットから厳重に封がされた瓶を取り出す。

そして、瓶のラベルを確認しようとしたところで、手を滑らした。


「「あっ」」


落ちていく瓶に手を伸ばしたのは男と女と夜叉騎士の3人。

夜叉騎士が下からキャッチしようとしたところで、男と女が互いに瓶と触れ合って弾く。

結果として瓶は夜叉騎士の腕に落ち、割れてしまった。


「「「……」」」


腕を見つめ、茫然とする3人。

しばらくすると小官は腕に灼熱が溶け込んだ様な痛みが走る。

徐々に徐々にと痛みは増し、そして腕から全体に広がっていく。


「…う、うぐ………ぐるぅ…」


呻き声と共に身体全身から煙の様な物が立ち昇る。

男は驚愕の表情を、女は引き攣った心配の表情を見せつつもその場から動けず、手出し出来ずにいる。


その煙は夜叉騎士全体を包み込むように広がり、そして時間がある程度経過すると共に徐々に少なくなる。

少なくなる煙と比例して夜叉騎士の全体を覆っていた甲冑が、急に中に人がいなくなったかの様に崩れ出し、山になった。


そして甲冑は黒い靄になって消える。

人がいる場では数少ない、夜叉騎士が甲冑を脱いだ時の様に…。


その場の靄が晴れようと薄くなったところで、人影?らしきものが見えた。

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