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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
29/42

【29杯目】くーの小さな冒険②

団子は落とさなかった、ふぅ。

……なぜ、こんなに妾の方が疲れるんじゃ。


「みゃ、つぎはこっち」


ててててっと向かい出す草野は嬉しそう。

団子がそんなによかったのかの。



店頭にいる女の店員はやる気がなさそうに、何やら部品を磨いている様子だった。


「すみません」

「…あ゛?」


語尾の圧に、草野の肩がびくり。

まあ、そうじゃよなぁ……そうなるよな。


「う、みゃ………こんにちは、すみません」

「ここは武器を扱う店だ。お前の様な者が来るところじゃあないよ。遊ぶんなら他にしな」

「くー、ここにようがあってきたんだよ。『おきゃくさんをざつにあつかっちゃダメ』っておねーちゃんがいってたよ」

「…ぐっ、そしたら何の用事だよ。お使いにしては……」


店員の女はなおも言い募ろうとしたとき、今まで気だるそうに磨いていた何かの部品を落とした。

それを見た草野は自分の身体を顧みずキャッチした、滑り込んで。


よく転ぶ草野だが、実は運動神経は悪くないのじゃ。

転ぶのは運が絡んでいることが殆どじゃしの。


「………あ、あんがとよ。常連のお姉さまの大切な武器の部品だったんだ。助かるよ」

「くー、しってるよ。千冬おねーちゃんのかわりにうけとりにきたの」


そこで女の顔色がさぁー…と変わる。


「え?あ、あの………千冬お姉さまの?」

「みゃ?いってなかった?えっとね、これ、おねーちゃんからのおてがみだよ」


草野から便箋に入った手紙を受け取る。

読み進めていくうちに女の眉間には深い線。


「う、これを最初に受け取ってればなぁ………」

「えっとね、くーがさいしょにだしてればよかったの。おねーちゃんごめんなさい」


深々と頭を下げる草野。

バツが悪そうに店員は言った。


「いや、お前…草野ちゃんが言った通り、客の見る目がなかった。すまなかったな。改めて詫びよう。

で、物はすぐに用意するからちょっと待ってな」


奥に入って行く店員。

草野はほっとした瞬間、疲れてか尻餅をついた。

商品をキャリーケースに詰めて店員は戻って来ると驚く。


「待たせたな。どうした?そんなところに座って」

「ころんだの。おねーちゃんのせいじゃないから…きにしないでね。それとくーはよびすてでいいよ」


店員はきゅんと来るのをぐっと堪えて言う。


「お客さんだ、そうはいかんだろう。『くーちゃん』でいいか?」

「みゃっ!それでいいの。みんな、そうよんでくれるんだよ!」


地べたに座り込みつつも満面の笑みで応える草野。

眩しそうな目で見る店員。

わかるぞ、わかるぞ。

妾も抗うのに大変じゃったんじゃ。


照れ隠しするように草野を撫でる店員。

草野はそれで嬉しそうな気持ちよさそうな顔をしているのう。


「転んで汚れてしまっただろう?ちょっと待ってな。確か親戚用に買ったあれがある筈だ」

「みゃ?」


首をかしげるつつ店員を不思議な目で見つめる草野。

店員は奥に入ると包みを持って戻ってきた。


「…これ、お詫びにやるよ。受け取ってくれるかい?」

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