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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
28/42

【28杯目】くーの小さな冒険①

たまたま機会があって、出来上がったので掲載します。

「千冬ちゃーーん、手が離せないから、お買い物行ってーー」

「そろそろ、『ちゃん』はやめにしてくれませんかね?秋音姉さん」


いつものやり取り。

…いや、止めて欲しいのも本当だ。


「ねぇ、千冬おねーちゃん。それ、くーじゃだめかな?」

「ん?草野(くー)は『おねーちゃん』だから、敬称は違うだろ?」

「みゃ?そうじゃないの。おかいもの、くーじゃだめ……かな?」


外に出ることに戸惑いがあったくーが、か。

珍しいこともあるもんだ。


「そうだな。ん、この内容なら大丈夫だろ。行ってきな。お金はこれだ。おーい、誰か、付いて行ってやれ」

「えっとね、みんなおいそがしいから、くーひとりでいくの」

「ん?ああ、そういうことか………ま、いいか。行っといで。寄り道は少しならいいぞ」


生真面目だから少しは遊んだ方がいいだろう。

秋音姉さんもそれには納得だ、心配してそわそわしているがね。


「くーね、がんばるね!」


珍しく語気を強めるくー。

前にもこんなことがあったような………。


「ああ、いってらっしゃい…おっと、秋音姉さん、ついていかない。忙しいんだろう?」

「………はぁい」


秋音姉さん、しょんぼりするなよ……。

あ、天月、てめえ。


「妾はちと出て来るのじゃ、と」


いつになくすばしっこい。

今日は珍しいことだらけだ。


そういえば、こういう事だけは口を挟んで来そうな夜叉騎士はいないな。


― 天月視点 ―


「えっと、まずはこっちかな?」


ふむふむ、まずは乾物屋からか。

生真面目じゃのう。


あ……。


みゃっ、という言葉と共に倒れる草野。

馬車を避けた拍子に人にぶつかり、その人の振り向いた時の手が顔にクリーンヒットしたようだ。


「大丈夫?」

「ありがとうございます」


謝罪とお礼のやり取りをした後、改めて店に向かう草野。

額が少しだけ赤い。

それでも元気に ててててっ と早歩きで行く。


何度か転んだり、物を落としそうになったりしながらもなんとか店に着いたな。


「みゃ、あ、あの…こんにちは」


草野の挨拶に気づかない店員。

帳面に気がとられているタイミングだったようじゃな。


意を決してもう一度、草野は挨拶をする。


「みゃ!こんにちは!」

「わっ、驚いたよ。そんなに大きな声じゃなくても聞こえているよ、お嬢ちゃん」

「みゃう……」


しょんぼりとしてしまう草野にちょっと慌てる店員。


「あ…いやいやいや、次から気を付けてくれればいいよ。で、用事はなんだい?何が欲しいのかい?」

「これがほしいの。ありますか?」


メモを渡し、店員に物と量を尋ねる草野。

そういうところは優秀なんじゃよ、幼いのにな。


「奥にあるよ。持ってくるから、ちょっと待っててな」


そう言うと店員は奥に入って商品を探しに行く。


ぽつーんと待つことになって、そわそわしてるな、草野よ。

……あ、転んだのじゃ。

あの不可思議な不幸体質は妾でも未だにわからん。


「はい、これだね。お待たせ……転んだ?ああ、誰だ!ここにワックスこぼした奴。ごめんな、嬢ちゃん」

「ううん、くーこそごめんなさい」


商品と共に手渡された串にささったお団子。


「そうだ、嬢ちゃん、これ持ってきな。食べながらでもな」


笑顔と共にお礼を言い、もぐもぐと食べながら次の目的地へ。


……あ、そこは危ないのじゃ!


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