【23杯目】奇妙な依頼④
説明がなかったですが、ここで出てくるメカニック君。
英雄クロニクルのNightfallサーバで老兵の部隊にいます(メタな宣伝)。
では、宜しくお願い致します。
老兵はゆっくりと腰を下ろす。
「何とかなったわい。助かったぞ、千冬嬢ちゃん」
「今回は私の失態です。最初の一杯は私が奢りますよ」
「そんなことぁない。儂も言い忘れた。が、せっかくじゃ、頂こうかの」
「そうしてください。それで今日は何を?」
「仕事上がりはやっぱりエールじゃ。冷えた奴をの」
「承りました。そちらは?」
「えっ?僕もいいんですか?千冬さん」
「遠慮はせんでええ。子供のうちは特にのう」
「勿論です。何でも仰ってください」
「えっと………この前と同じくリンゴジュースを。ありますか?」
「はい、大丈夫です。承りました。料理も出させて頂きます」
遠くで「はぁ~い♪」と声がした。あっちは任せて大丈夫だな。
「お待たせ致しました。エールとアップルジュースです」
グラスを二つ、コースターと共に滑らす様に差し出す。
「これじゃこれじゃ、待っておったぞ」「ありがとうございます」
「おっと、そうじゃ。千冬嬢ちゃんと秋音さんも飲めい。乾杯じゃ!」
「そ、それは……」
「もちろん、儂の奢りじゃぞ!」
「敵わないですね。頂きます。それと後が怖いので、秋音姉さんはお茶で………」
ぬっと厨房から出てくる。
「千冬ちゃん、それはないんじゃない?」
「せめて…せめて、営業終了後にして貰えませんか?秋音姉さん」
「んーーーしょうがないなぁ。千冬ちゃん、約束だよ?」
主張を引っ込ませる秋音姉さん。
ふぅ…危なかった。一時しのぎだけども。だけども……。
さて、と。自分のエールと秋音姉さんの冷たい紅茶を用意して。
「「「「乾杯」」」」
それにしても、どうしてそんなに大量に?
と、考えたところで。
「ところで、どうしてこんなに大量に再生石を?あっ、言えないなら言わなくていいからね!」
秋音姉さんが聞いてくれた。そういうところは助かる。
「ああ、それはじゃな……」
「それは僕から話しましょう」
少年は説明をしだす。年齢詐欺だな。
「普段は自分が部隊員と助っ人に来て頂いた方のメンテナンスをしていたのですが……」
特殊装備の助っ人の修繕を拒否されたそうだ。
その代わりに装備の修復が出来る再生石で報酬を要求されたそう、大量に。
雇われ先の国に関わることもあり、断ることも出来なかったそうだ。
「儂がもう少ししっかりしていればのう」
「いえ、こちらは僕の領分です。すみません」
「まあまあ、責任の所在を問いあってもしょうがない。ここは建設的に行きましょう」
「そうですね。僕はそういうところに弱くて駄目ですね」
「若くして見識を高めることに意欲的。それだけで素質あるのじゃ」
「そうですね、それだけでも他とは一線を画します。誇っていいのですよ」
「ええ、そうですね」
少しだけ照れが見えるメカニック。
ん?もしかしたら女性に耐性がない?
フォローするように老兵が口を挟む。
なんだかんだと言いつつ見ているからな、周りを。
「ま、そういう訳じゃ。覚えておくとええ。で、儂にエールをもう一杯じゃ、千冬嬢ちゃん」
「承りました。で、どうしますか?こっちも動きますか?」
「いや、まだええて。どうしようもない時はお願いするかもしれんがのう」
「そうですか。でしたら静観致します。何かあったら仰ってください」
「うむ、そうさせて貰おうかの」
さて、どうなることやら。
次話は老兵の部隊がメインとなります。
千冬の日誌とは……嵐の傭兵団の話とは………。




