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ShotBar 13th door 千冬の業務日誌  作者: 夜叉騎士
14/27

【14杯目】機甲騎士団⑥

天月目線の続きです。

今回はシリアス目です。

― 天月視点 ―


わらわはここでいいかの?」

「はい、そちらで座っていてください。すぐに用意しますので」


ふーむ、広い。

そんなに稼いでおるのか。

すごいのう、歌姫とやらは。


……ふむ、割とはやく、しかもちゃんと良い匂いがしてくるな。


「作り置きでごめんなさいね。これが一番早いから」

「いやいや、いい匂いじゃ。妾にはわかるぞ、赤ワインと相性抜群なことを」


ほれ、赤ワインじゃ。用意がいいじゃろう?

こんなこともあろうかと用意しておったんじゃ。

※たまたま持っていただけです


「どうじゃ。これだけでも妾が来て良かったじゃろうが」

「……あは、あはははは、じゃあグラスも用意しなきゃですね♪」


予想通りのシチューとグラス二つが運ばれて来る。

そうじゃ、これじゃこれじゃ。


…………圧は消えたようじゃの、監視の目は退いてないようじゃが。

ふむ、妙な感じがするのう。

術をかけておくか……纏雷てんらい

良しっと。


「ワインも開けておいたのじゃ、頂こうぞ」

「はい、どうぞ」

「………おお、美味いのじゃ。良いぞ、良いぞ」

「そこまで喜んで頂けるとは思いませんでした……ん、このお酒も良い物ですね」

「そうじゃろ、そうじゃろ。この味がわかるなど、やるな」

「もう一杯、お継ぎ致しますね」

「うむ」


ふむ……やったか。致し方ないのう。



「なんじゃ、腹いっぱいにになったら、眠くなってきた。妾はもう寝るぞ、おやすみじゃ」

「はい、おやすみなさい。こちらは片付けておきますね」


………さて、どう出るかの?



こんこんっ。

(物音がするのう。仲間かの?)


「………はい、今は大丈夫です」

「首尾は?」

「いえ、まだ……」

「遅い。早く情報を抜き取りトンズラしろ。脱出の用意はしておいてやる」

「え、でも………」

あの傭兵団(あらしのようへいだん)には犠牲になってもらう。我々、ひいては帝国の利益のために、な」

「それであの(ひと)は………」

「もう始末は済んでいる。問題ない。当然の末路だ」

「……え?そちらに役立てるようにするって」

「事情が変わった。あの男はもう役に立たん」

「そ、そんな」

「情でも移ったか?」

「そ、そんなことはないわ。仮初めの関係よ」

「そうか、また連絡する。足がつかぬように準備しておけ」

この子(あまつき)は?今は眠らせているだけだけど……」

「始末しておけ」

「え「始末しておけ」」

「……」

ばたんっ。


(なるほどのう。妾らもあの男も利用されたってところかの。ただ……)


「……ふふっ、よく寝てる。こんな楽しい生活がずっと続けば良かったのに、な」


きらりと光るアイスピック。

先が濡れている。


(……毒、かの?さて、ひと段落つけるか)


高く掲げ、振り下ろそうとしたその一瞬。

……稲光いなびかりが奔った。


「……どう、し………て…………」


力が入らず、アイスピックを落とし膝をつく女。

言葉もままならない。

妾の力じゃ(うつ伏せのままドヤ顔全開)

ゆっくりと鷹揚に立ち上がると言い放つ。


「妾は仙狐せんこじゃ。眠り薬など効きはせぬわ」


天月の身体が成人女性の大きさへと変わっていく。

女は目を見開き、ままならない身体のままじっと天月を見つめた。

そして、天月はそっと女を抱きしめる。


「よう頑張ったの。今は術で周りを囲っておる。存分に泣くがよい」


……女の泣き声が結界術内に響いた。

部屋の外には漏れていたのは光だけだった。

天月目線は一区切り。

千冬目線の本流に戻ります。

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