<伊海島奪回>
一方、東部の東神地区へと進入したほうの第一空挺団は敵を凌駕する射程・命中精度・連射速度によって敵を追い詰めていく。
「敵、東神地区にある洞窟内へと撤退」
「了解。そのまま待機せよ」
司令部では至急この洞窟についての確認を急いだ。だが、資料には洞窟の存在だけで洞窟の中について詳細について書かれているものは一切ない。
「おい、大本野島にいる部隊に、伊海洞窟の詳細について確認させてくれ」
そして、最終的に司令部では伊海島から一番近い島として少数の人員が配置されている大本野島にいる自衛隊員に連絡を取り、近隣自治体に当たる大本野町と管轄する大本野警察署に洞窟の詳細を確認する。
だがしばらくして大本野町からの情報が入るが・・・。
「大本野町からの情報ではかなり昔の戦争中に掘られた穴で、中は10メートルほど行くと崩れていて危険なので普段は封鎖されているらしいとのことです」
これでは情報にならないが、警察署からくる情報も不思議なことに内容は違うが情報とはならない。
「大本野警察署によりますと駐在所からの報告では、島に緊急事態が起こった時に逃げ込む場所とされているらしいですが、それはあくまで太平洋戦争の時までの話だろうということです」
それぞれこのように返してくるが、実際には10メートル以上の洞窟なのである。
「突入させますか?」
「仕方がないな・・・」
現地の状況から洞窟がすぐそこまでしかつながっていないという情報は間違っていることは明らかである。こうなれば、いまだ見つかっていない島民が洞窟の中にいるかもしれないので行くしかない。
「軽装甲機動車を先頭に中の状況を確認せよ」
これが司令部の出した結論であった。
こうして中央の伊海山を除くすべての地区を除く地域を制圧した自衛隊は山の制圧と洞窟の中を進んでいくことになる。山では数名の敵兵を倒していきながら山を徐々に制圧し、洞窟は軽装甲機動車を先頭に進んでいく。
だが、微妙に曲がった『ノ』の字型に進む洞窟、その出口は思っていたよりも近かった。
「司令部、洞窟出口付近にいた敵兵を制圧。洞窟は40mほどで、一見したところこの世ではないどこかへとつながっている」
「・・・詳細を報告せよ」
困惑する司令部。洞窟の出口から広がる光景、それは伊海島ではないどこか別の場所であった。洞窟の長さからしても地形上では伊海山の中にまだあるはずの場所であり、本来であれば洞窟の途中であるはずの場所からは別の世界へとつながっていたのだ。