<戦闘>
十日目の未明、異世界の島にいる武装勢力を排除し伊海島の島民たちを救出する作戦が決行される。
二度にわたり未明に作戦決行ということになるが、これは朝になれば人質は敵陣構築のための強制労働へと連れ出されることになり戦闘に巻き込むリスクが発生するからだ。
それに人質を救出して守るにしても、できる限り一か所にまとまっている時の方が何かとやりやすい。
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まだ暗い未明、通り道を塞ぐように木の柵が作られた防衛線にいる敵は少数で暗視装置を身につけた隊員に撃ち抜かれていく。
そして74式戦車によって木の柵はいとも簡単に倒されて車列は家が立ち並ぶ町へと入ってく。ここまで来るとさすがに敵も起きていて74式戦車を筆頭に猛烈な銃撃が加えられるが一切問題なく、73式装甲車からはガンポートからによる射撃も行なわれる。
「こちらドローン班。74式戦車左側の11時方向、建物の上に敵兵多数確認」
また、今回の作戦にはドローンによる上空からの偵察も行なわれていた。いくら相手がマスケット銃とはいえ上空からの支援が何もないようであれば安全に任務を遂行することはできないと判断されたのだ。
この情報によって74式戦車は車載機関銃を屋根の上から男たちが現れた瞬間に射撃を開始、敵を殲滅する。
「120mm迫撃砲射撃準備完了」
そのうえ洞窟付近に展開している第一空挺団には特科部隊もいて、伊海島奪回の際には島の狭さから81mm迫撃砲を持ち込んでいたが、今回の作戦にあたり改めて120mm重迫撃砲を持ち込んでいた。
「準備完了了解・・・撃て」
今回迫撃砲が狙うのは沖合に停泊している帆船である。帆船の側面には何門もの大砲が積まれていてそれが部隊への脅威になると判断されたのだ。
「弾着五秒前、だんちゃーく、今!」
そして迫撃砲は帆船へと直撃するとそれを一瞬で破壊して船内の火薬もあってかとてつもない爆音を響かせて跡形もなく消える。だが、一隻消しただけでは脅威が消えるわけもなく特科部隊は次々と帆船を沈めていく。
その後、太陽が昇り明るくなると島の状況はほぼ決まったものとなった。
最終的に重迫撃砲によってほうが搭載されていなかった3隻の帆船を残してすべて破壊、町では一軒一軒を回って掃討戦が行なわれている。
そして捕虜となったものは全員が一か所に集められて拘束され、こうして伊海島、異世界の島を通して行なわれた戦闘はほぼ終息し、伊海島が突如占拠されてから十日目にようやくすべてが終わることとなったのである。




