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り狐:狐鬼番外編(1)  作者: 七星瓢虫
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蹂躙

如何にも放す気の無い

自分の手首を掴む、若旦那の腕に少女は爪を立てる


「、後生です」


肌に食い込む痛みに顔を歪める所か

清しい笑みを浮かべる相手に思わず、其の身を引いた瞬間

前触れも無く、若旦那は手首を解いた


仰け反る勢いで後方に倒れ込む

少女の細腰を抱え、自身の胸元へと引っ張り寄せる


「らん」


名前を呼ばれて微かに頷いた

少女の抜け襟から覗く、白粉の項に若旦那の鼻先が触れる


「果て果て、出向いた所で如何する?」


私の、此の手を振り切って


今も燃え盛るのか

将又、今や燃え尽きたのか


だとしても、だ

村の外れにある、襤褸「社」に出向いた所で何が出来る?


「何も出来ない」

「何も出来ないよ、御前は」


多少、棘を含んだ

若旦那の、揶揄した言葉に反応した少女が身体を起こそうとする


然うはさせじと、若旦那は腕に力を籠めたが

到頭、少女は叫ぶ


「、()の、「社」には狐様が、」


直ぐ様、少女の頭を抱えて

其の、口元を手の平で押さえ込む若旦那が

眉根を寄せて、唇を尖らせた


其れは無い


「狐」処か

「狸」にすら出会(でくわ)さなかった筈


其の旨を、くぐもる叫声を上げる少女に正直に伝える


「気に病む必要は無い」


説き伏せるが如く、点頭(てんとう)する若旦那を余所に

少女は自身の、顔面を押さえ込む手の平を引き剥がす事に必死だ


「そう言えば、「狐」様は御留守だったよ」


等と、姑息な「話」で少女が納得する訳も無く

愈愈、若旦那は足掻く身体に圧し掛かる


「嫌」


如何にか顔を背ける

少女の、懇願する声が指の隙間から漏れた

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