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急転26
ジークフラムは、斧槍で前方の馬上槍を薙ぎ払い前へ前へと突き進む。しかし、エレオノール騎馬隊も精鋭揃い。ジークフラムに薙ぎ倒されながらも、竜に馬上槍を突き刺し確実にダメージを与えていく。さらに、降り注ぐ矢がジークフラムに幾度も突き刺さる。だが、ジークフラムは止まらない。
もしここでエレオノールと椿を討ち取れたとしても、これだけの数の精鋭に取り囲まれていればジークフラムの命も助からないだろう。しかしそんな事はどうでも良かった。ただ…自分に屈辱を与えた二人を倒せればそれでいい。
「なんだァ?」
突如、ジークフラムの乗る竜が足を止めた。ジークフラムが視線を下に向ければ、竜の体はすでに血みどろだ。
「おい!なにやってる!まだ動け…」
と竜を叱咤しようとした所で、ジークフラムは自身の体に強烈な衝撃を受ける。
「あァ…?」
ジークフラムは見た。自身の腹部に、投槍が深々と突き刺さっているのを。




