急転20
「あァ…?」
自身を避けるように散開する騎馬隊を見て、ジークフラムの表情が歪む。
「おいおいおい、何逃げてんだあ!?」
怒りを露わにするジークフラム。だが、エレオノール騎馬隊としては今は竜兵に構っていられない。優先すべきはヒューゴ・トラケウと決着を付ける事だ。
「クソが…追うぞマルガ!」
「はい」
特務竜兵隊副長、マルガレーテ・セファロニアはジークフラムの言葉に頷き、自身を含む4名の竜兵に前進を命じた。
ジークフラムが先頭に立ち、さらにその後を4体の竜兵が追う。一歩一歩が大きいだけあって、竜の移動速度は騎馬をも凌駕する。散開してバラバラに逃げる騎馬隊に追いつくのは時間の問題だ――もっとも、それは平地での話。ここは障害物の多い森…通る道筋によっては、竜の巨体では木々に阻まれ前へ進む事が叶わない。そしてエレオノール達は、そういった道筋を選んで進んでいる。だが…、
「おらあ!」
ジークフラムは、斧槍を前方の巨木目掛けて振るう。力自慢の木こりが半日かけて斬り倒すようなその巨木を、ジークフラムはただの一撃で断ち斬った。
「こんなもんで足止めできるとでも思ってんのかァ!?ああ!?」
ジークフラムと彼の乗る竜は、速度を落とす事無く騎馬隊に向けて猛然と迫っていく。




