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急転17

(オスカーさん…無事でいてください…)


 エレオノール達と共に騎馬で駆けながら、椿はオスカーの無事を願う。そして同時に、


「もっと早く…気がついていれば…」


 そんな後悔も頭を過ぎり、思わず口にしてしまった。それを耳にしたエレオノールが、椿に近付き声をかける。


「いや…今回のヒューゴ・トラケウの動きを予想できた者は、誰一人いなかった。おそらく…ヒューゴは、最側近以外には味方にすら自分の動きを明かしていないはずだ」


 エレオノールのその読みは正しかった。ヒューゴの行動を知らされていたのは、シャルンホストとミュルグレスの2人のみ。それ以外の者、全てを騙し…ヒューゴ・トラケウは今回の奇策を実行に移したのだった。


「そんな中、君はただ1人…ヒューゴ・トラケウの動きを察知した。これは、君にしか出来なかった事だ。自分を責める必要はないよ」


 並んで騎馬を走らせながら、椿の頬をそっと撫でるエレオノール。その顔は、少年の事を誰よりも見て来た…誰よりも想ってきたエレオノール・フォン・アンスバッハという一人の人間としての表情だった。しかし、椿の頬から手を引き表情を引き締める。それは、司令官としてのエレオノールの表情。


「そして、この軍の司令官として改めて礼を言わせてもらいたい、ツバキ。君のおかげで…ギリギリの所で、私達にまだ活路が残される事となった。私は…君が作り出してくれたこの活路を、何としても勝利に繋げたい。いや、繋げてみせる」


「エレナ。――うん、そうだね」


 椿はエレオノールの言葉に頷いた。そして、後悔を振り切り、正面を向く。悔やんでいても状況は変わらない。ならば、前を向いて今出来る事をやるしかない。


「きっと、ここからが正真正銘最後の戦い…僕も、全身全霊で戦うよ。エレナの…みんなの未来を、守るために」

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