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急転7

「ヒューゴ…トラケウ…!」


 胸にヒューゴの長剣(ロングソード)を突き立てられながらも、オスカーはなおも剣を振りかぶり眼前の敵に対峙する。ヒューゴの剣は、オスカーの分厚い胸板に阻まれまだ心臓までは届いていない…ここで引き下がればオスカーの命は助かるだろう。だが、そうなればヒューゴを止める者はいない。そんな状況で引き下がるなど、オスカー・グロスモントには考えられなかった。


 オスカーは全身全霊を込め、ヒューゴに対し大剣(クレイモア)を振り下ろした。それはヒューゴの被っていた伝令兵用の兜を割り、頭から額にかけて傷を付けた。だが…それが限界だ。頭部を負傷しながらもギリギリの所で大剣(クレイモア)を避けたヒューゴは、冷徹な声のまま囁いた。


「もし僅かでも状況が違えば…結果は逆だったかもしれない。だが、」


 ヒューゴは、オスカーの胸に刺さった剣に力を籠め、深々と突き刺した。さらに止めとばかりに、下へ向かって斬り下げる。


「勝ったのは私だ。オスカー・グロスモント」


 剣を引き、さらにオスカーの首を狙って剣を突き立てようとした所で…しかし、その動きが止まる。


「…まだ、動くつもりか」


 ヒューゴは察知した。目の前の男はもはや死に体。にもかかわらず、その目は死んでいない。もしここで剣を突き立てようとすれば、命を賭けた最後の反撃が自身を襲うだろう。


「見事…と、普通ならば言うのだろうが」


 ヒューゴは、オスカーではなく彼の乗る馬の首目掛けて剣を突き出した。オスカーの乗る愛馬は、どうと地に倒れ伏す。


「グロスモント卿!」


 ブルーノを始めとするオスカーの配下、さらには駆け付けたガレスがオスカーに向かって駆け寄っていく。それを冷ややかな目で眺めながら、ヒューゴは配下に命令を下した。


「敵左翼軍団長、オスカー・グロスモントは倒れた。次は…左翼軍を殲滅する」

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