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急転4

 『いつかカムランを越えたい』そう思い、オスカーは剣を振るってきた。だが…その『いつか』はもう訪れない。カムラン・フォン・レオンハルトはもう手の届かない場所に行ってしまった。


(もしも、俺がもっと強ければ)


 自分がカムランよりも、そしてヴォルフラムよりも強ければ…あの日カムラン・フォン・レオンハルトは命を落とす事はなかったかもしれない。今も隣で笑いあい、互いに切磋琢磨する事が出来ていたかもしれない。しかし、過去は変えられない。


(だから今こそ俺は…今、貴公を越えよう、ヒューゴ・トラケウ。もう大切なものを失わないために…!)


 ヒューゴの攻撃を弾き、その際に出来た僅かな隙にオスカーは剣を振り下ろす。それはヒューゴの左肩を掠め、甲冑を叩き割り鮮血が舞う。致命傷には程遠い、浅い一撃…だが、ヒューゴが戦場で負傷した光景を、クロエ・フィレルは初めて目撃した。


「ヒューゴ陛下!」


「やはり…強い」


 ヒューゴは、自身を慮るフィレル上将軍(ハイ・ジェネラル)の声を無視しオスカーに語りかける。


「君には…きっと、大切なものがあるのだろう」


「そうだ。だから戦っている。しかし、それは俺に限った話ではないはずだ。誰だって、大切なもののために戦っている」


「私は違う」


 ヒューゴは答えつつ剣を振り下ろす。先ほどの負傷など無かったかのような鋭い攻撃。


「私には…大切なものなどないよ、オスカー・グロスモント」

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