最終戦開始22
「なんだと!?沼にイカダを浮かべ橋を!?いつの間にそんな準備を…」
指揮官の顔が青ざめる。
「この辺りは平原と湿地帯、沼に橋を架ける事が出来る程の大量の木など生えていないはずだぞ…!」
「事前に準備していたんじゃないですかあ?」
シャルンホストが事も無さげに答える。
「ここが湿地帯であり沼地が点在している事を事前に把握していたんですよ、敵も。そして沼に橋をかけこちらの側面を突く事を考えそのための材料を持ってきていたのでしょう。というか、状況からしてそうとしか考えられませんよねえ」
「な、なんと…!い、いや、それならば手を打たなければ!こちらの兵を繰り出して妨害を…」
「あはは、そんな事したら敵の思う壺ですよ。私達のいる場所から敵が橋をかけている場所に行くには、別の沼を越えなければなりません。こちらがそこに足を踏み入れ、機動力が削がれた隙を狙って敵が攻撃を仕掛けてくるでしょうねえ」
「なっ…では、敵が橋を架けるのを黙って見過ごせと?そんな事をすれば敵は有利な位置に自由に移動できるようになってしまいますぞ!」
「ディルクさん、準備はいいですか?」
シャルンホストは指揮官の発言を無視し、ディルクの方へ視線を向けた。
「はい」
と、元精鋭槍騎士長はその質問に無言で頷いた。




