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最終戦開始10
絶対に勝つ――椿がこんな風に断定的な口ぶりで勝利を宣言するのは珍しい事だ。しかし、それは少年のこの戦いに対する想いの現れだった。この戦いに負けてしまえば、今までの努力は全て水泡に帰する。なんとしても勝たなければならない一戦だ。
そして、勝つための方策も椿は用意している。戦いとは、ただ願っていれば勝てるなどという甘いものではない事を少年は知っていた。
(敵に二枚の切り札があるなら…僕にも、三枚の切り札がある)
三枚の切り札。そのうち二つは今までの戦いで使用してきたものであり、最後の一枚はこの戦いで初めて使用するもの。何にしても、どこでその切り札を切るかが勝負の分かれ目となるだろう。最も効果的な場所で使用しなければ、おそらくヒューゴには勝てない。
(カイさん…エステルさん、オスカーさん…どうか、無事でいてください)
椿は自らも早く前線に出たいという想いを押さえ、本営でその時を待つ。戦いが動き出すその時を。




