最終戦開始8
「マルセル!ルボル!」
「「はっ!」」
2人の巨漢騎士…マルセル・ホイサーとルボル・ホイサーが再びオスカーに迫る。この2人は、クロエ・フィレルの指揮するヒューゴ軍右翼軍団の武の要だ。だが、やはり2人がかりであろうとオスカーには通じない。その戦斧はことごとく弾かれる。しかし、それもフィレル上将軍の計算通りだ。
(私の役目は…オスカー・グロスモントを足止めする事…!)
エレオノール軍において最高の武力を持つオスカーさえ自分が押さえる事が出来れば、中央のヒューゴが勝利を決定付ける。彼女はそう信じていた。
「「ぬううん!」」
マルセルとルボルは、休む事無く戦斧を繰り出し続ける。彼らは、攻撃の手を止めればすぐさまオスカーによる反撃が来ると本能的に察知しているようだった。
そして、当初はマルセルとルボルの戦斧を大きく弾き飛ばしたオスカーも現在は防戦一方だった。彼の近くでは、フィレル上将軍が様子を伺っている。先ほどのような大振りを見せれば、その隙に彼女が攻撃を仕掛けてくるのは自明の理だ。故に、状況は膠着する。
(これでいい、これで…!)
フィレル上将軍は、ヒューゴへの信頼を胸に固く剣を握りしめた。




