表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

934/1118

最終戦開始5

 エステル・ラグランジュ率いるエレオノール軍右翼軍団の眼前には、大きな障害物もなく青々とした平原が広がっている――が、それは見た目の上での事。こちら側の平原は一部が湿地帯となっており、一見すると中央の平原と変わらないが所々に草で覆い隠された沼がある。その沼を避けつつ、どう戦うかというのがこの戦場の要となる訳だが…、


「やるわね、フェルマー・シャルンホスト…」


 エステルは、眼前に展開するヒューゴ軍左翼軍団を見つつ目を細める。


 敵軍は、巧妙に沼地の前に軍団を展開している。つまり、もし攻撃を仕掛けようと思えばこちらは沼地に突っ込んで戦わざるを得ないという訳だ。そうなれば当然、エステル側は不利な地形での戦闘を強いられる事となる。


「曲者って話だったけど…ここまで完璧な布陣で来るとは予想以上ね」


 沼の前に軍を展開し、有利な状況で戦う…言うのは簡単だが、それを成し遂げるには事前にどこに沼があるか把握している必要がある。しかし、この広大な平原でそれを完璧に把握するのは容易な事ではない。


(つまり、シャルンホストはここが予定戦場になると予想して…ずっと前、おそらくクーデター直後から下見させていた)


 派手な言動にばかり気を取られがちだが、その裏で先の先を見越し着々と準備を進めていたという訳だ。ただの狂人ではない。


「正直、今まで私が戦ってきた相手とは格が違う――って感じかしら。嫌になるわね」


 小さくため息を吐くエステル。だが、彼女はこの戦いに負けるつもりなどはさらさらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ