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最終戦開始
「中央第二軍、前進!」
軍団長、カイの号令で中央第二軍が前進を開始した。銀色の甲冑を纏う兵士達の足取りは力強い。
(いよいよ…開戦だ…)
前方を進む兵達の背中を見ながら、椿は息を飲んだ。ヒューゴ軍との間にはまだ距離があり、すぐに剣や槍を交えての直接的な戦闘が始まる訳ではない。しかし、すでに戦いは開始している。
「伝令、伝令!敵中央第二軍の兵力は約20万!中央第一軍の兵力は30万と思われます!」
「敵中央第二軍も前進を開始!」
カイ指揮下の中央第二軍に所属している伝令兵から、次々とエレオノール本軍に向かって伝令が届く。すでに、互いの動向を探る情報戦が開始していた。
(僕達は兵力で劣っている…勝つためには、どこかで有利な状況を作り出さないと…)
敵の動向を見極め対処し、有利な状況で戦闘を行う…それが勝利するための鉄則だ。言ってみれば当たり前の事だが、その当たり前が難しい。相手もまた同じことを考え、自身が有利になるよう動いているからだ。
(でも、難しくてもなんでも…やるんだ。勝つために!)




