表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

923/1118

最終決戦8

 ヨハンネス軍は現在、エレオノール軍とヒューゴ軍の予定戦場からやや離れた位置で様子を伺っている。戦いが始まれば折を見て介入してくるだろう。だが、ミュルグレスはヨハンネス軍など敵として評価してはいなかった。


「私は早々にヨハンネス軍を潰し、遊軍としてエレオノール軍への攻撃に加わります」


 言わば、ヨハンネス軍を叩くのはエレオノール軍との戦いの前哨戦である。まずはヨハンネス軍という邪魔なハエを叩き潰し、その後は自由に動ける別働軍団として、エレオノール軍の左翼、中央、右翼の中で最も効果的な場所に攻撃を仕掛ける…それがミュルグレスの役割だった。もしもその時、エレオノール軍とヒューゴ軍の戦いが拮抗していたとしたら…ミュルグレスの参戦は戦いの趨勢を決定付けるものになるだろう。


 ヒューゴはミュルグレスの言葉に頷き、一同に告げる。


「ミュルグレス大将軍フィシュタル・ジェネラルがエレオノール軍への攻撃に加わった瞬間、もしくは敵に隙を見つけた瞬間に私の率いる中央第一軍も攻勢に出る。それで一息に勝負を決める」


 その作戦方針に異を唱える者はいなかった。敵に倍する大軍とは言え、漫然と戦っていては勝機を逸する可能性がある。勝負所を見極め、一斉攻勢で勝負を決める――基本的だが、それ故に最も効果的な戦術だった。しかし、クロエ・フィレルのみは余計な事と分かっていながら一言ヒューゴに意見を述べる。


「敵はヒューゴ陛下を狙ってくるはずです。攻勢に出る際は、どうかお気をつけを」


「心にとどめておこう」



 ヒューゴ軍の最終軍議は終了した。フィレル上将軍(ハイ・ジェネラル)を始め、幹部達は天幕を後にする――が、その中で皇帝たるヒューゴと、2人の大将軍フィシュタル・ジェネラルであるシャルンホストとミュルグレスのみが未だ天幕内に残っていた。もっとも、それを別段気にする者もいない。シャルンホストとミュルグレスはヒューゴの側近中の側近。ヒューゴが心を許せる数少ない人物だろう、この決戦を前に互いに激励でもしているのかもしれない…多くの者はそんな風に考えた。だが、彼らは激励を送り合うなどという感傷的な事はしない。


 ヒューゴは2人の最側近を前に、ただ簡潔に用件だけを述べる。


「それでは、改めて確認しておこう。この決戦で私達が勝つための――真の計画を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ